失敗しない栽培レッスン(野菜)

イチゴの育て方・栽培方法

イチゴの青果
イチゴの青果
    イチゴの苗
    イチゴの苗
    イチゴの花
    イチゴの花
植え時期 ・まき時期
植え場所
栽培難易度
★ ★ ★ ★ ★
※★マークが多いほど難易度が上がります。
学名

Fragaria ×ananassa Duchesne

和名/別名
イチゴ、苺
英名
Strawberry
原産地/生産地
ヨーロッパ
分類
バラ科オランダイチゴ属
生育適温
15~25℃
  • 生育条件

    日当たり
    日なた
    土壌酸度
    弱酸性 pH5.5~6.5
  • 栽培管理

    地植え適所・土質
    土質は特に選ばないが、栽培期間が長いので、堆肥など腐植質に富んだ地力のある土壌が適している。
    鉢植え用土
    市販の野菜用培養土やイチゴ専用培養土、または、赤玉土小粒6:腐葉土2:完熟堆肥2を混合し、苦土石灰と有機配合肥料を、用土10L当たり各10~20gを入れてよく混ぜ合わせ、1週間ほどなじませる。
    鉢サイズ・種類
    [丸鉢]直径18cm(6号鉢)以上に1株。[65cm幅の長型プランター]2~3株植え。[鉢の深さ]20cm以上の深型プランターを使用する。
    植え付け
    [畝]畝幅70~80cmで2条植え。[株間]約30cm。

栽培暦

※地域や品種により作業時期が異なるため、詳しい時期はラベル等に書かれている作型図を参考にしてください。

イチゴとは

イチゴは食べ物としては主要な果物の一つとして扱われますが、植物的にはバラ科に属する多年草で、ウリ科のメロンやスイカと同じく野菜に分類されます。

日本には江戸時代の後期にオランダからもたらされましたが、本格的に栽培が普及したのは明治以降で、当時は比較的温暖な太平洋岸の一部で、小規模な露地栽培が主流でした。

露地栽培の収穫時期は、春から初夏にかけての4~6月だけでしたが、昭和の半ばころからビニールハウスと暖房機の普及によって産地も広がり、クリスマスから正月にかけての冬が旬となり、5~6月ごろまでの長い期間、大量に出回るようになりました。

最近では、産地独自の品種改良が進み、より香り豊かで、大きく甘みの強いイチゴが流通するようになり、ビタミンCを豊富に含む美容と健康によい食品として、世代を問わず人気となっています。

家庭菜園でもいくつかのポイントさえ押さえれば、比較的簡単に栽培できます。露地栽培では、雨に当たることで発生する病気や、虫、鳥などの食害の予防も必要なので、管理のしやすいプランター栽培がよりおすすめです。完熟で収穫できる家庭菜園では、市販のイチゴとは異なる新鮮な香りと甘さが味わえるのも魅力です。

ポイント

イチゴの栽培適温は15~25℃で、冷涼な気候を好み、暑さと乾燥を嫌います。夏の暑さにはやや弱いものの寒さには強いので、寒さに十分当てることで春の開花数が増加します。

イチゴには生育特性や形質の異なる品種がたくさんありますが、大きくは品種の系統により「一季なり」と「四季なり」に分かれます。四季なりイチゴの栽培は少なく、青果として出回る品種はほとんど一季なりです。

一季なりの品種は、越冬中に花芽を作り、春に開花して5~6月に収穫時期となります。収穫時期を過ぎると実を付けず、栄養成長期に入ってランナー(ほふく枝)を伸ばして子苗を育て始めます。

