自分でできる! 植物いきいき! プランターと花壇の土づくり 【第2回】種まきと育苗の土

種は、“未来のかたまり”。発芽して間もない植物はいわば赤ちゃんのようで、虫にも草にも負けやすく、乾燥にも弱くデリケート。そんな生育初期をうまく乗り切るために知っておきたいのが、上手な種まきの方法です。ここでも前回お話しした「土」が重要な役割を果たします。第2回は、種まきや育苗に適した土についてお話しします。

はじめに

普段、苗を購入して園芸を楽しんでいる方にとって、種から植物を育てるのは何となく難しいイメージがあるかもしれません。でも、臆することなかれ。種は「水分」「温度」「空気(酸素)」という三つの条件さえそろえば、しっかり発芽します。

ただし、発芽したての植物は外界の刺激に弱く、デリケート。一歩間違えれば、発芽したもののうまく育たない…ということもあります。そこで肝心なのが、「土」。種まきに適した土を使うことが、その後の育苗の成功にもつながります!

種まきと育苗の基本と成功のポイント

もちろんプランターや花壇にそのまま種をまいてもよいのですが、上で述べたとおり、発芽したての植物はとても小さくて弱々しいもの。そこでポリポット(ビニール製の育苗用ポット)などの容器に種をまき、芽が出てから苗がしっかり育つまでの“子育て期間”(発芽管理と育苗)のあと、元気に育った苗を植える(定植)ことで、植物が根づきやすくなり、成功率が格段に高まります。

種まきや育苗に適した土を使い、それぞれの植物の特性に合った育て方をすることが成功のポイント!

種まきや育苗に適した土を使い、それぞれの植物の特性に合った育て方をすることが成功のポイント!

直根性植物は植え替えに弱いので注意

ただし、育苗した苗をプランターや花壇に植え替える際には、根を傷めてしまう危険があるので注意が必要です。特に植え替えに弱いのが、ヒマワリやアサガオ、スイートピーなど、まっすぐ深く伸びる根を持つ「直根性植物」。これらは最初からプランターや花壇に種をまく「直まき栽培」がおすすめです。

まっすぐ深く伸びる根を持つ「直根性植物」は植え替えが苦手

まっすぐ深く伸びる根を持つ「直根性植物」は植え替えが苦手

ちなみに、このあと紹介する「ジフィーポット」や「ジフィーセブン」は、微生物の働きで自然に分解される生分解性素材でできており、そのままポットごと植え付けられます。 やがて土に返るため環境にも優しく、苗を移植するときに根を傷める心配もありません。

種の発芽に必要な条件は?

種の発芽に必要な条件は三つ。「水分」「温度」「空気(酸素)」です。それぞれの植物に必要な条件がそろうと、いわば“発芽スイッチ”が入り、種が活動を開始します。

たとえば、水を含ませたキッチンペーパーの上に種をまき、発芽適温をキープできれば、発芽に必要な条件がそろい、芽を出すことはできるのです(「ペーパー発芽法」といいます)。とはいえ、もちろんキッチンペーパーのままでは植物は育ちませんから、根を伸ばす土が必要になるわけです。

種が発芽する三つの条件

種が発芽するには「水分」「温度」「空気(酸素)」の条件がそろうことが必要

種が発芽するには「水分」「温度」「空気(酸素)」の条件がそろうことが必要

種まきに適した土とはどのようなもの?

種まきの基本は、まず清潔な土を使うこと。病原菌や雑草の種など(詳しくはカコミで説明)が混入していない土を使うと安心です。また、粒子の粗い土だと小さな種が埋もれ過ぎて発芽しにくくなるため、細かい粒子の土が理想的です。そして、通気性、保水性、排水性のバランスがよいことも重要。水はけがよ過ぎると乾燥し、悪いと「窒息」の原因になります。

ちなみに発芽したばかりの植物は、まだ肥料をほとんど必要としません。種は、胚乳などに蓄えられた養分を使って発芽し、しばらくの間はその栄養だけで育ちます。元肥が配合された一般的な培養土に種をまいた場合、本葉が出て外からの養分を根が吸収し始めるころになると、肥料成分が濃過ぎて「根焼け」を起こしてしまうことがあるのです。

必要なのは、薄味でやさしい“離乳食”のような土。このあと紹介する「種まき専用培養土」には、発芽後の初期成育に必要な肥料が適量に配合されており、根の生育を促して、植物が元気に育つのを助けてくれます。

【まとめ】種まきに適した土って?

