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【第19回】育てた苗をどう植えるか、植栽プランを立てましょう

文・写真

三橋理恵子

みつはし・りえこ

園芸研究家。一年草・多年草をタネから育てる研究をしている。著書に『三橋理恵子の基本からよーくわかるコンテナガーデン』(農文協)、『イラストで学ぶ、はじめてのガーデニング』(角川マガジンズ)などがある。


※タネのまきどきなどは神奈川県横浜市における栽培に基づいて記載しています。

【第19回】育てた苗をどう植えるか、植栽プランを立てましょう

2018/07/03

苗を植えるプランニングノートを作りましょう

育苗スペースで苗たちがだんだん大きく育ってきて、植えられる日を待っています。もちろんどこに植えるか、見当をつけてまいたものもあるでしょうが、そうでないものもあるかもしれません。自分で育てたかわいい苗たちをより魅力的に生かすために、どこにどう植えるか、前もって全体的なプランニングをします。

タネから育てると、ともすると苗を育てることに頭が集中してしまい、その苗たちをどう植えるかは二の次になりがち。でも、育てる喜びのほかに、庭でどう咲かせるか。ここにもう一つ、タネまきの喜びがあります。特にうまく苗を育てられるようになった方には、どう魅力的に植えるか次のステップをぜひ踏んでいただきたいです。

草花の種類、苗の数、草姿、草丈、花色、葉色、そして植え場所、植え方などをトータルに考えます。プランニングは、ノートに書くのが一番。コンテナや花壇を描いて、実際に草花を配置してみます。合わせて実際に咲いているイメージも、絵にしてみるといいでしょう。この作業は上手に植えるために大切で、創作の喜びもあります。

例えば、ノートにこんなふうに書きます。直径24cm×深さ24cmのイタリアンテラコッタ。「鉢が優しい雰囲気なので、パステル調の草花など2~3種類寄せ植えしたい」、など思いついたアイデアを書いていきます。中型の鉢に多種植えというプランです。

この後どの草花を植えるか決めていきます。プランを立てるときは、まず主役になるものを決め、それに合わせて準主役になるもの、脇役になるものを選ぶとやりやすいです。ここではキンギョソウ 「トゥイニー ピーチ」を主役に、はうように育つ黄色とピンクの覆輪のビオラを間に、鉢の縁にリムナンテスを植えるとします。アプリコット、ピンク、黄色の優しく春らしい組み合わせのプランです。こんなふうに育てた苗たちにいろいろなアイデアを展開させて、植えるプランを机上でつくっていきます。

植栽のプランは、いくつかの草花を組み合わせる方法だけではありません。最初に植え方としてご紹介したいのは、他の草花と組み合わせずに1種類だけで植えるやり方です。草花の中には、単独で植え込む方が美しく映える草花があります。公共のガーデン施設などの広いスペースでも、1種類だけで植え込まれることがあります。高性種ではルピナスやポピー、ハナビシソウ、ジギタリスなど。わい性種ならネモフィラ、ペチュニア、パンジーなどです。これらはそれ1種類で映えます。脇役を必要としない草花といってもいいかもしれません。

単独植えで華やかな草花たち(1)ジギタリス(2)ハナビシソウ(3)ルピナス

家庭の庭ではそう広いスペースは取れませんが、この手法を応用して小さな規模で植え込むこともできます。同じ花が咲きそろうので、それは見事です。タネから育てればたくさんの苗が育てられますし、1種類なら管理も楽。ただし、この植え方は日当たりのよい場所を確保することが条件です。

コンテナでも1品種だけ植え込んで引き立つ草花がたくさんあります。ネモフィラ、ロベリア、ペチュニア、パンジー、ビオラ、ハボタン、わい性のキンギョソウ、インパチェンス、ビンカなど。こんもり茂って株のてっぺんにたくさんの花を一度に咲かせるわい性の草花たちです。存在感があるので、玄関先や庭に飾るのに向きます。1品種の魅力を堪能できるほか、育ちも均一なので手入れしやすく、初心者の方にはここから始めるのがおすすめです。

コンテナで単独植えが引き立つ草花たち(1)ビオラ(2)カレンデュラ(3)スイスチャード(4)ペチュニア(5)ダールベルグデージー

草花同士を組み合わせて植えるときの基本ルール

花壇やコンテナに、1種類でなく数種類あるいは多くの草花を植え込みたいこともあります。どう植えれば失敗なく魅力的に咲くか。ここが一番の関心事です。タネから育てるのは一年草がほとんど。毎年いろいろトライできて、楽しみは大きいです。アイデアがむくむくと湧いてきて、次はこんなのを試したい。そう思うこともあるでしょう。それが次のタネまきの原動力になります。

草花にはそれぞれ個性があります。花の形や大きさ、花色、葉の形や大きさ、葉色、草姿、草丈などです。この違いを利用して、よりよい組み合わせを考えます。キーワードは多様性。といっても、たくさん混ぜて植えればいいわけではありません。バランスよく、それぞれを生かす組み合わせ。または主役を引き立てる組み合わせを考えます。

まずは花色から。花の色はコンテナや花壇のイメージを決めます。特に個性ある花壇作りには、赤、青、黄色、ピンクなどの色を全部1つの花壇に混ぜずに、基本色を決めてそこから合う色を組み合わせます。1色使いならより個性が際立ちますが、青と黄色など反対色を2色使いにしたり、同系色をグラデーションさせてもよくまとまります。

