イキシアの育て方・栽培方法
難易度:マークが多いほど難易度が上がります。
- 用途地植え・鉢植え・切り花
- 日当たり日なた
- 耐寒性中
- 土壌酸度中性~弱アルカリ性
- 地植え適所・土質日当たりと水はけのよい、アヤメ科の連作にならない場所。腐植質に富み、通気性のよい土
- 鉢植え用土腐葉土が3割くらい入った、水はけと通気性のよい培養土
- 鉢サイズ・種類直径18cm以上の鉢
- 植えつけ[鉢植え]間隔6cm、深さ3~4cm
[地植え]間隔10cm、深さ5cm
イキシアとは
イキシアはわずかな風にも揺れる稲の葉にも似た、かたく細長い葉を真上に伸ばします。そして針金のように細くかたく、丈夫な長い花梗を伸ばし、その先に、多いものでは20数輪近くの花を咲かせます。
夜になると花は閉じますが、日が当たるとぱっと大きく開きます。原産地は主に南アフリカのケープ地方で、約40種類くらいの自生種が知られているアヤメ科の植物です。
草丈の割りに球根は小さく、ワイシャツのボタンくらいの大きさの球根でも十分開花します。半耐寒性ですが、越冬中に凍らないように、日当たりのよい場所で栽培すると、葉も寒害を受けず、きれいにのびのびと育ちます。
日本には明治の末期に輸入され、花もちのよいことや、草姿が日本人好みであることから愛されてきました。改良はオランダで行われており、カラフルでバラエティーに富んだ品種が作られています。80年代後半のバブル期前後には、毎年十数品種が輸入され、切り花にも使われましたが、現在の扱いは数種類と少なくなっています。
地植え、鉢植え両方OKです。
過湿状態を嫌う植物なので、日当たりや風通しのよい環境で栽培する。
植えつけ
イキシアは半耐寒性球根で、厳寒期に凍害を受けやすいので、葉を凍らせないように管理します。
鉢植えの場合は、10月が発芽発根に適した時期となります。草丈が50~70cmと高く、1球で2本くらいの株立ちとなるので、鉢は風に倒されないように直径18cm以上、深さ15cm以上の鉢を使います。用土は、腐葉土が3割くらい入った、水はけのよい新しい培養土を使います。
1鉢に植える球数は直径18cm鉢に5~6球程度とし、3~4cmほどの土がかかる深さに植え、牽引根が発達するようにします。定植後、冷たい水をたっぷり与え、涼しい場所で発芽・発根させます。
冷たい水を与える理由は、10月上旬頃がまだイキシアにとって気温が高いからです。目安として5℃くらいの水を与えることで地温を下げ、発芽・発根を早めてやるとよいでしょう。
地植えの場合は、寒害を受けるおそれがあるので、11月中下旬頃、南向きの日当たりのよい軒下に植えます。球根は、5cmほどの土がかかる深さに、10cmくらいの間隔で植えます。
発芽後の管理
イキシアは切り花にも利用されるほど、草丈が高くなる植物です。そのため、日光不足になると茎葉が軟弱になり、倒れやすくなるので、発芽直後から十分に日に当てて、丈夫に育てます。
鉢植えの場合、水やりは発芽後の1カ月間はたっぷりと与え、根張りをよくします。11月下旬~12月にかけて強い寒気が入ると、夜間気温が下がり、葉が寒害を受けるおそれがあります。夜間凍るおそれのある時は、夕方鉢を玄関内に取り込み、凍らないように保護します。
地植えの場合は、透明なビニールで防寒トンネルをかけてひどく凍らないようにします。この時、上部周辺に10円玉くらいの大きさの熱気抜き穴を4~5カ所開けて、日中ビニール内の気温が高くなり過ぎないようにします。
4月になると花穂が出始めますので、倒伏防止に3~4本の支柱を早めに立てて、あんどん状に誘引しておきます。
肥料
イキシアの根は、土中で塩分を含む肥料に当たると根焼けを起こします。そして、その傷んだところから菌が侵入すると病気の原因となるので、元肥は土中に施さず、発芽後に緩効性化成肥料を置き肥します。
追肥は、発芽後より葉が緑色の間は月に2~3回、液肥を水やり代わりに与えます。
花後の管理
花後の40日間が、一番球根が肥大する時期なので、葉が緑色の間は土を乾かさないようにして根の活動を助けます。種を結ぶことがあるので、一番上の花が咲き終わったら、花梗の付け根部分から折り取って結実防止をします。
その後、気温が25℃を越える日が続くと、根は吸水力を失い、葉色が変わり始めます。
鉢植えの場合は、葉が黄ばみ始めたら徐々に水やりの量を減らし、葉が黄色くなったら水やりを打ち切って休眠させます。そして鉢土がからからに乾いたら、球根を掘り上げてネット袋に保存します。
地植えの場合は、葉が2/3くらい黄ばんだら掘り上げます。次に日陰で2週間くらい乾燥させると、貯蔵中に球根の発根部に青カビが発生することを防げます。
病害虫
イキシアの病害で一番多いのは、フザリウム腐敗病です。罹病すると、葉が3~5枚出た頃、葉が黄色くなったり、株元が腐って倒れたりします。
病気発生の原因は、栽培中の土の過湿や肥料の塩分によって、根の傷んだところから雑菌が侵入することです。根から侵入したフザリウム菌は、球根のでんぷん質を食害して球根を腐らせます。罹病した株は早めに抜き取り、病害が広がらないようにします。予防は、発病の原因となる塩分を含む肥料を使わないこと、植えつける際に新しい用土を使うことです。