自分でできる! 植物いきいき! プランターと花壇の土づくり 【第1回】土づくりから始めるこだわりのプランターと花壇

園芸の基本となる「土づくり」。自分で配合できれば、育てたい植物にマッチした土をつくれるようになり、園芸の楽しみも広がります。

はじめに

はじめまして、「庭人(にわんちゅ)」こと、園芸家の山田朗子です。

私が庭仕事で最も大切にしているのが、「土づくり」です。ホームセンターなどには、いろいろな資材をベストなバランスで配合した花や野菜の培養土が並んでいますが、自分で配合できれば、育てたい植物にマッチした土をつくれるようになり、応用の範囲が広がります。

この連載では、私の自宅での庭づくりの経験も踏まえながら、プランター栽培や花壇に欠かせない土づくりの基本と私の考え方を、初心者の方にも分かりやすくお伝えします。

虫1匹いない土を3年がかりで “生きた庭”に

幼少期、札幌の市街地にあった自然豊かな庭で多くの時間を過ごした私にとって、植物のある暮らしはごく身近なものでした。結婚後も「庭をつくりたい」という夢をずっと持ち続け、ついに小さいながらも庭付きの家を東京郊外に購入。剣先スコップ、移植ゴテ、ふるい、クワ、バケツを買いそろえ、「さあ、庭づくりをするぞ」と張り切りました。

ところが…さっそく土を掘ってみてがくぜんとしました。生き物がまったくいないのです。ミミズ1匹見当たらない。「この土は死んでいる」――。直感的にそう思いました。

取りあえず、どんどん土を掘り出して、ふるいにかけました。すると、出てくるわ出てくるわ!古い木の根やガレキ、ごみ、土管の一部まで…。あまりのごみの多さにショックを受けました。どう考えても、このまま植物を植えるわけにはいきません。もし、自分が植物だったら、きっと靴の中に小石が入っているような感覚で、痛くて根を伸ばせないに違いない、と思ったのです。

そこで、徹底的に土の中のごみを取り除くことから始めました。深さ1mほどの土を掘り出し、土をふるって出てきた砂利は、排水をよくするため、穴の底に敷きました。砂利の上に土を少し戻し、その上には近所の雑木林で集めたクヌギなどの落ち葉を入れました。落ち葉は、土壌生物の餌になることを知っていたので、土壌環境がよくなるはずと考えたからです。さらに、落ち葉の上には、ふるった土を入れて完成。

つまり、下から順に砂利→土と落ち葉を混ぜ合わせたもの→土というサンドイッチ状の層が出来上がったわけです。この作業を繰り返し、やっと庭全体の土がきれいになったのは、なんと3年後でした。

自宅の庭の土づくりに使った道具のうち、剣先スコップ(写真左)は、先端が欠けるほど使い込んだ

この土づくりの経験をきっかけに「もっと本格的に庭づくりをしたい!」と思い立ち、造園土木施工を専門的に学び始めました。チェーンソーでの伐採や小型移動式クレーン運転など、造園土木に関わる技能もゼロから習得。その後は、植木屋、造園の現場、バラやハーブ、寄せ植えの分野で経験を積み、今では園芸講座の講師としても活動しています。

3年がかりで土づくりをしたわが家の庭では、クルミ、リンゴ、ブルーベリー、フェイジョア、アーモンド、ベリー類などの果樹やシラカバ、季節のさまざまな花が育つ。

土づくりの基本を知りましょう

さて、ここからが土づくりの本題です。

古くから園芸の “万能用土”とも言われるのが、火山灰土を原料とする「赤玉土」。肥料分を含まず、害虫や菌が繁殖しにくい弱酸性の基本用土です。多くの植物に適した、まさにベースとなる土です。

無機質の赤玉土を、いわば“生きた土”に変えてくれるのが「腐葉土」。微生物などによって、落ち葉などの有機物が分解され、土状になったものです。通気性、水はけ、水分・肥料の保持力といったさまざまな土の能力が高まり、“命の循環”を支える舞台ともいえる土壌環境をつくってくれます。

基本的な培養土の黄金比率は、保水重視なら「赤玉土6:腐葉土4」、もしくは排水重視なら「赤玉土7:腐葉土3」です。

庭の場合は、これをブレンドして今ある庭土に混ぜるだけでもOK。水はけ、通気性がよくなり、土壌生物が元気に働ける環境に改善できます。ちなみに、赤玉土または腐葉土のどちらかを混ぜるだけでも、簡単な土壌改良になります。

よい赤玉土と腐葉土はどう見分ける?