さらに同じ色であっても、花色にはそれぞれ違いがあります。例えば、赤い花も、オレンジに近い燃えるような赤と、青みがかったクールな赤があります。ピンク色でも温かみのある黄みがかったものと、青みがかったものがあります。特に寄せ植えのコンテナなどでは、こうした違いをよく見て、同じような色調に統一するとより洗練されます。大ざっぱには、温かみのある色とクールな色に分けてみるといいでしょう。

花色は季節によっても変わります。春に咲く秋まき草花は、淡く軽いパステルカラーの花色がそろっています。パステル系はお互いを邪魔せず、春らしい色合いになります。ただし淡い色なので、ところどころ赤やローズ、紫といった濃い色を差し色に加えると全体がまとまります。初夏から咲く春まき草花は、赤、ローズ、オレンジ、黄色など暖色系の濃く明るい色合いが充実します。春咲き草花のように一度に咲かず、花がぽつぽつ順に長く咲くので、カラフルにしてもきつくなりません。

草花の花色を統一したカラーガーデン

花は色だけでなく、大きさや形も植栽のバランスに影響します。特にわい性の草花には、丸い花が多いので、これを並べて植えるとうまくハーモニーを奏でません。花には集合花のものや穂状に花が咲くものなど多様なので、それらをうまく組み合わせましょう。

葉も草花によって形や大きさ、色などまちまち。逆によく似通っているものもあります。花壇やコンテナでも、葉の違いを利用して植えると美しくなります。グラスのような細長い葉や、レタス類のように大きな葉のものを使うのも効果的。緑が重たく見えるのは、同じような葉の面積が広いためです。

植え方で最も気を使うのが草丈です。わい性種、ニーハイ(膝丈)種、ほふく性種は花壇やコンテナでも扱いやすいもの。一方高性種は、もともと切り花用として育種された品種であることがほとんど。花壇に植えるとやがて、伸び過ぎたり広がり過ぎたりすることもあります。分枝して広がるものは、特に株間を空けて配置するようにします。高性種でも長く花穂を伸ばすキンギョソウやストック、ジギタリスなどは1本立ちで育つものがほとんど。扱いやすく、花壇の主役になります。

苗の段階でのプランニングで注意したいのは、特に秋まきの場合、苗の時点での草姿が咲いたときと一致しません。苗のうちは地面に接するようにロゼット型に葉を広げて育つものが多く、これを草丈の低いものと花壇の手前に植えてしまう失敗はよくあります。その草花の開花時の草姿や草丈をきちんと理解して植えることが、美しい植栽づくりへの第一歩です。

草丈、草姿、花や葉の大きさや色などを考慮して配置をプランニングしましょう

小さな花壇へ植えるとき、より失敗が少ない自然風配置

草花を花壇やコンテナに配置するときは、高性種を背面に、ニーハイ種は中ほど、わい性種は手前、さらにはほふく性種を最前列に植えるのが基本です。コンテナでは置き場所によって、中央を高くしたりもします。

コンテナよりもスペースが広く、草丈の手がかりはあるものの、どこにどう植えていいか迷うことが多いのが花壇です。花壇でよく使われる植え方は、1種類をひとかたまりにしていろいろ植え込むやり方です。イングリッシュガーデンなど大型の花壇でもこの手法が基本。これをより小さな花壇で応用することもできますが、わりと難易度が高いのも事実です。

まとめ植えは同じ種類の草花を何株かまとめて植える方法です

特に秋まき草花では冬のうちに大株に育つので、小さな花壇ではやがてボリュームが出過ぎることがあります。株張りも苗次第です。また広い面積で同じ草花が一度に咲くので、小さな花壇では他とのハーモニーをつくりにくくなります。花期がずれれば、そこだけ花のない部分が出ます。

そこでご提案したいのが、より崩した自然風の配置。1種類を固めて植えるのでなく、例えば波を打つように並べて植えたり、点在させたり。植栽の組み合わせを計算しながらも、ややランダムに野原の草花のように自然風に広がりを持って点在させるような配置です。花のある部分に色が固まることもありませんし、花期が合わなくても、花壇の一部分だけ咲いていないということはないので、不自然になりません。

あちこちに草花が点在するので、大型の花壇ではまとまりがなくなることもあり、インパクトに欠けますが、小さな花壇ではやりやすい方法です。ただし、この植え方は苗の段階で植えて、1株をある程度大株に育てることが大切です。タネをまいて育てた苗を適期に植えれば株は大きく育つので、このやり方ができます。春花壇、夏花壇共にこの植え方ができます。

自然風植栽ではその形をやや崩して、株のまとまりがやや小さくなるように配置します。花壇の大きさや草花の株張りによって、株数は調整します

以上、育てた苗をどう植えるか、プランニングのための手がかりについてお話ししました。もちろんすてきに組み合わせて植えるためには、タネ選びも重要。こんな草花を育てておけばよかったと思うものは、次の季節のタネまきリストに入れておきましょう。また花壇やコンテナには、タネまきしたものだけでなく、他のものも組み合わせできます。タネをまくのは比較的メインの草花が多く、脇役的なものやカラーリーフ類は少ないこともあります。草花が美しく映える組み合わせを自由に発想して、すてきなコンテナや花壇のプランを立てましょう。

次回は「タネから育てた苗を定植するために知っておきたいこと」を更新予定です。お楽しみに

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