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特集

園芸通信1周年記念スペシャルインタビュー ガーデニングに魅せられて-園芸には、人と人とをつなぐ不思議な力がある-

ゲスト:三上真史さん(俳優)
「第33回全国都市緑化よこはまフェア」広報親善大使

インタビュアー:三浦弘重
(株式会社サカタのタネ|通信販売部課長)

場所:サカタのタネ ガーデンセンター横浜

三上真史さん(俳優)

「園芸通信」1周年を記念し、俳優の三上真史さんにお越しいただきました。

三上さんは、舞台、映画、テレビなどで幅広く活躍中です。また、ギターや三線などを弾き、バドミントンも相当な腕前です。まさに多芸多才の三上さんですが、ガーデンコーディネーターやフラワーデザインの資格も持ち、「園芸王子」としても多くのファンから親しまれています。

現在、NHK「趣味の園芸」のナビゲーターであり、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」の広報親善大使も務めるなど、園芸と三上さんとは深い関わりがあります。そんな三上さんの、園芸に対する特別な思いを、熱く語っていただきました。

折れそうな心を支えてくれた一面に咲くシバザクラの美しさ 折れそうな心を支えてくれた一面に咲くシバザクラの美しさ

――― 三上さんは舞台や映画、テレビで活躍するほか、「園芸王子」としても多くのファンから声援を受けています。そもそも、園芸に興味を持たれたきっかけはどんなことだったのでしょう。

三上 僕は新潟県で生まれ育ちまして、母はガーデニングが大好きで、小さなころから手伝っていました。当たり前に植物が身近にある環境で育ったことと、新潟は周囲に自然が多かったことも影響していると思います。

自分一人で植物を育て始めたのは大学時代です。進学のために上京し、東京には花や緑が少ないのでがくぜんとしましたが、旅好きでもあったので、暇を見つけては緑のある場所へ出掛けていました。大学生になって間もないころ、埼玉県秩父に向かっていたときに、乗っていた電車の窓から見えたのが、一面に咲いていたシバザクラでした。「何だろう、あれは!」とビックリして、思わず電車を降り、シバザクラの咲く公園(※芝桜の丘/羊山公園)に向かったことを覚えています。東京に出てきて、少し折れかけていた心が癒やされましたね、「あぁ、やっぱりこれ(植物)が好きなんだ」と。

そして、自分の部屋のベランダで植物を育てよう、というところから始まりました。その後すっかり園芸が趣味になり、ブログでも紹介するようになりました。それから数年後のことですが、ブログを見てくれた「趣味の園芸」(NHK)の制作に携わる方々が僕に興味を持ってくださって、その番組のナビゲーターになることにまで発展したのです。ですから、きっかけといえば自分が育った環境、そして秩父でのシバザクラとの出合いでしょうか。

枯らしても次は上手に育てよう!そんな気持ちでガーデニングの輪を広げたい 枯らしても次は上手に育てよう!そんな気持ちでガーデニングの輪を広げたい

――― 映画や舞台、テレビドラマなどで活躍するほか、今お話があったように、園芸関係の番組やイベントにも多数出演されています。園芸にはどんな楽しさや思いがありますか。

三上 テレビ神奈川の「猫のひたいほどワイド」という番組でも、毎週10分間のコーナーで、ガーデニングの魅力を伝えています。最初は僕一人が盛り上がっていただけで、そこに出演している4人のメンバーは、ガーデニングへの興味はそれほどありませんでした。ところが今は、自宅で植物を育てるメンバーも出てきて、しょっちゅう育て方の質問メールが来るほどです。

ガーデニングを好きになってもらうには、きっかけが必要ですよね。そして「育てるのが難しい」というイメージを取り除いてあげることでしょうか。植物を枯らしてしまった経験がある人などは、「また枯らしたらどうしよう…」という感じで臆病になっているかもしれません。

僕は「むしろ枯らしてもいいのですよ」とアドバイスをしています。もちろん植物にはかわいそうなのだけれども、そこで学んで、次は上手に育てようと思って続けていけば、植物も喜ぶし、ガーデニングの輪も広がっていくのではないかと信じています。

――― 三上さんはガーデンコーディネーターの資格をお持ちですよね。さらには、NFD(公益社団法人日本フラワーデザイナー協会)の資格まで取得していると聞いています。

