タネから広がる園芸ライフ / 園芸のプロが選んだ情報満載

連載

ハス

ハス

2017/07/03

暑い夏の日に、水面からすらりとした花茎を伸ばし、優美な花を咲かせるハス。紅色、ピンク色、白色のほか淡黄色の花などもあり、花弁の数も形もさまざまで、花の美しさは千差万別といえましょう。見ごろには早朝観蓮会が開催されることもありますが、これはハスの開花習性に合わせるため。一つの花は4日間にわたって開花し、1日目は蕾がやや開いた状態で昼ごろには閉じてしまいます。2日目は開花しますが昼には閉じてしまいます。3日目は開花しますが午後になっても開いたまま、花托の雄しべは少し茶色になります。4日目は昼には花弁が散ります。このように花開いたハスを観賞するなら断然早朝がおすすめなのです。朝、まだ涼しさが残るうちに出掛けてみてはいかがでしょうか。

行田「古代蓮の里」

「古代蓮の里」ではハスが園路に迫って咲いているので一輪一輪がよく見える

1971年、行田市のゴミ焼却場建設のときに掘削してできた池からハスが自然発芽しました。地中深くに眠っていた種子が発芽したものと考えられ、1400~3000年前のものとされています。これが「行田蓮(古代蓮)」と呼ばれ、行田市天然記念物に指定されました。この「行田蓮」を栽培、展示するための施設として「古代蓮の里」を開設。今では園内に「行田蓮」を中心に42種類、約12万株のハスが栽培されています。鮮やかなピンク色の「行田蓮」と違って、「世界の蓮園」では八重咲きの花や、白花や黄花が見られ、さまざまな種類のハスは見応えあり。公園は終日開放されているので、観賞には早朝、遅くとも午前中に出掛けたいところ。また、園内にある古代蓮会館には高さ50mの展望室があるほか、ハスのことが学べる展示室、シアターなどがあり、訪れてみたい施設です。

行田市指定天然記念物「行田蓮(ぎょうだはす)」。原始的な形態を持つ、1400~3000年前のハスであるといわれる

さまざまなハスを見比べられる「世界の蓮園」

「誠蓮(まことはす)」は鮮やかなピンクの花で、花弁は120枚前後にもなる八重咲き

園内を見下ろすように立っているのが高さ50mの展望室のある古代蓮会館

施設概要

〒361-0024
埼玉県行田市大字小針2375番地1
電話番号:048-559-0770
古代蓮の里(園内):終日無料開放
古代蓮会館定休日:2017年6月24日~8月6日は無休。通常は毎週月曜日(祝日の場合は営業)、祝日の翌日(土・日曜日の場合は営業)、年末年始
古代蓮会館開館時間:2017年6月24日~8月6日は7:00~16:30(受付16:00まで)。通常は9:00~16:30(受付16:00まで)
古代蓮会館入館料:大人400円(高校生以上)、小人200円(小・中学生)
駐車場:有料駐車場あり(有料期間6月24日~8月6日)
見ごろ:6月下旬~8月上旬、ハスまつり2017年7月9日

水郷佐原あやめパーク

サッパ舟に乗船すると、目線の高さに咲くハスを間近に見られる

水郷佐原あやめパークでは300品種以上のハスを栽培。その数は日本一を誇り、色とりどりのハスを観賞できる貴重な施設です。園内には「大賀蓮(おおがはす)」や「舞妃蓮(まいひれん)」、南京から贈られた中国種などがたくさんの花を咲かせます。暑さが本番を迎える季節になると、ハスは一番きれいな花を咲かせます。その時期にははす祭りが行われるほか、はす祭り期間中の土曜日、日曜日、祝日は朝6時に開園し、咲いたばかりの美しい花を見られます。また、ハスの花が広がる園内水路をサッパ舟に乗って周遊できる舟巡りでは、ちょうど目線の高さにあるハスを楽しむことができます。数千枚の花弁を持つ多頭蓮や、花の中にもう一つ花を咲かせたように見える重台蓮といった日本では数少ない貴重な品種も栽培されているので、ぜひ花の美しさを見比べてみてください。

花弁の重なりが美しい八重咲き種。花弁100枚前後の品種が多いが、なかには何千枚もの花弁を有する品種も

一つの花の開花期間は4日間。ふっくらとした蕾も、花托も観賞してみて

アメリカ産やその交配種に多い黄色のハス。淡黄花は夏でも爽やかな雰囲気

品種名の書かれたハスを園路に沿って観賞すると、品種の豊富さに気がつく

施設概要

〒287-0801
千葉県香取市扇島1837番地2
電話番号:0478-56-0411
定休日:月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)、はす祭り期間中は無休
開園時間:通常9:00~16:30、はす祭り期間中は7:00~15:00(入園最終受付は閉園の1時間前)
入園料:5~8月大人600円(15歳以上)、小・中学生300円、65歳以上500円。あやめ祭り期間は別料金。この他の期間の入園料については要確認
駐車場:無料駐車場あり
見ごろ:7月上旬~8月上旬、はす祭り2017年7月8日~8月6日

大阪市立長居植物園

園内の大池ではハスが咲き競い、早朝開園に合わせて多くの来園者が訪れる

長居公園の東南の一角にある約24.2ヘクタールを占める長居植物園には、約1200種類6万1000本の植物が生い茂っています。大阪地方の太古から現時に至るまでの森林を再現した「歴史の森」やバラ園、ボタン園など11の専門園があるのは、自然から学び、豊かな情操を養うことをテーマとした植物園だからこそ。その中でも夏に見ごろの花といえば、大池で見られるハス。開花初期は全体にピンク色をしていますが次第に白となり、先端だけピンク色が残る品種「酔妃蓮(すいひれん)」が栽培されています。その名は酔った王妃の顔のような淡いピンク色から名付けられたとか。見ごろには早朝開園を行うほか、ハスまつりを開催し、象鼻杯(ぞうびはい)といってハスの葉で酒やジュースを飲んだり、ハスを描いてオリジナルうちわを作ったりするイベントなどが行われる予定です。

酔った王妃を連想させることから名付けられた、ほんのりと紅がかった「酔妃蓮」

優雅なハスの花を見ていると暑さも時間も忘れてしまいそう

ハスまつりで行われている象鼻杯。ハスの葉のほのかな香りを楽しんで

ライフガーデンに咲き誇る約8000本のヒマワリ。見ごろはハスの開花と重なる7月下旬

施設概要

〒546-0034
大阪府大阪市東住吉区長居公園1-23
電話番号:06-6696-7117
定休日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌平日)、年末年始(12月28日~1月4日)
開園時間:3~10月9:30~17:00(入園は16:30まで)、11~2月9:30~16:30(入園は16:00まで)
入園料:大人200円(高校生以上)※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料【要証明(健康手帳、敬老優待乗車証等の原本)】
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:7月上旬~下旬、早朝開花(7:30~)7月1~9日、ハスまつり7月8日、9日

JADMA

Copyright (C) SAKATA SEED CORPORATION All Rights Reserved.