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日本トキソウの育て方・栽培方法

難易度
  • 春植え
  • 鉢植え

難易度:マークが多いほど難易度が上がります。

  • 学名Pogonia japonica
  • 和名/別名トキソウ
  • 分類ラン科トキソウ属 多年草(耐寒性地生ラン)

生育条件

  • 用途鉢植え
  • 日当たり日なた~半日陰
  • 耐寒性
  • 耐暑性
  • 土壌酸度弱酸性~中性

栽培管理

  • 鉢植え用土日当たり、風通しのよい場所で、水ゴケまたは硬質の鹿沼土を使用
  • 鉢サイズ・種類直径12cm、腰高12cm平鉢
  • 植えつけ花芽がついた根茎を6つ、葉芽がついた根茎を6つ程度をバランスよく散らす

栽培暦

日本トキソウとは

7月頃、信州などの高層湿原を訪れると、一面滴るような緑の中に点々と咲く淡紫紅色のトキソウの花を見ることができます。かつては日本中の湿地に自生しており、季節が来れば見ることのできた花でしたが、開発と乱獲によりほとんど姿を消してしまいました。

トキソウはラン科特有の花形の、唇弁にとげ状の突起が目立つ優しい色合いの花を茎の先に一輪咲かせます。6~7株の花立ちとなると、多少花の高さに段差があるので、花が咲いたようすがトキの乱舞を思わせる、そんな趣きが楽しめます。

開花習性としては、地下の根茎の先に花芽となるものと葉芽になるものが約半々くらいの割合で作られます。葉芽となるものが、半分くらい同化養分を作り、翌年に花を咲かせるので、葉だけの株も大切な働きをしています。トキソウは日本以外にも東アジアや南北両アメリカにも分布があり、約40種類ほどが知られ、日本産のものと外国産のものの交雑種も作られています。以前はトキ色だけの花が売られていましたが、近年白色種も増えてきました。桃白二色並べて作るのも趣きがあります。

ポイント

鉢植えがおすすめです。
日当たりのよい湿地に自生する植物なので、定植終了後は日当たりのよい場所に置いてたっぷり水を与え、以後、絶対に水を切らさないようにする。特に初夏から夏は、水切れしないように気をつける。

植えつけ

芽が動き出す前の2~3月中旬頃が、植えつけの適期となります。適期を逃すと発芽が遅れ、開花する株の比率が少なくなります。

植えつけには平鉢を使うと、通気や根張りがよくなります。直径12cmの鉢を使い、1ポット分10~12芽くらいの根茎を植えると、5本くらいの花立となり、トキソウの花の大きさや、草丈15~20cmくらいの高さと株数が丁度よい草姿で、バランスのとれた鉢植えとなります。植え込み材としては、水ゴケや硬質の鹿沼土が適しています。入手が容易で水の管理が楽なのは水ゴケですが、株分けの時に少し手間がかかります。鹿沼土を使うと株分けは容易ですが、高温期に乾きやすいのが難点で、どちらにも一長一短があります。

ピンセットなどで根茎を鉢の半分ほどの深さに並べる。その後、水ゴケを八分目くらいの深さまで敷き詰める

水ゴケで植える場合、鉢の半分くらいまで水ゴケを少しかために敷き詰め、その上に花芽と葉芽をバランスよく散らすように根茎を並べます。そして、その上に水ゴケを少しかために、折れやすい芽に注意しながら押し詰めていきます。この時、水ゴケがやわらかいと株の安定が悪くなります。

花芽株と葉芽株をバランスよく散らし、一カ所にかたまらないように置く

定植が終わったら、日当たりのよいところに置いてたっぷり水を与え、以後、絶対に水を切らさないようにします。

発芽後の管理

トキソウは、日当たりと風通しのよい湿地に自生している植物です。鉢の置き場所としては、一日中よく日が当たるところへ置きます。

定植後、40~50日で蕾が見えるので、よく日に当てて、かたく丈夫な花梗になるようにします。蕾に色がついてきたら、雨に当てないようにします。開花期まではよく日に当てて、花色が淡くならないようにします。開花後は、午前中のみ日が当たるところに置くと、花もちが2~3割長くなります。

鉢を土の上に置くと、雨の泥はねで葉が汚れます。1mくらいの高さの鉢置き台に置くと、ナメクジもこなくて安心です。

トキソウの自生地は、生育期、常に株元に水がたまるような場所なので、栽培中は絶対に水を切らさないように管理します。5月頃になると鉢内が乾きやすくなるので、1cmくらいの深さの受け皿を使い、午前中は水がたまるようにすると、開花前の株を乾かさずにすみます。ただし、腰水による給水は、小まめな水の取り替えと時間帯を守り、水が傷まないように注意してください。

肥料

元肥は、定植終了時に置き肥として、塩分を含まず肥効の長い緩効性の根を傷めない化成肥料を水ゴケの上にばらまきます。肥料が不足すると生育初期から葉色が淡く、株も小さくなるので、不足しないようにしましょう。

追肥は、発芽後から葉が緑色の間は月に2回ほど、チッ素過多にならないバランスのよい液肥を与えます。

開花後の管理

花が終わると手入れを忘れがちですが、花後の手入れが翌年の開花につながるので、よく日に当てつつ、株元は乾かさないようにします。株元を乾かすと、根の活動に支障をきたすためです。花がらが落ちた後に、2cmほどの種がつくことがありますが、そのまま残しても支障はありません。この種の変化を見るのも面白いので、種を残す場合は追肥をきちんとやりましょう。梅雨が明けると日ざしが強まります。強い日ざしに当たると株が弱まるので、晴れた日は10時から3時頃まですだれをかけ、西日を当てないようにします。

この時期、乾きすぎには十分注意してください。夕方まで水が乾かないように、鉢よりもふた回りほど大きく、高さも2cmほどの受け皿を使った腰水による給水をおすすめします。ただし腰水による給水は、小まめな水の取り替えと時間帯を守り、くれぐれも水が傷まないように注意してください。秋に葉が枯れた後、乾かしてしまうと、翌年芽が出なくなるので、葉が枯れた後でも株が乾かないようにします。ただし冬期は、凍ると腐るので、凍らない場所で管理します。

病害虫

ほとんど病害虫の発生を見ない植物ですが、6月頃の長雨の後、株元が混みあって蒸れると急に葉が枯れて、株全体が腐ることがあるので風通しをよくします。また、少し肉厚の葉をナメクジが食害することがあるので、夜間に時々見回って、見つけ次第捕殺します。

花芽株と葉芽株

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