清潔なもの

  • 発芽したばかりの若い芽や根はとてもデリケートなため、病原菌や雑草の種、害虫やその卵が混入していない、清潔な土を使うことが基本
  • 新品を使うのが安心

粒子が細かい

  • 小さな種が深く埋もれ過ぎないような、細かい粒子の土が理想的
  • 発芽しやすく、芽が地上に出やすくなる

肥料分が少ない(または無肥料)

  • 種は自分の養分(胚乳など)で発芽するので、肥料成分が濃過ぎると「根焼け」の原因に
  • 無肥料の種まき用土を使う場合は、発芽後、本葉が出たタイミングで、薄めの液体肥料などを与える

通気性、保水性、排水性のバランスがよい

  • 水はけがよ過ぎると乾燥し、悪過ぎると「窒息」の原因に

種まき専用培養土は植物を種から育てるための強い味方

とはいえ、これらの条件をすべて整えた土を一から自作するのはハードルが高いもの。そこで、まずはぜひ「種まき専用培養土」を使ってみてほしいと思います。一般的な培養土とどのような点が違うのか、ご紹介していきます!

根を元気に育ててくれる成分をたっぷり含む「黒と白のピートモス」

今回使う「スーパーミックスA<sup>®</sup>(タネまき・育苗用土)」※は、生育初期に必要な肥料がバランスよく配合されている<br/>※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

スーパーミックスA®(タネまき・育苗用土)」は、生育初期に必要な肥料がバランスよく配合されている
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

今回使う種まき専用培養土は「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」。まずは原材料を見てみましょう。

特に注目してほしいのが「ピートモス」。ピートモスとは、水ごけなどの植物が酸素の少ない湿地で育ち、完全には分解されずに堆積し、長い年月をかけて泥炭化(腐植化)した有機物「泥炭(ピート)」を乾燥・粉砕したもので、いわば“天然の土壌改良材”ともいえる存在。ピートモス自体は、やや強い酸性(pH3〜4)の性質を示しますが、土壌の改良や微生物の活動を助ける腐植物質(フミン酸などの有機酸、pH5〜6)も含みます。

2000年以上前の地層のものが「白ピート」、8000年~1万年以上前の深い地層から採掘されたものが「黒ピート」と呼ばれます。一般的には、黒ピートの方が高品質とされることが多いです。 黒ピートは分解が進んでいて、保水性や保肥力に優れる上、酸度も穏やか(pHが中性に近い)なので、長期栽培や土壌改良に適した“安定した品質”が評価されているのです。

今回使う、サカタのタネの「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」は、品質の高い、100%ドイツ産の黒ピートと白ピートがバランスよく配合されています。pH調整済みなので、あらゆる植物の種まきにも安心して使用できるのが便利ですね。

その上、高機能なフミン酸(特にドイツ産の黒ピートには白ピートの約3倍!)がたっぷり含まれているため、根がのびのびと広がり、元気に育つ環境をしっかり整えてくれるので、発芽後の生育にも大きな期待が持てます。適湿に調整されているので、しっとりとした手触り。水分調整をする必要がなく、そのまますぐに種まきができるのもいいですね!

「スーパーミックスA<sup>®</sup>(タネまき・育苗用土)」は、きめが細かくフワフワの感触!

「スーパーミックスA®(タネまき・育苗用土)」は、きめが細かくフワフワの感触!

【第1回】 土づくりから始めるこだわりのプランターと花壇』でご紹介したオリジナル培養土づくりにも、腐葉土の代用として加えられるほか、庭や花壇の土づくりなど、アイデア次第でさまざまな場面に活用できるのもうれしいポイントです。これなら、用途に合わせていくつもの用土を買いそろえる手間が省ける上、残った土の保管場所に悩む心配もありませんね。

左は「スーパーミックスA<sup>®</sup>(タネまき・育苗用土)」、右はpH調整されていない一般的なピートモス

左は「スーパーミックスA®(タネまき・育苗用土)」、右はpH調整されていない一般的なピートモス

種まき専用培養土を使って種をまいてみよう!

ここからは、実際に「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」を使った、種まきの手順をご紹介します。種の大きさや植物の特徴に応じて、便利なグッズも活用します。それでは、順番に見ていきましょう!

このようなガーデニングシートがあると、トレー状になって土がこぼれにくく便利!

このようなガーデニングシートがあると、トレー状になって土がこぼれにくく便利!

