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【第16回】いにしえの人々は黄色く熟れた「黄瓜」を食用にした

【第16回】いにしえの人々は黄色く熟れた「黄瓜」を食用にした

2017/04/25

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

花や新葉などに密生する腺毛は雪の結晶のように輝く

娘が幼いころ、収穫したキュウリを手に取り「みそキュウリで一杯」と声を掛け合い、半割りにしたキュウリに手作りのみそをのせただけのものを食卓によく上げた。この食べ方は、今でもわが家の定番メニューになっていて、米こうじのうまみがキュウリの甘みと青臭さを味わい深いものにしてくれる。

キュウリを栽培していると、葉の陰で巨大になった果実を突如発見し、仰天することがある。このようなときは古漬けにしてショウガとあえ、野菜炒めなどに混ぜて利用している。しかし、黄色く熟し気味のものは持て余した末、菜園の肥やしにするのが常である。ところが、キュウリの語源を辞書でひもとくと、和名は「黄瓜」である。いにしえのころは、未熟な青い果実を食べる習慣はなく、黄色く熟れた果実を食用にしていたとも記されている。いにしえの人々の「黄瓜」の味わい方は、いかようなものだったのだろう。

キュウリウオという名の魚をご存じだろうか。チカやワカサギなどと近縁で、体長20〜30cmほどの小型の魚だ。北海道近海で水揚げされ、塩焼きや天ぷら、干物など、わが家の食卓にも時折、上がる。和名の「胡瓜魚」の由来は、キュウリの香りと似ていることとされ、生魚を調理するときのにおいはまさしくキュウリなのである。

植物撮影の楽しみの一つは、普段、肉眼では目にすることのない発見と驚きの世界が待ち受けていることである。特に、被写体を拡大しながらのぞき見る生命の形と神秘な色合いにどんどん引き込まれてしまう。花や新葉などに密生する腺毛は透過光の中で乱反射し、雪の結晶のような輝きを見せてくれる。一度、虫眼鏡を取り出して、雄花や雌花、つるや新葉をのぞいてごらん。

次回は「収穫したシシトウで『美味、時々、辛い』を実感」を取り上げる予定です。お楽しみに。

JADMA

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