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自然のサイクルを手本にした200日製法 落ち葉堆肥を作ろう 文・写真 酒井久雄 自然のサイクルを手本にした200日製法 落ち葉堆肥を作ろう 文・写真 酒井久雄

2016/11/24

自分で作った堆肥で植物を育てる悦び

自然の森の地を覆う真新しい落ち葉の下には前年の落ち葉が、さらに下に行くほど落ち葉は原形をとどめなくなります。自然の落ち葉は長年堆積した下の方から発酵を繰り返し、栄養のある有機質となって植物を育てます。自然の植物たちは、自身の落ち葉や動植物の死骸などが作り出す有機質を栄養として育っているのです。
つまり「植物が有機質なら植物を育てるのも有機質」。自然がくれた貴重な落ち葉。

自然に学べば落ち葉堆肥は誰にでも作れます。“行うは案ずるよりもやすし”、落ち葉の季節は堆肥作りの適期。落ち葉堆肥作りの好機として、挑戦してみてはいかがでしょう。

  • 初挑戦でも成功する200日製法
  • 堆肥はどうしてできるのか
  • 落ち葉堆肥の作り方
  • おすすめ資材

初挑戦でも成功する200日製法初挑戦でも成功する200日製法

落ち葉を排水性の良い土の上に積み上げておけば、1年もたてば堆肥は自然にできます。
しかし、分解、発酵の条件がそろえば良質の堆肥を短期間で作ることができます。
堆肥作りはプロの技と思っていた方、ぜひこの「特集」を参考に自家製堆肥ができる楽しさを味わってみてください。

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堆肥はどうしてできるのか堆肥はどうしてできるのか

一言でいえば、堆肥は目に見えない微生物の働きによって作られます。つまり堆肥を作るのは微生物で、有機物(ここでは落ち葉)は微生物の餌になるのです。微生物(放線菌や糸状菌など好気性菌)は、有機物に含まれるチッ素や炭素などを増殖のために吸収して「分解熱」を発生します。これが微生物の活動を活発にし、高い温度が保たれるので「発酵」が活発になり堆肥作りを早めます。堆肥枠(堆肥を作るための囲い)の中の落ち葉が「微生物」の働きでだんだん堆肥になっていく様子を観察するのは、作った人にしか味わえない楽しみです。

落ち葉堆肥作りの“ポイント”

それは「微生物が活動しやすい環境を保つこと」で、有機物の分解、発酵には適切な「酸素(空気)」と「水分」を保つことが最大のポイントです。

酸素 微生物は呼吸しているので、常に新鮮な「酸素」を提供する。水分 微生物が増殖し活動しやすい「水分量」は、50~60%。水分量の目安 落ち葉を強く握って、指の間から水が染み出る程度で水分50~60%

酸素 水分 の調整は=「切り返し」(攪拌)で

「切り返し」とは、積んである落ち葉層を定期的に上下ひっくり返し攪拌(かくはん)して、新鮮な酸素と入れ替えることです。水分調整も同時に行います。
水分過多になると酸素不足になり、落ち葉は腐敗、微生物も死んでしまいます。また、微生物の活動で発酵温度が上がると、落ち葉の中の酸素が不足しだし、微生物は呼吸ができなくなり死んでしまいます。堆肥作りに「切り返し」は不可欠で重要な作業です。

「切り返し」方法

堆肥枠の落ち葉を取り出し、十分攪拌したものを堆肥枠に戻す。

「切り返し」方法
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落ち葉堆肥の作り方

落ち葉の種類

落ち葉堆肥に向く葉の例:ケヤキ、クヌギ、ナラなどの広葉樹
水分、樹脂分が少ないため発酵しやすく、落ち葉堆肥に向いています。ケヤキが最も集めやすい

  • ケヤキ

    ケヤキ

  • クヌギ

    クヌギ

  • ナラ

    ナラ

落ち葉堆肥に向かない葉の例:クスノキ、モチノキ、イチョウ、カキなどの広葉樹
マツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹、広葉樹の中でも、クスノキ、モチノキ、イチョウなど肉厚でつやがあり、水分、樹脂分が多い種類は発酵しにくいので不向き