それに対して四季なり品種は、冬の間と真夏以外は開花を続けるので、5~6月と真夏を避けた9〜10月にも収穫できます。

一季なりと四季なりの栽培のしやすさはあまり変わりませんが、家庭菜園用には、秋植えなら一季なりの品種、春植えなら四季なりの品種がおすすめです。

土づくりの準備

畑

2週間以上前

イチゴの苗を定植する2~3週間前に苦土石灰を1平方メートル当たり100~150g畑にまいて耕し、酸度調整を行います。

苦土石灰を1平方メートル当たり100~150g畑にまいて耕し、酸度調整を行う

1週間前

さらに、1週間以上前に1平方メートル当たり完熟堆肥2kgと有機配合肥料(8-8-8)を100g、リン酸分の補給に過リン酸石灰50gを施して、よく耕します。

1平方メートル当たり完熟堆肥2kgと有機配合肥料(8-8-8)を100g、リン酸分の補給に過リン酸石灰50gを施して、よく耕す

イチゴの苗を定植するまでの間に畝づくりをします。水はけのよい場所を好むので、畝幅70~80cm、畝高15cm程度にして、表面を平らにならします。

畝幅70~80cm、畝高15cm、通路幅70~80cm程度にして、表面を平らにならす

この作業のポイント

イチゴの根は浅く広がり、乾燥の影響を受けやすいので、畑の場合は高畝にして水はけをよくし、有機質を十分含んだ、水持ちのよい土づくりを心掛けます。

特に排水の悪い畑では、畝の高さを20~30cm程度の高畝にして、過湿を防ぎます。定植後の乾燥防止と雨の泥はねによる病気の予防も兼ねて黒マルチを利用するのも効果的です。

また、イチゴの根は肥料焼けしやすいため、元肥の量は控えめにして、植え付け前に十分な日数を取って、土に肥料をよくなじませておきます。

鉢植え

丸鉢なら直径18cm(6号鉢)以上に1株、65cm幅の長型プランターなら2~3株植えとします。鉢の深さは20cm以上のプランターを使用します。

プランターの底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き、上から2~3cm程度のウォータースペースを残して用土を入れます。

用土は、市販の野菜用培養土やイチゴ専用培養土を使用すれば土づくりの必要がなく、すぐに使えるので便利です。自分で用土を調合する場合は、赤玉土小粒6:腐葉土2:完熟堆肥2を混合して、そこに苦土石灰と有機配合肥料を用土10L当たり各10~20gを入れてよく混ぜ合わせます。土の表面をならして、1週間以上土と肥料をなじませます。

プランターの底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き、上から2~3cm程度のウォータースペースを残して用土を入れる。苦土石灰と有機配合肥料を用土10L当たり各10~20gを入れてよく混ぜ合わせる

この作業のポイント

立体的に果実が垂れ下がり、見た目もかわいらしいので、ストロベリーポット(イチゴ専用の鉢)を使うのもおすすめです。

ストロベリーポット(イチゴ専用の鉢)を使って栽培している様子

苗の準備

イチゴを初めて栽培する場合は、園芸店やホームセンターで市販の苗を購入して植え付けます。イチゴの苗の販売は、秋の9~10月ごろと春の3~4月の年2回あります。

一季なりの品種は秋植えがよく、春の苗はあまり収穫量が期待できないので、5~6月にランナーを伸ばして来年に向けた苗づくりに利用します。四季なり品種なら、春植えは6~7月、秋植えは10月いっぱいまでの収穫が期待できます。

この作業のポイント

イチゴの苗は、葉の緑が濃くて病気の黄色い斑点などがなく、葉に厚みがあり、株元のクラウン(葉の付け根の成長点部分)の膨らみが大きいものを選びます。

クラウンのふくらみが大きく、葉の緑が濃くて病気の斑点などがなく、葉に厚みがある苗を選ぶとよい

定植

イチゴの苗の植え付け適期は、春植えの場合は3~4月、秋の場合は9~10月です。

畑

条間30~40cm空けた2条植えで、株間30cmとします。ポットよりひと回り大きめの植え穴を掘り、ポットから根鉢を崩さないように取り出します。その後は、土を寄せてイチゴのクラウンが少し隠れる程度に覆土して軽く押さえます。植え付け後はたっぷりと水をやり、1週間ほど土が乾かないように管理すると、活着しやすくなります。