丈夫な苗に育てたい植物の種をまく場合は、通気性と保水性を実現して、鉢全体に根を張り巡らせます。「Yポット」なら、さらに耐久性もあるので、洗って清潔にすれば繰り返し使えるのがうれしいところ。 経済的にも優しく、長く愛用できるのがいいですね。

「Yポット(直径9cm)」※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

Yポット(直径9cm)
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

1. まずは、ポットの底穴がしっかりふさがるように、全体の2/3くらいまで「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」をふんわりと入れ、軽くトントンとゆすって空気の隙間をなくす。その後、ウォータースペースを残して8分目くらいまで土を足していく。

「Yポット(直径9cm)」※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

2. 土の表面を、優しく平らにならす。こうすると種を均一にまきやすくなるだけでなく、発芽のタイミングもそろいやすくなる。土をぎゅうぎゅうに詰め込んだり、上から強く押さえ過ぎたりしないように注意を!

3. 指先で優しくまき穴を開ける。穴の数は1〜3つが基本(深さは一般的に「種の直径の2〜3倍」が目安とされる)。

おおよそ、人さし指の第一関節くらいまで土に差し込むとちょうどよい深さ。

おおよそ、人さし指の第一関節くらいまで土に差し込むとちょうどよい深さ。

4. 種(大きめのもの)をまき穴に1粒ずつ入れ、土をかけてならす。覆土の厚さは、種の直径の2〜3倍が基本。※種の種類によっては、光がないとうまく発芽できないものもあるため、種の袋に書かれた注意書きをよく確認してからまきましょう!

5. 鉢の底から気泡(空気)が出なくなるまで、ポットの2〜3倍の量を水やりする。初めは水をはじきやすいため、一度にたくさん注ぐのではなく、何回かに分けてしっかりと用土に水をしみ込ませるのがポイント。

コーヒーをドリップするようなイメージで、優しく丁寧に!

コーヒーをドリップするようなイメージで、優しく丁寧に!

中粒~大粒の種や、植え替えや移植を嫌う植物には「ジフィーポット」がおすすめ

中粒~大粒の種(アサガオなど)や植え替えや移植を嫌う植物(スイートピーなど)には、「ジフィーポット」を使った種まきがおすすめです。「ジフィーポット」は、ポットごと植え付けができ、やがて土に分解されるので植え替え不要な優れもの! 通気性がよいので根の成長が早く、健全な苗に育ちます。

「ジフィーポット(直径5.5cm)」※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

ジフィーポット(直径5.5cm)
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

また、種まき・育苗に使う「セルトレー」は、この「ジフィーポット(直径5.5cm)」がぴったり入るサイズ。「ジフィーポット」と「セルトレー」を組み合わせて使うと、省スペースでたくさんの苗を育てられ、ポットが安定するので移動や水やりがしやすくなります。 「セルトレー」ごと持ち運べるので、日当たりや風通しの調整もラクチン!

「セルトレー」※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

セルトレー
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

1. 【「ジフィーポット」単体で使用する場合】
乾いたままだと水をはじきやすいため、あらかじめ「ジフィーポット」全体を軽く湿らせておく。その上で、「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」をふんわりと空気を含ませるように入れていく。

【「セルトレー」と「ジフィーポット」をセットで使用する場合】
セットで使用する場合は、まず「セルトレー」に軽く湿らせた「ジフィーポット」を並べる。そこに「スーパーミックスA(タネまき・育苗用土)」を手順1の要領でふんわりと入れ、表面をならす。

2. ピンセットの先で3カ所にまき穴をつくる。

種をピンセットでつまみ、まき穴に置いて指先で土をかける。

何の種をまいたか、植物の名前をラベルに書いておくと後で分かりやすいですよ!

くり返し使える竹ラベル
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

3. ハス口をつけたジョウロなどを使って優しく、鉢の底から気泡(空気)が出なくなるまで、たっぷり(ポットの2〜3倍)の水やりをする。このとき、土が流れたり種が浮いたりしないように注意を!

「セルトレー」に新聞紙をかけて、その上から水やりをすると、種が流れ出てしまうのを防ぎながら、土全体にゆっくりと水を行き渡らせ、むらなく湿らせることができます。表土の乾燥を防ぎ、発芽までの温度を保ちやすくする効果も期待できます!