赤玉土は、なるべくみじんの少ない、しっかりした粒状のものを選びましょう。みじんが多いと目詰まりしやすく、すぐに排水が悪くなってしまいます。粒が大きいほど、水はけがよくなります。

一方、粒が小さいほど、水もちはよくなりますが、水はけが悪くなります。小さな草花や一年草には小粒、樹木や水はけのよい土を好む多年草には中粒を選ぶとよいでしょう。 大粒は鉢底石代わりに使えます。

赤玉土※
みじんが少なく、粒がそろっているので「こだわり腐葉土」と混ぜやすく、ムラのない土に仕上がる。

腐葉土は、しっかりと熟成されたものがおすすめ。原材料である植物の形がほとんど残っていない、“森の土の香り”がするものは、完熟した、よい腐葉土の印です!

こだわり腐葉土※
袋を開けると、森の土を踏みしめたときのようなよい香り!広葉樹の落ち葉を完熟させているため、植物の原形がほぼない。

※いずれもサカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

土づくりに必要な基本の資材と、プランターや花壇の土づくりの順番

プランターも花壇もサイズが違うだけで、土づくりの基本的な考え方は庭と同じです。とはいえ、サイズの違いは植物にとっては大問題。特にプランターは土の量が限られているため、根を張れる範囲が狭く、栄養や水分の保持力も限られますが、育てたい植物に合わせて手軽に土づくりができるという利点もあります。

一方、花壇の場合は、深さと広がりを生かせることがメリットです。ここからは、それぞれの土づくりに必要な基本の資材と手順をお伝えします。

プランターの場合

プランターを使う場合は、排水性・通気性の確保のため、底に網が敷いてあるタイプのものがおすすめです。土を混ぜるときに使うタライは、大きなビニールのごみ袋でも代用可能。移植ゴテのほか、よりたくさん土をすくえる「土すくいスコップ」もあると便利です。

今回使ったプランターは、鉢底ネットに脚が付いているので、鉢底石は必要ない。そうでない場合は、鉢底ネットの上に、1~2cm鉢底石を敷いた方がよい。

[プランター培養土の配合例]

  • 赤玉土…60%
  • 腐葉土…40%

1.  赤玉土(小粒)6:腐葉土4をよく混ぜる。土すくいで何回分すくったかを数えれば、計量いらずでラクチン。

「赤玉土6:腐葉土4」もしくは「赤玉土7:腐葉土3」の黄金比率で混ぜる(今回は赤玉土6:腐葉土4)

大きなビニール袋で混ぜてもよいです。その場合は、袋の口を軽く縛って転がしながら混ぜるとムラなく仕上がります。唐揚げの衣を肉にまぶすイメージで!

ビニール袋を使って混ぜると簡単。

2.  よく混ぜた1.の土をプランターに入れる。プランターの高さギリギリまで土を入れず、上部はウォータースぺース(水やり時に土があふれないよう、わずかな時間だけ水がたまるスペース)として1~2cmほど残す(プランターの大きさによって調整)。

どんな形のプランターでも、ウォータースペースは残す。

3.  プランターの周りを手でトントンたたいて土の表面を平らにならしたら板や手で表面を均等に整え、軽く水をかけて1週間置き、土をなじませる。

そのまま使ってもよいが、水をかけて1週間置くことで、土の中の微生物が活性化し“生きた土”へと生まれ変わる。

4.  1週間後、緩効性肥料をパラパラまいて(分量は袋に書かれた通り)、1カ所に固まらないよう全体に混ぜる。または植え穴を掘って、底の土と肥料を混ぜ、肥料の混ざっていない土を少し戻してもよい。いずれの方法も、植物の根に肥料分が直接当たらないようにする。

緩効性肥料は、肥料成分がゆっくりと溶け出し、長期間にわたって植物に栄養を供給してくれる。

5.  植物を植える。4.の土を半量ほど取り出し、植える植物のレイアウトを決めたら土を戻す。その際、根鉢と土の間に隙間ができないように密着させるのがポイント! 

土を半量ほど取り出してレイアウトを決める。

根鉢と土の間に隙間ができないように密着させる。

6.  植物の株元に水やり。プランター容積の3倍の水量を目安とし、鉢底から出るくらい、たっぷりと水やりする。植えたばかりの植物が水圧で折れないよう、なるべく花や葉にかからないようにする。表面が乾いたら次の水やりのタイミング。初回と同量の水をやりましょう!

