失敗しない栽培レッスン(草花)

ムスカリの育て方・栽培方法

植え時期 ・まき時期
植え場所
栽培難易度
※★マークが多いほど難易度が上がります。
学名

Muscari

和名/別名
ボトリオイデスはルリムスカリの和名を持つ
英名
Grape Hyacinth
分類
ユリ科ムスカリ属 耐寒性球根
  • 生育条件

    用途
    地植え・鉢植え・タワー仕立て
    日当たり
    日なた
    耐寒性
    土壌酸度
    中性~弱アルカリ性
  • 栽培管理

    地植え適所・土質
    日当たりと水はけのよい場所、水はけのよい砂質土を好む
    鉢植え用土
    腐葉土の3割くらい入った水はけのよい培養土
    鉢サイズ・種類
    12~15cm鉢、標準鉢
    植え付け
    [地植え]間隔5~6cm、深さ2~3cm [鉢植え]間隔2~3cm

栽培暦

ムスカリとは

大きな木の下に植えられた、赤、黄、色とりどりのチューリップやスイセンの間を、鮮やかな紫青色のムスカリが川の流れのように配置されているオランダのキューケンホフ公園。その写真が紹介され、日本におけるムスカリのイメージが一変しました。早春に、赤や黄色の花に交じって咲く、鮮明な青色のアルメニアカムのコントラストの美しさは、一気にムスカリの人気を高め、大量に輸入されるようになりました。 

ムスカリは、耐寒性が強いために作りやすく、寒冷なヨーロッパでもよく咲くので、1500年代の終わり頃から栽培が始まっています。分布地はヨーロッパから中近東、小アジアまでの広い範囲にまたがり、50~60種類の原種が知られています。

花の語源はムスク(じゃ香)で、マスクメロンのような香りがあります。花色は青系の他に桃色や白色、部分的に黄色のものもあります。花の形は丸い小さな小花がブドウの房のようなものから、筒状や、変わったところでは羽毛状の花を咲かせるものもあります。

ポイント

地植え、鉢植え両方OKです。
日当たりと水はけのよい所で栽培すること。やや遅植えにすると葉が長くならず、コンパクトな草姿が作れる。

植えつけ

ムスカリの球根の植えつけは10~11月が適期となります。早く植えると葉が長くなりすぎるので、遅く植えます。  

地植えにする場合、水はけのよい砂質がかった土質の、日当たりのよい場所が適地となります。球根は5~6cm間隔で植え、球根ひとつ分の高さの土がかかる深さに植えます。

鉢植えにする場合は、腐葉土の3割くらい入った水はけと根張りのよくなる培養土を使います。葉を5~6cmの長さに抑えて作るには11月下旬頃の遅植えにし、球根の頭部が3~4mm出るようにして植えると、花梗と葉は短くコンパクトな草姿で花を咲かせることができます。鉢は12~15cm鉢を使い5~7球植えとします。日当たりのよい所に置いて葉がかたく小さく育つようにします。

子球がついている時は子球をはずして植え込み、子球による養分の損失を防ぐ。残しておくと子球の肥大に母球の養分がとられて花穂が小さくなる

子球がついている時は子球をはずして植え込み、子球による養分の損失を防ぐ。残しておくと子球の肥大に母球の養分がとられて花穂が小さくなる

球根1球分の高さの土がかかる深さに5~6cmの間隔で植える

球根1球分の高さの土がかかる深さに5~6cmの間隔で植える

頭部を出して植えると寒さのストレスで葉は5~6cmと短くてかたい立葉になる

頭部を出して植えると寒さのストレスで葉は5~6cmと短くてかたい立葉になる

鉢植えを翌年も開花させたい時は上の方の花が2~3段咲き残っている時点で肥沃な土を入れたふた回りくらい大きいに植え替える

鉢植えを翌年も開花させたい時は上の方の花が2~3段咲き残っている時点で肥沃な土を入れたふた回りくらい大きいに植え替える

発芽後の管理

耐寒性が強い植物なので、戸外で楽に越冬します。葉が出たあと、日当たりの悪い所に置くと葉が長くなりやすく、花梗も長くなり曲がるおそれがあるので、よく日に当ててかたくガッチリと育つようにします。

春が近づくと雨が多くなりますが、地植えにした場合、花壇の周辺に水がたまることを嫌うので、大雨のあとなど、水がたまったら、水はけ用の溝を切って水を流し、不要な水がたまらないようにします。

鉢植えの水やりは土の表面が白く乾いてからやるようにし、土の表面の色が湿り気をおびている時は水を控えめにしておくと植物体がかたくしまった生育をし、土の表面にゼニゴケが生えるのも防げます。鉢植えは開花まではよく日を当てて作りますが、開花後は午前中の日が半日ほど当たる所に置くと花色の褪せも防げ、長く鮮やかな色を保ち、花もち期間も3割ほど長くなります。

肥料

ムスカリは水栽培ができるくらい球根内に養分を貯えています。無肥料で作っても花は咲きますが、ほんの少し肥料を施すと生育促進になり、ひと回り大きな花房をつけ花期も早まります。

地植えは球根植えつけ後、土の上に化成肥料をばらまいて元肥とします。

鉢植えは化成肥料を置き肥として施します。

追肥は翌年も花を咲かせる時は花後から葉の緑の間、液肥を月に2回くらい水やり代わりに与えます。

花後の管理

地植えにしたものを2~3年間植えっぱなしにする場合は、最後の花が2~3輪残っている時に、花梗を引き抜いて結実を防止します。  

球根の肥大は開花後40~60日間が一番肥大するので、この期間十分に肥培すると共に、雑草などを生やさないようにします。鉢植えも翌年、花を咲かせたい時は花を上まで全部咲かせず、上の花が3~4輪残っていても、花梗を引き抜き、球根が小さくならないように開花に使う養分を減らします。

その時に、ふた回り大きい鉢に肥沃な土を使って植え替えをすると、球根は新しい土に張って養水分を十分に吸収するので、植えた時と同じ大きさに肥大します。 

掘り上げを行う時は、葉が枯れてなくなると球根の位置が分からなくなるので、葉が残っている間に掘り上げて冷暗所に保存します。鉢植えは葉が黄ばみ始めたら、水やりを打ち切り、完全に土を乾かして鉢ごと雨水のかからない涼しい所に置いて夏越しをさせます。

病害虫

3~4月の気温が低く、害虫の少ない時期に花が咲く植物なので、害虫はほとんど見かけません。

病害は、未熟な堆肥の使用や水はけが悪いと白絹病が出やすくなるので、病気の出ない環境を作って発病を防ぎます。

ムスカリのタワー仕立て

1cmくらいの網目のチキンネットと水ゴケで円錐形を作り、球根を植えると、紫色の見事なタワーが作れます。日当たりのよい所に置いて葉がかたく小さく育つようにしましょう。
(1)チキンネットを円錐形にし、網目から芽が出るように球根を入れ、隙間には水ゴケを詰めます。円錐形の中央部は培養土を詰めます。

(2)円錐形がいっぱいになったら、培養土を入れた鉢にのせます。

監修:坂本 忠一