畑の場合は、ランナーの切り跡を畝の内側に向けて植えると、花が反対側の通路の方にそろって出るようになるので管理がしやすくなります。

地植えでは、ランナーの切り跡の向きを畝の内側にそろえると、花が反対側の通路の方にそろって出る

鉢植え

プランターも畑同様、ポットよりひと回り大きめの植え穴を掘り、ポットから根鉢を崩さないように取り出します。その後は、土を寄せてクラウンが少し隠れる程度に覆土して軽く押さえます。

鉢植えの場合、丸鉢なら苗を中央に植えますが、長型のプランターの場合は、中央から少し片側に寄せて、ランナーの切り跡を片側に向くようにそろえて植え付けると、果実が反対側のプランターの縁から垂れ下がるように仕立てられます。

長型のプランターでは、ランナーの切り跡の向きを鉢の内側にそろえると、花が鉢の縁にそろって出る

植え付け終わったら、病気の防止や防寒のため株元にわらなどを敷きます。

この作業のポイント

イチゴの苗を植え付けるときは、株元の茎の膨らんだクラウンの深さに注意します。浅く植えると根がうまく張れず、深く植えると株が弱り、根腐れの原因や生育が遅くなります。

イチゴの苗を植え付けるときは、株元の茎の膨らんだクラウンの深さに注意する。クラウンが浅過ぎる×、クラウンが深過ぎる×、クラウンが浅過ぎず深過ぎないのがちょうどよい○

ランナーの向きがわからない場合は、クラウンの形で判断します。クラウンは、片側に膨らんで苗全体が反った形に見えます。クラウンが膨らんだ方から花が出るので、反って膨らんだ方を外側に向けて植え付けます。

ランナーの向きがわからない場合は、クラウンが反って膨らんだ方に花が出る

水やり

畑

地植えの場合、基本的に水やりは行いませんが、極端に乾燥が続く場合は通路を含め、しっかり水やりします。

鉢植え

イチゴは乾燥に弱いので土が乾いたら、朝にたっぷり水やりします。冬場は生育が止まっていても根は生きています。乾燥した日が続くときは水やりを忘れないように注意します。

追肥・土寄せなどの栽培管理

イチゴの苗の定植後、年内の肥料は控えめにゆっくり長く効く有機質肥料を施します。肥料が多過ぎると、花芽が付かず、葉とランナーばかりになってしまう場合があります。過度に株を茂らせないように注意します。

畑

定植から約1カ月後、株がしっかり根付いたら、1回目の追肥を行います。1平方メートル当たり有機質肥料を20g程度、株元から15cm程度離れたところに施して、土と軽く混ぜ合わせます。これにより、冬の間にしっかりと根を張らせて春に備えます。

その後は、2月中旬に1回目と同量の追肥をします。状況によっては、4月に開花が始まり、3回目の追肥を施すこともあります。元肥・追肥が多過ぎると、花芽が付かず、葉とランナーばかりになる場合があるので、肥料の施し過ぎには注意します。

黒マルチの穴に手を入れて、株元から15cm程度離れたところに1平方メートル当たり有機質肥料を20g程度施して、土と軽く混ぜ合わせる

鉢植え

鉢植えも植え付け後1カ月くらいの11月に1回目、1株当たり5g程度の有機質肥料を土の表面にまいて、軽く土と混ぜます。その後、2月中旬に2回目、状況を見て4月上旬に3回目の追肥を1回目と同様に行います。

敷わらを避けて、1株当たり5g程度の有機質肥料を土の表面にまいて、軽く土と混ぜる

この作業のポイント

イチゴは低温には強くそのままでも越冬しますが、寒波が予想されるときは敷わらや不織布などで覆うか、プランターごと寒風の当たらない場所に移動するなどの対策をします。

整枝、着果などの栽培管理

定植してから暖かい日が続くと、花を付けたり、ランナーが伸びたりすることがあります。3月までは実が付くことはないので、蕾のうちに摘み取ります。ランナーは寒くなると伸びは止まりますが、株元から切り取って株の充実を図ります。

2月になると春の新芽が動き出すので追肥をします。その際、冬の間の枯れ葉や赤くなって傷んだ葉は、株元からかき取って株周りを清潔にして、病気の予防とともに新葉の発生を促します。