植え付けが完了したらたっぷり水やりする。

すでにある花壇や庭に草花や苗木を植える場合

植え付けや移植のタイミングで、根鉢の2~3倍(体積)に当たる部分の土を掘ってほぐし、黄金比率の土(赤玉土6:腐葉土4もしくは赤玉土7:腐葉土3)を混ぜます。土の成分が片寄らないよう、均一によく混ぜることが重要です。

1.  植える植物の根鉢の2~3倍の直径×根鉢の深さの2~3倍の深さの土を掘り、大きな土の塊がないようにほぐす。

植える植物の根鉢よりも広い範囲の土を掘ってほぐす。

2.  ほぐした土と、あらかじめ混ぜておいたオリジナル培養土(今回は赤玉土6:腐葉土4)を、半々で混ぜる。しっかり混ぜ合わせることで、深い領域まで新しい空気が取り込まれ、通気性と排水性が高まり、植物が広範囲に根を張りやすくなる。これですぐに草花や苗木を植えられる。

簡単な土壌改良の配合例

  • 庭土…50%
  • オリジナル培養土(今回は赤玉土6:腐葉土4)…50%

すでにある庭土50%、オリジナル培養土50%になるよう配合すると、簡単に土壌改良できる。

3.  植穴に2.の土を半量ほど戻し、苗を仮置きする。さらに根鉢が半分隠れるくらい土を戻し、水をたっぷり注ぐ。気泡が出てこなくなったら残りの土を戻し、根鉢の周りをドーナツ状に盛り土する(水鉢 みずばち)。仕上げの水を注ぐと、水鉢のおかげで、水が流出せず根に届く。

水鉢は、プランターにおけるウォータースペースの役割を担う。

新規で花壇やレイズドベッドをつくる場合

「レイズドベッド」とは、木枠などで囲い、地面より高く土を盛り上げた栽培スペースのこと。新しい花壇やレイズドベッドをつくる場合は、赤玉土、腐葉土、バーミキュライトなどを追加します。

レイズドベッド(木枠などで囲い、地面より高く土を盛り上げた栽培スペース)

[花壇やレイズドベッドの培養土の配合例]

  • 赤玉土…40%(小粒1:中粒2~3程度の割合でブレンド)
  • 腐葉土…20%
  • 黒土※…20%
  • バーミキュライト…10%(または真珠岩パーライト…10%)
  • 堆肥…10%

※黒土は、関東ローム層から採掘される火山灰の一種です。保水性と保肥力に優れますが、粒子が細かく、重くて排水性が劣るのがデメリット。そのため、バーミキュライトまたは真珠岩パーライトと一緒に使用し、排水性や通気性を向上させます。

1.  上の配合例で資材が均一になるようによく混ぜ、オリジナルの培養土をつくる。

2.  1.を花壇やレイズドベッドに投入する。

こだわりの花壇をつくるには、よい土づくりが欠かせない!

余った土の保管もひと工夫

余った土は、屋根の下やビニールシートで覆うなど、雨に当たらないように日陰や物置、ガレージなどに保管しましょう。袋には通気用の小さい穴が開いているため、雨ざらしだと雨水によって泥状になったり、カビが発生したり、虫が混入したり、成分が流出したりしてしまいます。開封後はなるべく早く使いきりましょう!

余った土は空気をなるべく抜いた状態で、袋の口をガムテープでしっかり留めて保管する。

おわりに――土づくりを成功させるポイント

今回ご紹介した配合例は、あくまでも目安として考えていただければOK。厳密に配合しなくても問題ありません。また、土の状況に応じて、ほかの資材を足してもいいでしょう。基本的な知識や手順をお伝えしましたが、構えすぎなくて大丈夫。柔軟に試してみる気持ちが、最終的に土づくりを成功させるポイントだと思います。

土や庭づくりには終わりがなく、学びと発見が常にあります。そして、庭や植物との向き合い方には「これが正解」という唯一の答えはなく、それぞれが自分のペースで、自分らしく楽しめる——その奥深さこそが、土づくりや植物の魅力だと感じています。無理なく継続できる方法を考え、自分らしく、長く楽しんでいただきたいと思います。

次回は種まきと育苗の土づくりについて、お伝えします。

文:加藤恭子 写真:加藤熊三、山田朗子(一部提供)

山田朗子

園芸家・庭人(にわんちゅ)

山田朗子

やまだ・さえこ

自宅の庭づくりをきっかけに園芸・造園の世界へ。造園土木施工の専門教育課程を修了したのち、植木屋、造園の現場、バラやハーブ、寄せ植えの分野で実務経験を積む。自然をお手本としたナチュラルな植栽を得意とし、庭のお手入れ、寄せ植えなど、植物に関わる幅広い仕事に携わりながら、園芸講座の講師としても活躍中。肩書の“庭人”は、「“庭に関わる人”として、庭と人とをつなぐ」という園芸家としての原点に由来する。

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