タネから広がる園芸ライフ / 園芸のプロが選んだ情報満載

特集

落葉期の今がチャンス!落葉果樹の植え付け 文・写真 三輪正幸 落葉期の今がチャンス!落葉果樹の植え付け 文・写真 三輪正幸

「果樹を育ててみたい」と思ったことがある方は多いことでしょう。夏に濃紺のブルーベリーがたわわに実る姿に甘酸っぱさを感じたり…、秋晴れの下、朱赤に輝くカキを見てとろける果肉を思い出したり…、果樹は私たちの暮らしに四季を届けてくれます。

では、果樹を育て始めるのはいつ頃が良いかご存じでしょうか。
例えば落葉果樹の場合、まさに今、11月なのです。今月は落葉果樹を育て始めるベストシーズン。

そこで今から育て始めたいおすすめの落葉果樹と植え付け方法をご紹介いたします。

  • 植え付けは今がおすすめ
  • 生活スタイルに合った果樹を選ぼう
  • おすすめの落葉果樹5選
  • 実践!基本の植え付け方法

植え付けは今がおすすめ

失敗の少ない時期に植え付けて、根を土によくなじませよう

植物の植え付けは、枝葉と根の生育が緩慢で寒さの影響を受けにくい時期に行うのが最適です。そのため、寒さに強い落葉果樹は11~3月まで、寒さに弱い常緑果樹は3月、寒さに特に弱い熱帯果樹は5~7月に植え付けると最も失敗が少ないでしょう※。

落葉果樹は寒さに強いので11~3月ならいつ植え付けても構いませんが(降雪や地面が凍結する寒冷地は厳寒期を除く)、萌芽する春(4月)までに根を土によくなじませておくとその後の生育が良くなる傾向にあるため、11月に植え付けるのがおすすめです。つまり、今が落葉果樹の植え付けの最適期といえます。

なお、常緑果樹や熱帯果樹を露地に植え付ける場合は春以降になりますが、鉢に植え付けて置き場を屋内などの寒害の心配のない場所にすれば、今植え付けても問題ありません。

※植え付け適期は通信販売での苗木発送期を考慮

植え付けの適期を確認しよう

果樹別の植え付け適期の一覧です。育てたい果樹の適期がいつ頃かを確認しておきましょう。

分類 植え付け適期※ 果樹名
落葉果樹 11~3月
(厳寒期を除く)
ブルーベリー、カキ、ブドウ、イチジク、ポポー、リンゴ、クリなど
常緑果樹 3月 カンキツ類、ビワ、オリーブ、フェイジョア、ヤマモモなど
熱帯果樹 5~7月 マンゴー、パイナップル、パッションフルーツ、パパイアなど

植え付け適期ならいつ植え付けても問題ないが、早めに植え付けて根を土によくなじませておきたい
※植え付け適期は通信販売での苗木発送期を考慮

ページ上部へ

生活スタイルに合った果樹を選ぼう生活スタイルに合った果樹を選ぼう

育てる果樹を選ぶ際には、食べてみたい果樹を選ぶのが大前提ですが、それだけで選ぶと気候や自身の生活スタイルに合わず、栽培に失敗してしまうこともあります。以下に挙げた3つの果樹の栽培特性を知ることが、失敗しない果樹選びの一歩となります。

1. 授粉樹が必要かどうか

果樹の中には自身の花粉では実付きが悪く、異なる2品種以上の苗木を近くに植える必要があるものがあります。スペースの都合上、苗木を1本しか植えることができない場合は、授粉樹が不要な果樹がおすすめです。ただし、同じ果樹でも品種によって授粉樹の有無が異なることがあるので注意しましょう。例えばカキでは「太秋」は授粉樹が不要ですが、「陽豊」では必要です。

2. 耐寒性が強いか弱いか

寒さに強い落葉果樹とはいえ、育てる地域や選ぶ果樹によっては冬の寒さで枯れる可能性があるので注意が必要です。主要な果樹については耐寒気温の目安が明らかになっているので、選ぶ際の参考にしましょう。お住まいの最低気温が育てたい果樹の耐寒気温を下回らない場合でも、近い気温まで下がるのであれば注意が必要です。

