キュウリ農家に栽培の秘訣(ひけつ)を聞いたことがあります。それは、畑にカヤ(茅)の堆肥をすき込むというものでした。カヤは、イネ科やカヤツリグサ科などの総称ですが、単にススキを指すこともあります。
ススキはケイ酸を多く吸収し、葉にガラス質の粒子を作ることで知られています。そのススキの葉に含まれるケイ酸を肥料として施すと、キュウリがたくさん採れるのだといいます。その農家の方は「1株あたり畑なら50本、ハウスなら100本くらいは採るよ」と話していました。

キュウリ
キュウリは、ケイ酸をよく吸収する野菜です。十分な水分を与え、「ネイチャーエイド」を適宜施したり、土にケイ酸塩白土を混ぜたり、葉に水溶性ケイ酸剤が含まれる液肥「バリカタ」の1000倍希釈液を散布すると組織が強化され、病害抵抗性や環境耐性が高まり、驚くほどたくさん収穫できるキュウリ栽培が楽しめます。

メロン
ウリ科キュウリ属はアフリカを分布の中心とし、50~60種で構成されています。その中でキュウリCucumis sativusはインド北部などに生息し、キュウリ属の北限分布種の一つでもあります。しかし、キュウリ属の中で最も北に野生分布しているのはメロンの野生種Cucumis meloといわれています。この野生種はインド北西部、パキスタン、イラン、アフガニスタンなど中央アジアの乾燥地帯に原生しています。

ネットメロン「ころたん」
「メロンはキュウリ属だよ」というと「えー、そうなの?」という反応が返ってきますが、メロンとキュウリは同じ属の植物です。
メロンCucumis melo(ククーミス メロ)ウリ科キュウリ属。種形容語のmeloはギリシャ語で「果実」を意味し、リンゴに由来するという説があります。上の写真は、私がベランダで育てたネットメロン「ころたん」という品種です。鉢植えやプランターでも簡単に作れるのが「ころたん」のよいところ。

5月15日、メロン「ころたん」の苗
5月15日、「ころたん」は10号鉢以上の鉢か畑に植えればたくさん取れるのは理解していますが、今回はベランダでも気軽に育てられるように、あえて少し小さい7号鉢に鉢上げしました。
定植時に「鉄力あくあF-14」の5000倍希釈液を施し、根の活性化を促しました。植物に二価鉄イオンを施すと健全な成長が促され、その結果、葉色が濃くなり根の伸長がよくなります。

鉢上げ後20日。底面吸水用のプランターに鉢を入れ、「IB化成」を10粒、「ネイチャーエイド」とハイポネックスの液肥をそれぞれ1000倍に希釈して適宜、施します。小さな若い葉には散布しませんが、大きく展開した葉には「バリカタ」の1000倍希釈液を散布します。そうすることで、葉にはケイ酸(ガラス質)の被膜ができ、病虫害に格段に強くなります。私は、この時期に摘芯をしてわき芽を伸ばすことにしました。

定植後30日。雌花の1番花を確認して交配しましたが、受精は確認できませんでした。5日後に咲いた2番花、3番花に交配して受精を確認しました。メロンの雌花は小さいので注意深く観察しましょう。

メロンはキュウリのように単為結果(たんいけっか)しないため、虫による「花粉媒介」か、人が雌花に雄花の花粉を付ける「授粉」をする必要があります。

上の写真は定植後55日。交配して受精に成功した果実は急速に大きくなっていきます。

定植後60日。惑星のようにまん丸になった「ころたん」。大きな果実が二つ、小さな果実が一つ、 1鉢に合計3個がなりました。表面はつるんとして、この時期の「ころたん」は「プリンス」メロンのようです。

ビール片手にベランダに出て「ころたん」の鑑賞会です。うれしくて、朝・昼・夜と暇さえあれば、丸い果実を眺めていました。メロン栽培は本当に楽しいです。

定植後70日。果実の表面の膨張が止まっても内部が膨らむため、果皮が割れてネット文様が現れてきました。憧れのネットメロンが目の前にあります。

定植後80日。8月に入って、表面が緑色から黄色になり、熟してきています。ここからが悩みどころで、いつ収穫するか判断が難しいのです。頼りになるのはカレンダー。授紛した日を書き込んでおきました。授紛後、およそ50日が収穫の目安なので、8月8日に収穫する計画を立てていました。
※「ころたん」の収穫の目安は、「果実の色」や「離層(りそう)」といった食べごろのサインもおすすめしています。詳しくはこちらから。

授粉後50日で収穫した「ころたん」。鮮やかな緑の果肉。くどい甘さが苦手な私ですが 「ころたん」のさわやかな甘さは格別に好きです。

ウリ科野菜は、つる性で軟弱な植物体を持ち、病気も多いのですが、それを克服することは可能です。ケイ酸を葉に与えて病害虫に対応し、機能性を持った液肥で成長を促すことで、期待通りの成果を上げることができます。畑がなくても、プランターや鉢植えで楽しくウリ科野菜を栽培できるので、今年も楽しみたいと思います。
次回の『東アジア植物記』から『ヤブコウジ属』のお話が始まります。お楽しみに。