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連載

【第13回】今年のガーデニング計画

文・写真

三橋理恵子

みつはし・りえこ

園芸研究家。一年草・多年草をタネから育てる研究をしている。著書に『三橋理恵子の基本からよーくわかるコンテナガーデン』(農文協)、『イラストで学ぶ、はじめてのガーデニング』(角川マガジンズ)などがある。


※タネのまき時などは神奈川県横浜市における栽培に基づいて記載しています。

【第13回】今年のガーデニング計画

2016/01/26

冬は庭のことをじっくり考えたい

暖かな部屋から庭を眺めながら、時には庭に出て冷気に当たりながら、庭をこれからどう変革していこうか思案する。庭作りだけの話ではないが、何でも思いつきでやっていると、やがて支離滅裂になる。だから庭も年の初めに、きちんと計画を立てる方がいい。それに向かってやる気を高めていく。わくわくも自分で作るものなのだ。

庭のコーナー作りはもちろんだが、庭のグレードアップについても真剣に考えたい。現状である程度満足していても、まだ次をめざそうという気持ちはある。植栽しかり、園芸資材しかり、土作りしかり。冬の庭は緑が枯れて、骨格が丸見えになっている。だからどこをどうしたいか、想像力も働きやすい。ただし、少し頭をやわらかくして、既存の庭から脱却する勇気が必要だ。

まずはやってみたいことを、ノートに書き出していく。こんな植物をここに植えたいとか、庭の小さなコーナーをこんなふうにまとめたいとか、アイデアはたくさんあるほど楽しい。今の庭を洗練させたいけれど、具体的にどうしたらよいのかわからないという人も多いかもしれない。そんな時も、希望を細かくノートに書き出してみて、ぼんやりした思いをだんだん煮詰めながら、計画にまとめあげていくとよい。こんなことがやりたい。それがわかれば行動に移せる。

自分の庭の写真を撮りためているなら、それを見るのも参考になる。私も庭ができてからの写真をしょっちゅう眺めている。これまでの方が花つきがよいのを発見したりして、土作りについて考えさせられることも多い。このほか、ウェブで庭ブログをチェックしたり、雑誌や書籍を漫然と眺めたりしていると、自分の好みが見えてくる。自分の庭のネタ探しをしようと見ているとだめで、何となく見て「自分にとってのよきもの」を心にだんだん蓄積していく。庭のスタイルも目的もさまざまだから、形だけまねてもだめみたいだ。

数年前の方がレイズドベッドの草花たちの花つきがよかったかもしれないと気づくのも、撮りためた写真のおかげです

自分のペースで少しずつ庭変革

庭の変革。なんていい響きだろう。冬だというのに、心が躍り出しそうだ。私もこれまでに南面のボーダー花壇をウッドデッキに作り変えたり、西面の通路を小路をつけた植栽コーナーに変身させたり、庭の中心にレンガと芝を張ってみたりと、いろいろな変革を試みてきた。植栽もここ数年では、ジューンベリーを植えたり、パーゴラにブドウを這わせたりした。振り返れば、少しずつではあるが、だんだん庭は洗練され、自分のものになってきている。

今年は玄関側にたくさんコーナー分けした花壇のいくつかを作り替えたいと思っている。日陰の部分もあり、ここは葉もの中心でまとめたい。緑の濃淡や葉の形、大きさの違いを生かして、すてきな箱庭を目指したい。また玄関先で大きく茂りすぎた銀葉のレウカンセマムを代替わりさせようかと考えている。庭を変革させるためには、そんな思い切りも時には必要だ。

新しい植物も、まだまだ手に入れたいものはたくさんある。園芸店をまめに訪問していると欲しかった植物が見つかることもあるし、通販カタログもこの時期にしっかり見て、新たな植物の情報を手に入れておきたい。本当に欲しくて庭に必要なものと、欲しいけれど庭に不要なものを、きちんと区別する時でもある。この先思いつきで買って、あとで後悔しなくて済む。庭の特定の場所にどんな植物を植えたいのか。想像力もアイデアも知識も必要だが、考える時間はたっぷりある。

南面の庭は、初期の頃はボーダー花壇でしたが、今はウッドデッキに生まれ変わっています。庭へのアクセスがよくなり、コンテナも今の方が生きています

ただ植栽であふれかえった庭では、変革できる部分はそう多くないこともある。また庭を一度に作り変えられるわけでもない。庭のコーナー部分から、少しずつ変えていく方法が現実的だろう。私も実際そうやって少しずつ自分の好みに近づけてきた。
一度自分の庭をしっかり見つめ直したいと思ったら、家の設計図に付属する庭の見取り図をコピーして、今の庭の植栽図を記入してみるとよい。うちのような小さな庭でも、植栽の数は案外膨大で、作るのは大変だが、庭を見直すよいきっかけになる。見取り図を作ったら細かく自分の希望などを書き込んでいって、ひとつのプランとしてビジュアルでまとめる。

こんなふうに庭を変えてみたいという構想ができれば、今年の庭作りもきっと楽しくなる。最初は妄想に近くても、だんだん行動に移しているうちに、現実的な形になっていく。まずは自分でこうしたいと思う気持ちが大切だ。私たちには、そのために長い冬がある。

次回は「冬の庭仕事」を取り上げる予定です。お楽しみに。

JADMA

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