ユリ(オリエンタルハイブリッド)の育て方・栽培方法
難易度:マークが多いほど難易度が上がります。
- 用途地植え・鉢植え・切り花
- 日当たり日なた~半日陰
- 耐寒性強
- 耐暑性中
- 土壌酸度弱酸性~中性
- 地植え適所・土質梅雨明け後の強光線に当たらない場所で、水はけのよい腐植質土壌
- 鉢植え用土腐葉土、完熟堆肥の30~40%入った培養土
- 鉢サイズ・種類18~21cm鉢、素焼き鉢(標準鉢)
- 植えつけ[地植え]間隔約20cm、深さ約10cm
[鉢植え]深さ約10cm
ユリ(オリエンタルハイブリッド)とは
オリエンタルハイブリッド種のユリは、優美な色彩とよく整った大輪の香り高い花で、夏の庭や玄関先を豪華なムードで演出してくれる、夏にはなくてはならない花です。
この仲間のユリの交配の歴史は、1800年代の終わり頃に、
アメリカの文学者フランシス・パークマン氏により、ヤマユリと鹿の子ユリが交配されたことに始まります。その交配種は氏の名にちなんで「パークマニー」と呼ばれ、ヤマユリに似た花型の赤い筋の入る魅力的なユリで多くの人を魅了しました。
その後、世界中でこれに似た組み合わせによる交配が行われ、世界各国でいろいろな交配種が作られました。近年になり、この仲間のユリに交配親和性の高いタモトユリ、サクユリ、乙女ユリなどが交雑され、新しいハイブリッドが生まれました。それらは交配に使われた親の原産地の名をとってオリエンタルハイブリッドと呼ばれていますが、交配に使われた原種のユリがすべて日本原産だったので、ジャパニーズハイブリッドとも呼ばれています。
地植え、鉢植え両方OKです。
日当たりや土の湿り具合などの栽培環境を常に最適の状態に保って、素直に生育させることがポイント。
植えつけ
植えつけの適期は10~11月です。球根は球皮に光沢があり、りん片の先が針の先のように尖っている、無傷の健全な大きい球根を選びます。
球根は、上根を十分に活動させるため、球根の高さの3倍くらいの深さに、球根の直径の3~4倍の間隔で植えます。鉢植えの場合は18~21cm鉢に1球植えに、30cm鉢なら3球植えとし、上根を多く張らせるため球の高さ1球分以上の深さに植えます。
植える場所は、連作を避け水はけのよい場所を選び、植えつけの1カ月前に40~50cm深耕して、腐葉土、完熟堆肥、ピートモスなどを土の量に対して2~3割の割合でよく混ぜ合わせるようにします。
梅雨明け後の強光線や高温は地温を上げて株を弱らせるので、西日の当たらない、明るい木陰が理想的な植え場所です。
冬でも下根は水を欲しがるので、晴天が続いて土が乾くときは水をやります。鉢植えは乾かすと下根が弱るので、発芽まで土中に埋めておいたり、ビニール袋に入れておくと乾くのを防げます。地面が凍る場所ではワラや落ち葉などをかけて防寒します。
発芽後の管理
発芽を始めたら十分に日に当てて、茎をかたく丈夫に育てます。鉢植えは水をやり忘れると株が貧弱になるので、葉が黄色く変色するまで水やりは忘れないようにします。蕾が見えるころになったら支柱を立てて誘引します。
肥料
ユリには上根と下根があるので、肥料は球の上下に分けて施します。元肥として緩効性化成肥料を上根用に60%、下根用に40%の割合で球根から5cmくらい離れたところに施します。
追肥は、芽が出たら速効性の化成肥料を1株に小さじ1杯くらい、株元にばらまきます。5月以降は月2回ほど、液肥を8月いっぱいまで与えます。
開花後の管理
花がらが葉の上に落ちて腐ると病気が発生して葉が少なくなり、球根の肥大が悪くなるので、花がらが落ちる前に結実防止をかねて子房の付け根部分から折り取るようにして花がら摘みをします。根は8月いっぱい肥料を吸収するので、肥培も忘れず続けます。葉は1枚でも多く、1日でも長くついている方が球根の肥大がよくなるので、葉を落とさないようにします。
病害虫
ユリの病気で一番注意したいのはウイルス病です。接触で簡単に伝染し、一度罹病すると回復不能となります。症状としては赤や桃色の花には白いカスリ状の条斑が出たり、葉に黄色いモザイク斑が出て観賞価値が低下します。ほかには梅雨期に多発する葉枯病があり短期間に葉が枯れ上がります。防除法は風通しをよくし、発病前から園芸用殺菌剤を散布して葉に薬剤の皮膜を作っておくと効果的です。
新芽につくアブラムシがウイルス病を伝染させるので、見つけ次第園芸用エアゾール式殺虫剤をかけて防除します。予防的に発芽直後に浸透移行性殺虫剤を1株に1~2gほど株元にばらまいておきます。