北海道、我が菜園で出会った「野菜の命の物語」 【第2回】ギョウジャニンニク

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

料理の具材として重宝なギョウジャニンニク

ほのかなニンニク臭が食欲を誘うギョウジャニンニクは、株を包む赤紫色の薄皮の先から若葉が2〜3㎝伸びた時期が一番の食べ頃である。2、3本まとめて揚げた天ぷらが美味で、若葉が少し伸びたものはおひたしや卵とじにする。焼き肉やラーメンの具、煮付けや炒め物などの料理の具材としてとても重宝している。葉が完全に伸びきった株は葉を取り除き、しょうゆに漬けて保存食にする。漬け込んだしょうゆダレや刻んだ茎は、餃子やチャーハンに合わせて年中利用するのである。

北海道ではキトピロやプクサの名で親しまれているギョウジャニンニクは、春の山菜採りの主役である。だが、最近は近場で採取することがだんだん難しくなり、遠方へ出かけなければならなくなってしまった。それに代わって、スーパーで売られている野菜と一緒に並ぶ栽培ものに出合う機会が多くなった。我が菜園にも定植してあり、雪解け直後にキトピロの旬を楽しんでいる。

コラージュに使う写真は影を嫌う。特に、白い花の撮影は背景がグレーになることも極力避ける必要がある。背景から切り抜いた花の輪郭が黒く濁って清楚さを失うためだ。だが、陰影のない白い花は立体感を出しにくく、撮影は相反する。素材と背景の光線を微妙に変え、描写具合を何度も確認しながら撮影する。

次回は「フキ」を取り上げる予定です。お楽しみに。

奥田 實

写真・文

奥田 實

おくだ・みのる

北海道東川町在住。2010年、樹木の生命美をとらえた写真集『生命樹』を出版する。また、自宅の菜園で育てる野菜を『生命樹』と同じ視点で撮影し、作品を構成した『野菜美』を2014年に出版。

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