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失敗しない栽培レッスン(花)

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フリージアの育て方・栽培方法

難易度
  • 秋植え
  • 地植え
  • 鉢植え

難易度:マークが多いほど難易度が上がります。

  • 学名Freesia Klatt
  • 和名/別名アサギズイセン
  • 英名Freesia
  • 分類アヤメ科フリージア属 半耐寒性球根

生育条件

  • 用途地植え・鉢植え・切り花
  • 日当たり日なた
  • 耐寒性
  • 耐暑性
  • 土壌酸度中性~弱アルカリ性

栽培管理

  • 地植え適所・土質霜の当たらない日当りのよい軒下の腐植質に富んだ排水のよい土質
  • 鉢植え用土腐葉土などの有機質が3割くらい入った、排水がよく根張りよい培養土
  • 鉢サイズ・種類12~18cm鉢、標準鉢
  • 植えつけ[地植え]間隔10~15cm、深さ4~5cm
    [鉢植え]深さ約4cm

栽培暦

フリージアとは

暖かな春の風が吹くようになると、明るい光をいっぱいに浴びて、黄、白、桃、紫と色とりどりのフリージアが天に向いて大きく開きます。

フリージアは江戸時代末期に渡来し、ほっそりした優雅な筒状の花と香りは、たちまち日本人の心をとらえてしまいました。そして、この日本人好みの花容をもつフリージアは、その後栽培が増え、八丈島などで球根が生産されるようになりました。

昭和20~30年代にはほっそりした「レフレクタアルバ」、「バターカップ」などが切り花として作られ、続いて「ラインベルト ゴールデンイエロー」などが出て、フリージアの人気は高まりました。

フリージアの原産地は南アフリカで、数種類の原種が知られています。南アフリカ産の球根類は秋に芽を出し、冬に葉を開く半耐寒性のものが多く、日本では栽培しにくい面もあります。花形は一重と八重で変化には乏しいのですが、それでも、この花には何か心引かれる魅力があるようです。

ポイント

地植え、鉢植え両方OKです。
日当たりと排水のよい場所を好む。半耐寒性の植物なので厳寒期は凍らないように管理し、冬でも葉が活動するので、よく光に当て茎をかたく丈夫に育てる。

植えつけ

フリージアの球根は気温が23~25℃くらいになると発芽し、約30℃に保つと冬になっても発芽しない性質があります。

地植えの場合、球根を暖かい場所に置いて発芽を抑え、10月下旬~11月上旬に植えつけると、耐寒力の強い小さな植物体の状態で冬越しできるので、寒害を受けにくくなります。植えつけ場所は、日当たりと水はけのよい南向きの軒下などが適しています。植える深さは、球根の上に4~5cmの土がかかる深さに、10~15cmの間隔で植えます。

フリージアの生育に重要な役割を果たす根は、出芽後に新芽の付け根から発根し、地上部を支え、新球を肥大させます。さらに新球を下へ引き降ろす根を十分に働かせるためには、この時期の凍害から球根を保護する必要があります。そのため球根はやや深植えすることが重要です。

鉢植えは凍るおそれのある時期は屋内に取り込むことができるので、9月下旬頃に植えつけます。12~18cm鉢に4~6球植えとし、1球分の高さの土がかかる深さに植えます。植えつけ後は涼しい場所に置き、たっぷり水を与えて発芽を促します。

根のつけ根部分から牽引根が出るので1球分の深さに植える

やや深植えすることにより、冬の凍害から球根を守り、牽引根がより発達する

発芽後の管理

フリージアは日光を好む植物なので、地植え、鉢植え共によく日の当たる場所に置いて、地際をかたく丈夫に育てるようにします。

地植えの場合、強い霜に当たると、葉が凍害を受けて開花時に観賞価値が低下します。霜害を防ぐには早めにビニール袋などを利用して霜除けをしておきます。寒さが一段落する時期になると急に葉が増え始めるので、霜が降りなくなったら、霜除けを取り除いて、よく日が当たるようにします。冬期晴天が続いて土が乾きすぎると、株や花が小さく、花もちも悪くなるので、晴れた日の午前中に水をやって土が乾きすぎないようにします。

鉢植えの場合、発芽後より霜が降り始めるまではよく日の当たる屋外に置きますが、霜が降りるようになったら、夜間玄関などに取り込んで凍らないようにし、翌朝再び屋外へ出してよく日に当てます。葉が5~6枚になると蕾が出るので、あんどん状に支柱を立てて、誘引しておくと、草丈が高くなっても倒れるのを防げます。

過湿を嫌う植物なので、水やりは鉢の表面が白く乾いたらたっぷり与え、3~4日くらいして再び表面が白く乾いたら与えるようにすると、土の表面にコケが生えるのを防げます。

直径2cmくらいの穴を片側に8~10個くらいあけておく

肥料

フリージアは植えつけ時に元肥は施さず、葉が2~3枚出てから施した方が安全です。フリージアは球根内に十分に養分をたくわえているので、無肥料で植えても初期の生育にはまったく支障がありません。

球根の下に元肥を施すと根が肥料焼けを起こし、その部分からフザリウム菌などが入って病気の原因になるので、肥料は葉と根が出た後に土の上に施した方が安全です。

施し方は、地植えは緩効性化成肥料を株元にばらまいておきます。鉢植えは緩効性化成肥料を土に半分くらい埋まる深さに押し込んでおきます。追肥は葉が緑色の間は、月に2~3回くらい液肥を水やり代わりに与えます。

花後の手入れ

花が全部咲き終わったら、花房の付け根部分から先を折り取って結実を防ぎます。フリージアは花の香りと色が虫を呼び、かなり種をつけるので、放置しておくと種がつき、球根の肥大に使われる養分が奪われるので、早めに結実防止をしておきます。

5月中旬頃までは球根の肥大期なので水やりや肥培は忘れずに続けます。5月下旬頃になり、25℃を超える日が2~3日続くと根が吸水力を失い、葉が元気を失い、休眠の準備に入ります。そして、徐々に葉が黄ばみ始めるので、黄ばんできたら水やりを打ち切ります。地植えは葉が腐ると土中の球根の位置が分かりにくくなるので、葉が倒れる前に掘り上げます。

鉢植えは雨の当たらない場所に置いて土がからからに乾くようにします。土が乾くと球根内の余分な水分も抜けて、貯蔵中に腐りにくくなります。鉢植えも1カ月土を乾かしたら掘り上げ、調整後、紙袋に入れて雨の当たらない涼しい場所で保存しておきます。

病害虫

フリージアは雨量が少ない、乾燥ぎみのやせ地に近い土質で、病原菌も少ない環境に自生する植物です。日本は雨量が多く、チッ素分や病原菌の多い土壌なので、栽培中に病気が出やすくなる環境にあります。病害を防ぐには、傷やカビの生えていない健全な球根を選び、培養土や鉢なども雑菌のついていない清潔なものを使います。

フリージアの病害で多いのはフザリウム菌などによる球根腐敗病や首腐れ病で、どちらも葉が3~4枚出てから発病し、葉が黄ばんだり、地際部分が腐って倒れてしまいます。この病気は、発病後に薬剤による防除は不可能なので、予防を第一とします。害虫は蕾が出た後アブラムシがつきますが、早めに見つけてエアゾール式殺虫剤をかけると簡単に防除できます。ほかに赤ダニがつくことがありますが、水で洗い流すと、薬剤を使わずにダニを防除することができます。

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