草花を種から育て、芽が出て、やがて花が咲く。この上なく楽しいことです!初めての種まきでも失敗が少なく、自分流のアレンジも自在なパンジー・ビオラ。春の風にそよぐ花姿を楽しみに、種まきから始めましょう。
楽しむ
春風の使者 パンジー・ビオラ
秋から冬、そして春までの長い期間、色彩豊かな花を咲かせ続けてくれるパンジー・ビオラは、日本のみならず、世界の花壇で愛されている秋まき一年草です。本来のパンジー・ビオラはヨーロッパの冷涼な地方が原産地で、冬の寒さで花芽を付け、日が長くなると開花してくる性質を持っています。そのためパンジーは春のシーズンしか楽しむことができませんでした。


品種を知る
秋、冬、そして春と長く楽しめ、色の種類も豊富なパンジー・ビオラです。花壇草花として人気の高い花を、種から育ててみませんか。
パンジー
ビオラ
ピエナ®
ミックス

まとまりのよい株にきれいな花が次々と咲き続ける
いろいろなカラーを一度に楽しめるミックス。従来品種と比べ開花が早く、株張りがよく、かつコンパクトな草姿になります。高温期の栽培でも縦方向に伸びにくく、花立ちがよいです。
育てる
種まき
発芽適温は20℃前後、秋の彼岸ごろがまきどきですが、秋から咲かせるためには、夏まきします。夜温が下がり始める8月中旬以降、冷房の効いた室内で発芽させるとよいでしょう。
まき土は、病気や害虫の心配がない新しい用土を使うようにします。市販の種まき専用土を使うか、赤玉土5:川砂1:ピートモス4の配合土を使うようにします。ピートバンを利用してもよいでしょう。まく容器は、小鉢や、アイスクリームの空きカップなどの底に穴を数カ所開け、よく洗って使うようにします。
用土を入れたら、表面を平らにならし、種が重ならない程度の密度にばらまきし、バーミキュライトで種が隠れる程度に薄く覆土します。発芽するまでは、鉢受け皿を使い底面かん水にしておけば種が流失しません。
プロのアドバイス
暑い時期ですので、万一、発芽に失敗したリスクを考え2~3日ずつずらし、数回に分けてタネをまくことをおすすめします。
育苗
種まき後5~7日ほどで発芽するので、苗が徒長しないよう徐々に朝夕の日光に当てます。日中の晴天時はまだ光線が強いので、寒冷紗などで日よけをし、涼しくします。また、苗が小さい間は強い雨風に当てないよう注意が必要です。本葉が2~3枚になったら6cmポットに植え込みます。育苗用土は市販の培養土に腐葉土2割を混ぜたものか、赤玉土(小粒)、腐葉土を半々に混合したものに、ピートモスを3割混ぜたものを使うようにします。鉢内に根が伸びだしたころから、10日に1度の割合で液肥を与えます。
プロのアドバイス
移植した苗は活着するまでの2~3日は日陰で養生してから、徐々に日に当てます。幼苗の間は乾燥に弱いので、細かいハス口のあるジョウロで、表面が乾いたら静かに水やりし、温度管理に注意します。
定植
ポットに根が回ったら15~20cm間隔に定植します。植える場所は日当たりや風通し、水はけのよい場所が適しています。植え付けの1~2週間前に1平方メートル当たり苦土石灰100gをまいて、深さ30cmくらいまで掘り起こし、定植直前に堆肥3kg、化成肥料100gをすき込んでよく耕します。プランターに植える場合は市販の培養土を使うか、育苗用土に堆肥を2割、化成肥料を用土10L当たり20gを混ぜて土ごしらえをしておきます。
ポットに根が回ったら、苦土石灰をまいてよく土ごしらえした場所に定植する
プロのアドバイス
定植する苗の根がびっしり張っていたら、根鉢の底の部分を指でほぐし、土を落としてから植えると活着が早まります。くれぐれも土を落とし過ぎないよう気を付けます。石灰と堆肥や肥料を同時に施すと、効果が薄れるので、別々に混ぜましょう。
開花
秋から冬、そして春と、花を咲かせながら成長するため、定期的な追肥が必要です。咲き始めは肥料の三要素の中でもリン酸、カリ分が多く含まれている配合肥料を月に1度与えます。花をきれいな状態で長く咲かせるためには、咲き終わった花がらを付け根から摘みます。よく開花させるためには日光によく当て、窒素肥料を控えぎみにし、水やりも株がややしおれてきたら与えると、徒長のないしっかりとした株に育ちます。
ポットに根が回ったら、苦土石灰をまいてよく土ごしらえした場所に定植する
プロのアドバイス
秋から開花させるには8月20日前後に種をまきますが、9月中旬までに種をまけば年内に開花します。9月下旬まきでも年明けには開花しますので、一度に種をまかず、何回かに分けると、失敗のリスク分散にもなります。
『園芸通信』2011年7月号「タネまきから始めよう!草花栽培 パンジー・ビオラ」および『家庭園芸』より再掲