三上 「趣味の園芸」では、毎回招かれたスペシャリストの先生からじかに教わることができるのです。司会をしていく中で自然に知識が付いていくので、それを単なる知識にとどめておくのだけではもったいないと思いました。せっかくなので形にしたくて、日本園芸協会のガーデンコーディネーターという資格を取得しました。さらに、知人の結婚披露宴で「ブーケを作ってくれない?」と頼まれたことがきっかけで、フラワーデザイナーという資格も取得することになったのです。

依頼があってから大慌てでその資格を取り、ブーケから贈呈用の花束、テーブル装花まで、披露宴で使う花の一切をデザインしました。いくらプロ養成コースの資格を取ったからといって、すぐ実践する人、なかなかいませんよね(笑)。

――― 実践あるのみですね(笑)。資格の取得は、それを生かすことに意味があるのですから。

三上 その通りだと思います。資格を取ってもやはり実践をしないと…。西武プリンスドームで開催される「国際バラとガーデニングショウ」の司会を毎年やらせてもらっているのですが、ガーデンコーディネーターとして、そこでデザインを担当したのが初めてでした。

そのような流れがあって「第33回全国都市緑化よこはまフェア」(2017年春に開催/以下「よこはまフェア」)において、「里山ガーデン」というメイン会場の一つで、入り口のところを僕がデザインを担当することになりました。まさかの出来事でしたが、とても光栄です。

「よこはまフェア」のテーマは祖父への思いにつながっていく 「よこはまフェア」のテーマは祖父への思いにつながっていく

――― 三上さんは「第33回全国都市緑化よこはまフェア」の広報親善大使を務めています。さらに会場デザインまで携わっていらっしゃるということですが、どのようなご活動をされているのでしょう?

三上 よこはまフェアの愛称が「ガーデンネックレス横浜2017」ということで、ガーデン=庭が、ネックレスのように人と人をつないでいく、植物がつなぐ力というものをテーマにしています。

僕自身の体験でいえば、父方の祖父のことでしょうか。園芸が好きで、僕が生まれるのを楽しみにしてくれていたそうです。桜のような花の咲くハナカイドウを育てていた祖父は、それを接ぎ木して、僕が生まれる記念植樹のような形で新たに実家に植えてくれましたが、僕の生まれる直前に亡くなりました。春になると今でもその花が満開に咲くのです。祖父には会ったことがないのですが、僕の顔や話し方、園芸が好きなところまで怖いくらい似ているそうです。

植物には不思議な力を感じます。人と人とを時を超えて、たとえ会ったことのない方であっても、植物の力でつないでくれると思えます。よこはまフェアはまさにそういうことをテーマにしていて、微力ながら、自分の経験も踏まえてお伝えできるように活動させていただいています。

――― 「よこはまフェア」はどのようなイベントになるのでしょう。

三上 メイン会場は、山下公園やグランモール公園、港の見える丘公園などで構成される「みなとガーデン」と、横浜動物の森公園の植物公園予定地である「里山ガーデン」の2会場です。「みなとガーデン」では、横浜港開港とともに築かれた歴史的な建造物の緑化や、魅力ある景観を花と緑で引き立てます。また、それだけではなく、みなとみらい地区に代表される新しい横浜を、緑化壁など緑化技術で演出します。

「里山ガーデン」は、里山の魅力や楽しみ方を身近に実感し、しかも体感ができるのです。市内で最大級となる花の景観や、自然の樹林を使ったアスレチックなど、子どもから大人まで楽しめる会場を目指しています。僕はこの「里山ガーデン」の入り口部分のデザインを担当することになりました。どちらも一度だけではなく、何度も何度も来場していただきたい場所ですね。

――― メイン会場以外のパートナー会場には、横浜イングリッシュガーデンや三溪園、八景島などたくさんあって、ネックレスのようにつながるのでしょうか。

三上 人と人とが交流できる場所になると思います。僕自身の経験でも、植物がそこにあると話が弾むなあ、と実感しています。緑が周りにあふれていると、人と人との距離が近くなりませんか?普段は人にそう話し掛けることがない人でも、ガーデンなどに遊びに行くと、「この花はなんですか?」など、自然に話し掛けることができますよね。

例えばヨーロッパでは、全く知らない人同士が「この庭いいね!」なんて言いながら、仲良くなったりするようです。まさにこの横浜で、至る所でそういうことが起きるのではないかな、と思います。人と人とがつながっていくという期待が膨らみます。

今では「相棒」のような存在 三上さんのシンボルツリーとは? 今では「相棒」のような存在 三上さんのシンボルツリーとは?