  • クスノキ

    クスノキ

  • モチノキ

    モチノキ

  • イチョウ

    イチョウ

準備するもの

落ち葉
準備した堆肥枠の容積の約5倍以上の量(できるだけ多めに準備する)
堆肥枠(囲い)
木の板材・コンパネ・ベニヤ板などを使った手作り枠、専用の樹脂製コンポスター、大型のポリ容器なども排水性、通気性を改善すれば代用できる
表土(黒土)
自然の表土には微生物が多くすんでおり、落ち葉に加えることで、多くの微生物の増殖に役立ち発酵を早める(水分調整の効果も期待できる)
発酵促進材など
コーランネオ、米ぬか(油かすでも可)
雨よけシート
雨よけ目的に堆肥枠に掛ける。ブルーシートが便利
あると便利な道具
ガーデンフォーク、クワ、レーキ、ジョロなど
ポリ袋に集めた落ち葉。堆肥枠の容積の約5倍以上必要になります

ポリ袋に集めた落ち葉。堆肥枠の容積の約5倍以上必要になります

角材とベニヤで作った堆肥枠(90×90×高さ90cm)、15cm埋め込んであります

角材とベニヤ板で作った堆肥枠(90×90×高さ90cm)、15cm埋め込んであります

作業手順

11~12月開始の5段積みを例にご説明します。

Step1

堆肥枠は日当たりが良く、風通しの良い場所に15cmほど埋め込んで据え付ける。

Step2

堆肥枠の中に落ち葉を入れ、水をかけながら踏み固め1段の厚さを約20cmにする。

落ち葉層を重ねるごとに、十分水をやり、むらなく平らに踏み固める

落ち葉層を重ねるごとに、十分水をやり、むらなく平らに踏み固める

Step3

その上にコーランネオ、米ぬかを振り掛け、表土を厚さ約5cm敷き詰めて1段目終了。

Step4

1段目を1つの「層」として、これを同じように5段目まで積み重ねる。

Step5

5段目まで終了したら水をかけ、最後に雨よけシートを掛けてブロックなどで重しをして作業完了。

5段積み完成図

5段積み完成図

Step6

開始から約60日後が、1回目の切り返し時期。

開始から約60日後が、1回目の切り返し時期。
Step7

開始から約150日後に、発酵が活発に行われているのが確認できる。

開始から約150日後に、発酵が活発に行われているのが確認できる。
Step8

開始から約200日後、落ち葉がボロボロになれば、落ち葉堆肥の完成。

開始から約200日後、落ち葉がボロボロになれば、落ち葉堆肥の完成。
留意点
  • ・落ち葉堆肥作りは一度に堆肥枠いっぱいに積み重ねる。後で積み足しはしない。
  • ・約60日たったら1回目の「切り返し」を行う。落ち葉が乾燥したり水分過多になっていないか観察して水分量を調整する。水分過多の場合は乾燥した表土を足して調整する。
  • ・「切り返し」は約20日に1回行い、落ち葉が原形をとどめずボロボロになったら完成。
  • ・完成したらポリ袋などに入れて保存する。
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おすすめ資材

落ち葉堆肥作りに役立つアイテムをご紹介します。こちらの資材は、サカタのタネ園芸通信オンラインショップでご購入いただけます。

堆肥コンポスター 1台

原料の分解、発酵がしやすく使いやすい構造
堆肥コンポスター 1台

堆肥作りには原料の発酵、分解を早める「切り返し」が欠かせません。この「堆肥コンポスター」は8枚のパネルで構成され、半分の高さで分割できるので、原料の「切り返し」が手軽なのが大きな特長です。組み立てや解体が簡単で、強度も備わっています。

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コーランネオ(発酵促進材) 1kg×5袋 1組

堆肥・腐葉土のほかボカシ作りにプロも利用
コーランネオ(発酵促進材) 1kg×5袋 1組

堆肥、腐葉土、ボカシ(発酵肥料)作りに使える大人気の発酵促進材です。アミノ酸とキトサンの相乗効果により、有効微生物が増えます。家庭菜園はもちろん、施設園芸、農家などプロにも広く利用されています。

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著者紹介

酒井久雄(さかい・ひさお)

酒井久雄(さかい・ひさお)

さかいがーでん企画 園芸研究家
公私に種苗、園芸に携わって半世紀。現在は、市民や団体へ園芸技術のスキルアップを指導する傍ら、国内外の庭園巡りや、個人庭園のデザインなどをライフステージとしている。種苗管理士、ガーデンデザイナーなどの資格を持つ。

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