



文
佐倉朗夫
さくら・あきお
1975年、東京教育大学農学部卒業。神奈川県農業総合研究所や民間企業で野菜栽培の経済性や環境保全型農業の研究、有機野菜の栽培技術向上に取り組む。現在、明治大学特任教授、黒川農場副農場長。同大学リバティアカデミー「アグリサイエンス」講座で市民を対象とした有機農業講座を担当。著書に『有機農業と野菜づくり』(筑波書房)、『佐倉教授「直伝」! 有機・無農薬栽培で安全安心な野菜づくり』(講談社)、『家庭菜園 やさしい有機栽培入門』(NHK出版)などがある。
【第11回】エンドウ
2016/11/01
野菜用としてのエンドウは、実が膨らむ前の平たい莢を食べるサヤエンドウ(絹莢エンドウ)と、膨らんだ青い豆を食べる実エンドウ(グリーンピース)に分けられます。また、サヤエンドウでは中の豆が大きくなっても莢ごと食べられるものも開発されていて、スナックエンドウやスナップエンドウの名でなじみになっています。それぞれ、用途や食べ方が異なりますが、一早く春を感じさせてくれる“まばゆいばかりの緑”を楽しんでください。
ソラマメと同じく、連作を嫌う上に、特にサヤエンドウは家庭菜園では収穫期間が短いのですが、採れば採るほど収穫量が増え、少ない株数でも一家に十分な量が収穫できるので、ぜひ作ってほしい野菜です。
収穫の最盛期を向かえた絹莢エンドウ。早採りが柔らかくて美味 写真:谷山真一郎
分類と生態
原産地:中央アジア〜地中海沿岸
科名:マメ科エンドウ属
連作障害:あり(3〜4年あける)
生育適温:15〜20℃
作型と栽培
ソラマメと同様に秋まき栽培が基本作型
エンドウの原産地は明らかではありませんが、ソラマメと同様に中央アジアから地中海沿岸とする説が有力で、本来は長日植物です。現在の品種は日長をあまり気にしないで栽培できますが、花成(かせい=花芽が形成されること)には低温が必要で、発芽中から低温に感応して花芽分化が起こるシードバーナリ型植物です。
一般的な長日植物と同様に、寒さには強いが暑さに弱く、生育適温はソラマメと同様に15~20℃です。しかし、耐寒性はソラマメよりはやや弱く、幼苗期は0℃以下、開花以降は5℃以下で生育障害が出ます。従って、温暖地や越冬可能な寒冷地では、秋にタネをまき、小さな株で越冬させて低温にあわせ、春に開花させ収穫する秋まき栽培が基本作型です。
つるあり種とつるなし種の違い
サヤエンドウには絹莢エンドウとスナック(スナップ)エンドウがあり、さらに、つるあり種とつるなし種があります。
つるあり種は草丈が120cm以上と高くなり、長い支柱が必要になります。つるが長い分、収穫量は多くなります。つるなし種は草丈60~70cmとコンパクトに育ちますが、やはり支柱は必要です。つるが短い分、収穫までの期間は短く早く収穫できますが、収穫量はやや少なめです。
エンドウの作型例
各作型の特徴と栽培のポイント
[秋まき栽培]
温暖地や越冬可能な寒冷地(岩手県以南)における露地栽培の基本作型。秋にタネまきをして春に収穫する。
秋まきのポイントは早まきをしないこと。早くまき過ぎると、越冬時に株が大きくなり過ぎて霜や寒さにやられてしまう。耐寒性が最も強い本葉2、3枚の状態で冬越しさせるのが理想なので、南関東では11月20日ごろまでタネまきを遅らせてもよい。
実エンドウ(グリーンピース)は冷凍貯蔵ができるため、農家の栽培においても周年生産の必要性が乏しく、サヤエンドウの基本作型である10~11月タネまきで、5~6月収穫の秋まき栽培が一般的。また、実エンドウ栽培に使われる品種は低温要求性の高いものが多いので、その意味からも低温を経て開花させる秋まき栽培が適している。
[春まき栽培]
温暖地では秋まき栽培が最適だが春まき栽培も可能で、3月にタネまきをして6月に収穫する。3月末よりも早くまく場合は、温度が十分ではないのでトンネルの中にタネまきをする。収穫期は秋まきよりも遅くなるが、4~5月に一気に生育し、5月下旬〜6月には収穫が始まる。
なお、北海道などの寒地では、越冬が不可能なため春まき栽培になる。収穫期が夏になるので、夏が冷涼な地域での作型。
[夏まき栽培]
夏にタネまきをして秋に収穫するが、寒冷地・寒地では春まき栽培に連続した作型となり7月にタネまきをして9月に収穫する。
一方、とりわけ冬が温暖な暖地では8月にタネまきをすると10~12月の収穫が可能となり、暖地型の夏まき栽培になる。これは四国や九州をはじめとし、伊豆半島や紀伊半島、瀬戸内海沿岸などでも行われる。この場合、低温にあう可能性が少ないので、品種によっては花が付きにくいこともあり、低温要求性の低い品種を選ぶ必要がある。