――― 話は戻りますが、三上さんはお母さまの影響を受けながら、幼少のころから花が身近にあったということでした。俳優のほか、園芸に関するお仕事を始めてから、三上さんが変わったことなどはありますか。

三上 「全開になった」という感じですね(笑)。蕾だった自分が、今や園芸について多くの人と話ができるようになって本当にうれしいです。

ガーデニングを好きになるには、やはりきっかけが必要だと思います。完全に枯れたと思っていたアジサイに、他の花と一緒に水やりしていたらいきなり芽吹いてきて復活したこともありました。そのときは、「やっぱり諦めちゃいけないのだな」と、人生を教わったと感じました。

園芸店に行くと、心にビビッとくる植物がきっとあると思います。まずそれを育ててみることがきっかけになって、その花に相性がいいのはどんな花だろうとか、やっぱり寄せ植えにしてみたいなとか、その植物から次の植物へ広がっていきます。そして、自分だけの「シンボルツリー」を育てるのもすてきなことだと思います。

――― なるほど、自分でシンボルツリーを決めて、大切に育てるというのはすてきなことですね。三上さんご自身にとって、そのような植物があるのですか?

三上 僕の場合は、ガジュマルという沖縄の木を育てています。キジムナーという精霊がすんでいるといわれる木なのですが、沖縄を舞台にした映画(※「星砂の島のちいさな天使 ~マーメイドスマイル~」)に出演したことがあって、僕と兄弟役の俳優がガジュマルの大木に登って語り合うというシーンがありました。ロケが終わって東京に帰ってからガジュマルの観葉植物を見つけ、外に出したり家に入れたりして大切に育てました。

沖縄の木なので寒さには強くないと思うのですが、とても丈夫な木です。初めは手に持てるくらい小さかったのに、いつの間にか僕の身長くらいに成長し、今は完全に屋外で育てています。すっかり僕の「相棒」という感じです(笑)。

ガジュマルの木を育て始めてすぐに「趣味の園芸」からお話をいただいたのが不思議でした。新潟の実家にあるハナカイドウと共に、僕を導いてくれるシンボルツリーだと思っています。

日本のガーデニングを世界に誇れる園芸文化に! 日本のガーデニングを世界に誇れる園芸文化に!

――― 今後、「このような園芸品種があったらいいな」とか、「このように栽培できる植物があったらいいな」など、ご要望などを教えていただきたいです。

三上 園芸を始めたころは、きれいなものや新しい形に心引かれたのですが、今はたくましいものがありがたいです。強い植物といえども必ず弱さがあるところを、サカタのタネさんは必ず強くしてくれます。そういったことをどんどん推進していってほしいですね。また、どうしても冬には花の種類が少なくなるので、冬もたくましい植物をまたどんどん増やしていただけたらうれしいですね。

冬越しができないもの、夏越しをさせるのが難しいシクラメンなど、たくましい植物をぜひお願いします。枯らすことを恐れずに育ててほしいと言いましたが、やはり枯れると悲しいので…。

――― では最後に、「園芸通信」を見てくださっている全国の園芸ファンの皆さまに、メッセージをお願いします。

三上 植物好きの方がつながっていって、もっともっと園芸好きな方が増えていったらうれしいな、という思いがあります。よこはまフェアもきっかけになって、日本でガーデニングブームが大きく巻き起こるとうれしいです。盆栽など日本には素晴らしい文化がありますから、世界に誇る園芸文化をもっともっと発信できたらいいですね。

――― 多くの貴重なお話を、本日は大変ありがとうございました。

取材・撮影:サカタのタネ
2017年1月20日更新

三上真史 三上真史 生年月日:1983年
出身地:新潟県
身長: 177cm

主な出演作品
NHK Eテレ「趣味の園芸」レギュラーMC出演中(2011年~)
テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」水曜日レギュラーMC
舞台「歳末明治座 る・フェア 年末だよ!みんな集合!!」W主演 演出:毛利亘宏(2013年)
舞台Dステ14th「十二夜」演出:青木豪 オーシーノ 役(2013年)
テレビ朝日「ナサケの女」(2010年10月~12月)
映画「リンダリンダリンダ」監督:山下敦弘(2005年)
映画「スウィングガールズ」監督:矢口史靖(2004年)
舞台「大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎすぎると討たれちゃうよ~」主演 演出:板垣恭一(2011年)
舞台「国民傘」作・演出:岩松了(2011年)
舞台「あれから」作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(2008年)

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