3. 木がどのくらい高くなるのか

木の高さ(樹高)は気候や土壌などの育つ環境によって大きく異なりますが、高くなりやすい木、低いままで生育が止まりやすい木など、その果樹が持つおおよその樹高の目安があります。ある程度の高さまで育てて庭のシンボルツリーにして多くの収穫を楽しみたい場合は樹高が高い木を、低く仕立てて管理作業を楽に行いたい場合は樹高が低い木を、棚やフェンスなどに仕立てて楽しみたい場合はつる性の果樹を選ぶとよいでしょう。

今から植え付け適期を迎える落葉果樹の栽培特性をまとめました。
育て始める前に、植えたい場所に栽培特性が合っているか確認しておきましょう。

果樹名 授粉樹の有無 耐寒気温 庭植えの樹高 鉢植えの樹高
ブルーベリー 必要 -20℃~
-10℃
1.5m 1m
カキ 必要
(品種による)
-13℃ 3m 1.5m
ブドウ 不要 -20℃ つる性 つる性
イチジク 不要 -10℃ 3m 1.5m
ポポー 必要 -20℃
(詳細は不明)
3m 2m

※参考:「果樹農業振興基本方針」農林水産省、「果実の事典」杉浦明ほか 朝倉書店
※上記はあくまで目安です

ページ上部へ

おすすめ落葉果樹5選

今植え付け適期を迎える、おすすめの落葉果樹を5つご紹介します。定番の果樹から近年人気が出てきた果樹まで、庭のスペースや生活スタイルに合わせた育てやすい果樹を選んでみてはいかがでしょう。

トップ人気を誇るブルーベリー

トップ人気を誇るブルーベリー

スズランのようなかわいらしい花を咲かせ、青紫色の小さな果実をつけるブルーベリーは家庭果樹ではトップレベルの人気があります。用土や水やりにさえ気を付ければ、初心者でも栽培できるのでぜひチャレンジしてみましょう。寒さに強く大果な「スパルタン」や「チャンドラー」などの品種がおすすめです。

商品はこちら
日本人に親しまれるカキ

日本人に親しまれるカキ

庭木として古くから親しまれているカキ。大果の品種を選び、摘果などの作業を行えば500gを超える巨大果を収穫することも夢ではありません。また、「禅寺丸」や「太秋」などの品種は雌花に加え、雄花が咲くので観察用にも最適です。

商品はこちら
生育旺盛なブドウ

生育旺盛なブドウ

枝がつる状に旺盛に伸びるので、庭植えであればフジなどで使用する棚に仕立てて、鉢植えであればバラなどで使用するオベリスクに仕立てることで庭を美しく彩ることができます。
初心者には病気に強い「スチューベン」、経験者にはタネなし・皮ごと食べられる「シャインマスカット」や「秋鈴」などがおすすめです。

商品はこちら
無農薬でも栽培可能なイチジク

無農薬でも栽培可能なイチジク

病気は比較的少なく、害虫はカミキリムシ類に注意すれば他にはそれほど多く発生しないので、無農薬でも栽培できます。完熟果の甘くてとろける食感の果実は、自分で育てるからこそ味わえるご褒美です。流通量が少ない「ヴィオレッタ」や「ブルンスウィック」などがおすすめの品種です。

商品はこちら
珍しさもあって注目のポポー

珍しさもあって注目のポポー

バナナのような香りとマンゴーのようなクリーミーな果肉、そしてトロピカルで濃厚な甘みを持つ果実が収穫できるポポー。落葉果樹で寒さに強く、病害虫にも強いので近年人気が高まっています。
「スイートアリス」や「マンゴー」などの異なる品種を授粉樹として用意して人工授粉すれば、豊作も期待できます。