冬の間の枯れ葉や赤くなって傷んだ葉は、株元からかき取って株周りを清潔にして、病気の予防とともに新葉の発生を促す

気温が上がるとランナーがどんどん伸びてきますが、着果を安定させるため収穫前と収穫中に伸びるランナーは全て株元から切り取ります。

この作業のポイント

イチゴは虫によって花粉が授粉されますが、3~4月の気温が低いときは訪花昆虫の活動が少ないので、人工授粉を行います。

花粉が出ているのを確認したら先の柔らかい筆や綿棒、耳かきに付いている白い綿毛のようなぼん天などで優しく花粉を取り、花の中心にある多数の雌しべに満遍なく花粉を付けると形のよい果実ができます。

病害虫

熟した果実はカビが生えやすく、ナメクジや鳥にも狙われます。防虫ネットなどの被覆材で予防します。

また、アブラムシ、ハダニ、ナメクジなどの害虫やうどんこ病、灰色かび病、炭疽(たんそ)病などの病気にもかかりやすいので注意します。

ポリマルチや敷わらで泥汚れを避けることで、病気になりにくくなります。病害虫の発生がひどくなってしまったらイチゴの適用農薬の使用も考えます。

畑

連作を避け、風通しをよくします。また、実が付く時期は雨よけのトンネルなどを利用します。

鉢植え

風通しがよく雨の当たらない場所に置き、防虫ネットなどを張ることでかなりの病虫害を避けられます。被害の状況で対策を立てましょう。

収穫

イチゴは開花後から30~40日たったころが収穫の目安です。果実全体が赤く熟したら、へたの上をハサミで切るか爪を立ててちぎるように収穫します。果実にしっかり日が当たるようにするとよく着色します。

果実が白い品種は、開花後の日数を目安に、へたの反り上がりや果実から香りで収穫時期を判断します。

イチゴは、へたの上をハサミで切るか爪を立ててちぎるように収穫する

この作業のポイント

傷みが早く、日持ちしないので保存には向きませんが、短期間なら水洗いせずに冷蔵保存します。長期保存する場合は、へたを取ってからポリ袋などに入れて冷凍保存します。

翌年用の苗作り

収穫していた親株はワンシーズンで終了にして、翌年以降は収穫後に伸びるランナー(ほふく茎)から子苗を採取して栽培を継続できます。

5~6月は盛んにランナーが伸びてきますが、当分は収穫を優先してランナーを見つけ次第、小まめに切り落とします。収穫量が減ってきたらランナーを伸ばし、収穫が終わる6月ごろになったら、太くて生育の勢いがよいランナーを残して、子株を取らないランナーは切り落とします。

1本のランナーには、親株から近い順に一番苗、二番苗、三番苗、四番苗と続きます。子株を取るのは四番苗までがよく、栄養を集中させるためにそれ以降に伸びるランナーは切り取ります。

イチゴは、親株から近い順に一番苗、二番苗、三番苗、四番苗と続く。子株を取るのは四番苗までがよく、栄養を集中させるためにそれ以降に伸びるランナーは切り取る

子苗はランナーから切り離さず、培養土を入れた9cmポットの上に置きます。U字型に曲げた太めのアルミ線などで、ピンのように土に差し込んで根付くように株を固定します。

イチゴの子苗はランナーから切り離さず、培養土を入れた9cmポットの上に置く。U字型に曲げた太めのアルミ線などで、ピンのように土に差し込んで根付くように株を固定する

20日ほどで根が活着したら、ランナーから子苗を切り離します。親株側のランナーを2~3cm残して切り、反対側のランナーは株元から切ります。一番苗は親株の病気を引き継ぐ心配があるため使用せず、二~四番苗を育苗します。ランナーを短く切った方に花が咲くので、植え付ける向きの目安にします。

ランナーから子苗を切り離す。親株側のランナーは2~3cm残して切り、反対側のランナーは株元から切る。一番苗は親株の病気を引き継ぐ心配があるため使用せず、二~四番苗を育苗する

監修:福島剛

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