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【第7回】果実のトラブル③ 果実にかびが発生した

望田明利

もちだあきとし

千葉大学園芸学部卒。住友化学園芸研究開発部長として、家庭園芸薬品や肥料の開発普及に従事。現在は園芸文化協会理事、家庭園芸グリーンアドバイザー認定講習会講師などとして活躍中。各種園芸雑誌等に病害虫関係の執筆多数。自らも家庭菜園で多品目の野菜を栽培している。

【第7回】果実のトラブル③ 果実にかびが発生した

2020/06/16

前回は、果実に斑点ができたり変色した被害を記載しましたが、今回は果実にかびのようなものが発生した症状についてです。うどんこ病、灰色かび病、菌核(きんかく)病、白絹(しらきぬ)病などの病気で白色や灰色のかびが発生し、果実が腐敗します。
主な被害果実は
イチゴ…うどんこ病、灰色かび病
キュウリ、インゲンなど…菌核病
カボチャ、スイカなど…白絹病 などです。

【目次】
被害. 実や葉が白いかびで覆われてしまった
 ●犯人その1:うどんこ病
  うどんこ病の特徴
  うどんこ病の防除方法
  [ちょっと雑学] うどんこ病の病原菌は種類がいろいろ
 ●犯人その2:灰色かび病
  灰色かび病の特徴
  灰色かび病の防除方法
  [ちょっと雑学] 花弁の染みの原因
 ●犯人その3:菌核病
  菌核病の特徴
  菌核病の防除方法
 ●犯人その4:白絹病
  白絹病の特徴
  白絹病の防除方法

被害. 実や葉が白いかびで覆われてしまった

犯人その1:うどんこ病

果実ではイチゴが被害を受けやすいのですが、キュウリ、カボチャ、トマト、ナス、エンドウマメなどの野菜類、バラ、キク、ヒマワリなどの草花類や花木類にも発生します。

うどんこ病の被害を受けたイチゴ

うどんこ病の特徴

糸状菌(かび)によって起こる病気です。うどん粉をまぶしたように白いかびで覆われるため、うどんこ病と呼ばれています。多くの植物の新芽や新葉によく発生します。イチゴうどんこ病原菌は、イチゴに通年寄生していますが、一年中白いかびが発生しているわけではありません。普段は斑点状に寄生していて目立ちません。白く見えるのは繁殖のためにつくられた胞子で、果実がなるころが繁殖適期です。葉にも寄生しますが、イチゴの場合は他の植物と異なり、葉の裏に発生します。

うどんこ病の防除方法

イチゴは赤くなり始めると次々と熟してくるので、株数が多いと毎日収穫することになります。うどんこ病の発生が収穫時期と重なり、感染した果実は味も劣ります。収穫と防除を同じ時期に行いますので、「ベニカマイルド(R)スプレー」や「アーリーセーフ(R)」など食品由来の薬剤が安心して使えます。

[ちょっと雑学] うどんこ病の病原菌は種類がいろいろ

上で述べたように、うどんこ病の被害を受ける植物はさまざまです。同じように白いかびで覆われるため、同じ病原菌によって起きると思われますが、病原菌によって寄生植物が異なります。うどんこ病を発生する病原菌の種類は多く、イチゴに寄生する病原菌は、野菜ではミツバにも寄生します。他には、トマトやナス、ピーマンなどに寄生するうどんこ病原菌、キュウリ、カボチャ、メロンなどに寄生するうどんこ病原菌、エンドウマメに寄生するうどんこ病原菌などがありま

●犯人その2:灰色かび病

イチゴに発生することが多いのですが、それ以外にもトマト、ナス、キュウリなど多くの果実が被害を受けます。

灰色かび病の被害を受けたイチゴ

灰色かび病の特徴

うどんこ病と同じく、糸状菌(かび)によって起こる病気です。イチゴの場合は、灰色のかびが比較的早く発生するため分かりやすいです。しかし、他の植物の果実では、初めのうちは一部が褐色などに変色したように見えるので、斑点性の病気の一種と思われがちですが、最後には灰色のかびで覆われます。花弁が被害を受けやすく、染みが生じます。花の中のめしべが受粉して果実が成るため、花弁に近い果実が被害を受けます。

灰色かび病の防除方法

被害を受けた果実は周辺に放置せずに、ごみとして焼却します。薬剤では多くの種類の病気に効果がある「ベンレート(R)水和剤」が使いやすいです。また、食品由来の「カリグリーン(R)」は、灰色かび病、うどんこ病の両方に効果があります。

[ちょっと雑学] 花弁の染みの原因

野菜類では主に葉や果実を食するため花は重要視されませんが、草花類は「花」が観賞対象ですので、染みは防がなくてはいけません。染みができる原因はいろいろありますが、病気の中で多いのは灰色かび病です。病害虫であればアザミウマ類(→第6回を参照)も染みの原因となります。アザミウマは花が好きな虫で、八重咲きの花だと花弁の中に隠れて吸汁して染みをつくります。

被害. 実や葉が白いかびで覆われてしまった

●犯人その3:菌核病

非常に多犯性の病原菌で、ほとんどの野菜が被害を受けます。

菌核病の被害を受けたインゲン

菌核病の被害を受けたキュウリ

菌核病の特徴

菌核病も、糸状菌(かび)によって起こる病気です。主に茎が被害を受けやすいのですが、葉や果実も被害を受けます。感染部分が軟化し腐敗して白いかびが発生し、最後には黒いネズミのふんのような菌核をつくります。その菌核は土中で数年間生存してしまいます。

菌核病の防除方法

被害植物・被害果実は菌核をつくる前に早めに焼却処分にしましょう。普通、茎は触れても硬いものですが、軟らかくなっている茎は菌核病に感染している可能性があるので注意が必要です。原因菌は比較的地表面に生存していますので、表層の土と深い場所の土と入れ替える「天地返し」も有効です。薬剤では、「ベンレート(R)水和剤」や「トップジン(R)M水和剤」などを使います。

●犯人その4:白絹病

カボチャやスイカ、ネギ、落花生などが被害を受けます。

白絹病の被害を受けたネギ

白絹病の被害を受けた落花生

白絹病の特徴

白絹病も、糸状菌(かび)によって起こる病気です。主に地際部分の茎や根に発生しますが、カボチャやスイカなどの果実が地面に接していると、果実が被害を受けることがあります。初めは淡褐色の病斑を生じ、その上に白い絹糸状の菌糸が発生し、軟化腐敗します。茎に発生すると白い菌糸は次第に茶褐色になり、しまいには、地上部の茎は倒れてしまいます。

白絹病の防除方法

カボチャやスイカに登録のある薬剤は家庭用には販売されていません。前年発生した場所には植えないようにします。また、酸性の土壌では発病しやすいので、土壌酸度(pH)を整えるために「苦土石灰」などを植え付け前に土に混ぜてpHを中性寄りにしましょう。また、敷わらやマルチングなどをして果実が直接土に接しないようにする方法もあります。また、前年にネギや落花生の株元に、発生して被害を受けたときは、ネギの土寄せ時や落花生の株元に「フロンサイド(R)粉剤」を散布して被害を防ぎます。

次回は「根菜類・イモ類のトラブル① 根菜の表面が食べられた、染みができた、タコ足状になった」をお送りします。お楽しみに。

注釈

防除薬剤は病害虫の効果だけで記載しております。使用の際は適用作物をご確認の上、ご使用ください。
写真提供:住友化学園芸株式会社

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