商品はこちら
ページ上部へ

実践!基本の植え付け方法実践!基本の植え付け方法

地掘り苗はすぐ植え付けよう

通信販売などで注文した苗木は、畑から掘り上げた後に根についた全ての土を落とし、根が乾燥しないようポリ袋で密封した地掘り苗と呼ばれる状態で届きます。地掘り苗の状態では長期間生育するために必要な水分や酸素が根に十分に行き届かないので、直ちに植え付けや仮植えをしましょう。到着から期間を空け過ぎると、株が傷んで春先の萌芽遅延(※)や枯死を招く恐れがあるので注意が必要です。

(※)萌芽遅延(ほうがちえん):休眠していた株が芽吹き、枝葉が発生する時期が遅れること

適期以外に届いたら
地掘り苗は植え付け適期の期間内に流通することが多いですが、適期を著しく超過した時期に届いた場合でも、直ちに植え付けや仮植えをしましょう。鉢植えにする場合は根が傷まないように注意しながら鉢に植え付けます。庭植えでは、庭の片隅の冷気がたまらない場所の地面に仮植えし、適期になったら掘り上げて目的の場所に植え付けます。

落葉果樹の庭植え方法

落葉果樹の庭植え方法
(1)
直径70cm、深さ50cm程度の植え穴を掘る。掘り上げた土には腐葉土を混ぜ込んで軟らかくして、その後の根が伸びやすくする。肥料は極端に痩せた土地を除いて植え付け時には不要
(2)
苗木の太い根を軽く切り詰めて発根を促す。接木苗の場合は、土を埋め戻す際に接ぎ木部(こぶ状にふくらんだ部分)に土がかかると発根して実付きが悪くなることがあるので、接ぎ木部を埋めないように注意する
(3)
苗木を接ぎ木部から50cm程度の高さ(接木苗以外は株元から)で切り詰めて、新しい枝の発生を促す。いくつか枝分かれした大苗であれば、長い枝だけを選んで枝先を3分の1程度切り詰める
(4)
支柱を設置して、ひもなどで枝を固定する。
たっぷり水をやったら完成

落葉果樹の鉢植え方法

落葉果樹の鉢植え方法
(1)
苗木のポットや鉢より一回り程度大きな鉢を用意し、鉢底に鉢底石を3cm程度入れる
(2)
苗木の太い根を軽く切り詰めて発根を促す。接木苗の場合は、用土を入れる際に接ぎ木部(こぶ状にふくらんだ部分)に土がかかると発根して実付きが悪くなることがあるので、接ぎ木部を埋めないように注意する
(3)
苗木を接ぎ木部から25cm程度の高さ(接木苗以外は株元から)で切り詰めて、新しい枝の発生を促す。いくつか枝分かれした大苗であれば、長い枝だけを選んで枝先を3分の1程度切り詰める
(4)
支柱を設置して、ひもなどで枝を固定する。
たっぷり水をやったら完成
ページ上部へ

まとめ

春には花が咲き、夏には果実がなり、秋には紅葉する…。こんな四季に合わせたドラマチックな変化を楽しむことができるのが、落葉果樹です。落葉果樹が1本庭にあるだけで、生活が季節感豊かなものに変わることでしょう。毎日庭に出て、その変化を楽しむもよし。収穫時期になれば、自家製のジャムやパイを作ってみるのもよし。
育てる楽しさに加えて食べる幸せも運ぶ果樹をぜひ、あなたの庭でも育ててみませんか。生活スタイルに合わせた品目、品種を選べば、栽培は特別難しいことはありません。

著者紹介

三輪正幸(みわ・まさゆき)

三輪正幸(みわ・まさゆき)

千葉大学環境健康フィールド科学センター助教。専門は果樹園芸学。「NHK趣味の園芸」の講師を務め、家庭でも果樹を気軽に楽しむ方法を提案している。近著に『剪定もよくわかる おいしい果樹の育て方』(池田書店)などがある。

JADMA

Copyright (C) SAKATA SEED CORPORATION All Rights Reserved.