炎天下に白い雪が降る――
シマサルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属 Lagerstroemia sbcostata)の大木の下にいると、そんな不思議な光景を見ることができる。シマサルスベリは種子島、屋久島を北限として南西諸島から台湾、中国南部の大陸東岸省に自生する東アジアの落葉性高木だ。日本にも自生する唯一のサルスベリで、屋久島にはこのバラエティー(変種)も自生する。
花は白花で、サルスベリの仲間の中ではとりわけ小さく、遠くから見るとサルスベリとは思えない。花の大きさは1cmで、一つの花が咲いている期間は短く、はかなく消える雪のようにハラハラと花びらが散るのが、風流な特徴となっている。
そして、樹皮がはがれ、つるつるとしたサルスベリ独特の文様を見せるのが美しいのは言うまでもない。
花序はサルスベリらしい形だが、花はたくさん咲いても短命で、触るとすぐに散ってしまう。
遠くから見ると高木なので花が目立たず、あまりサルスベリの仲間とは思えない。
樹皮がはがれた様子はやはりサルスベリ、様々な色の文様が描かれ、美しい。
風に舞い落ちた花が地面に積もる。これぞ真夏の名残雪!