新聞紙は、発芽が始まったらすぐに取り除きましょう。取り遅れるとヒョロヒョロの芽になってしまいます。ちなみにレタスなど好光性種子の場合、新聞紙はかけず、発芽まで土が乾かないように保ちましょう。

「セルトレー」に直接種まき専用培養土を入れて使う場合

「セルトレー」に直接土を入れて使用することもできます。「Yポット」と同様に耐久性があり、洗って清潔に保てば何度でも繰り返し使えます。根がまっすぐ伸びるため健全な苗に育ちやすく、定植時の取り出しやすさは、人にも植物にもストレスフリーでよいですね。

また、「セルトレー」を2枚用意し、土を入れたものの上に、もう1枚を重ねて押すと、一気に鎮圧※ができます。まき穴の目印をつけられるのも便利ですね!

※鎮圧…土の乾燥を防ぎ、初期の根張りを促進するため、土を押さえて種と周囲の土とを密着させること

土を入れた「セルトレー」にもう1枚を重ねて押すと、一気に鎮圧できる

土を入れた「セルトレー」にもう1枚を重ねて押すと、一気に鎮圧できる

まき穴の目印をつけられるのも便利

まき穴の目印をつけられるのも便利。

小~中粒の種には「ジフィーセブン」がおすすめ!

小~中粒の種には、水に浸してふくらませて使う土ポット「ジフィーセブン(直径42mm)」もおすすめです。土ポットごとそのまま植え付けができるため、植え替えの必要がなく、根を傷めずに育てられます。

「ジフィーセブン(直径42mm」※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

ジフィーセブン(直径42mm)
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

1. 「ジフィーセブン」がかぶるぐらいの水に浸して、しっかり給水させる。 ※ぬるま湯を使うと、より早く均一にふくらむ。5〜10分ほどで使用可能な状態に!

2. 十分にふくらんだら、中央部を軽くほぐして種をまく。土をかぶせる必要のある種は、まき穴の周辺の土をかぶせる。

十分にふくらんだ「ジフィーセブン」

十分にふくらんだ「ジフィーセブン」

中央部を軽くほぐして種をまく

中央部を軽くほぐして種をまく

3. 【発芽後】種を数粒まいて発芽した場合、発芽した芽の中から元気なものを1本だけ残し、他の芽は清潔なハサミで根元から切るか、ピンセットや指で優しく引き抜いて間引く。苗が大きく育ち「ジフィーセブン」の周囲や底から根が出るようになったら、「ジフィーセブン」ごと植え付ける。植え付けの際は「ジフィーセブン」が土の中にかくれるように植え込み、まわりに十分水やりする。

極小の種をまくには「ピートバン」が便利

極小の種(ロメインレタス、トルコキキョウなど)をまくときには「ピートバン」がおすすめ。水でふくらませるだけの初期生育に必要な肥料が入っている種まき培養土で、発芽の管理がラクになります。「ピートバン」に種をまくときには、手持ちの厚紙やはがきなどを半分に折ってV字型の溝をつくり、その溝に種を少量のせます。種の通り道となるこのV字型の溝を軽く傾け、指で優しくトントンと叩くようにすると、種が少しずつ落ちていき、均一にまきやすくなります。発芽後は、「ジフィーポット」に植え替えて、その後、ポットごと定植しましょう。

ロメインレタスやトルコキキョウなど1mm以下の細かい種は、「ピートバン」でばらまきに

ロメインレタスやトルコキキョウなど1mm以下の細かい種は、「ピートバン」でばらまきに。
※サカタのタネ 公式オンラインショップで購入可能。

おわりに

小さな種が目を覚まし、芽が出て、葉が広がり、やがて花が咲く「奇跡」。どんな姿になって、どんな香りを放つのか――。育てる人の関わり方で、植物はその表情を変えます。今回は、種が安心して目を覚ます“ゆりかご”となる土の大切さをご紹介しました。

次回は、土づくりの基礎知識として欠かせない「土の気相、液相、固相」についてお伝えします。

文:加藤恭子 写真:加藤熊三、サカタのタネ(一部提供)

山田朗子

園芸家・庭人(にわんちゅ)

山田朗子

やまだ・さえこ

自宅の庭づくりをきっかけに園芸・造園の世界へ。造園土木施工の専門教育課程を修了したのち、植木屋、造園の現場、バラやハーブ、寄せ植えの分野で実務経験を積む。自然をお手本としたナチュラルな植栽を得意とし、庭のお手入れ、寄せ植えなど、植物に関わる幅広い仕事に携わりながら、園芸講座の講師としても活躍中。肩書の“庭人”は、「“庭に関わる人”として、庭と人とをつなぐ」という園芸家としての原点に由来する。

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