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【第20回】カブ

佐倉朗夫

さくら・あきお

1975年、東京教育大学農学部卒業。神奈川県農業総合研究所や民間企業で野菜栽培の経済性や環境保全型農業の研究、有機野菜の栽培技術向上に取り組む。現在、明治大学特任教授、黒川農場副農場長。同大学リバティアカデミー「アグリサイエンス」講座で市民を対象とした有機農業講座を担当。著書に『有機農業と野菜づくり』(筑波書房)、『佐倉教授「直伝」! 有機・無農薬栽培で安全安心な野菜づくり』(講談社)、『家庭菜園 やさしい有機栽培入門』(NHK出版)などがある。

【第20回】カブ

2017/08/01

カブは古い野菜の一つで、日本への渡来はダイコンよりも古いといわれています。春の七草の「すずな」とはカブのこと。地域に適応した地方品種が各地にあり、産地名を冠した品種名も多く見られます。店頭でよく見るのは白くて丸っこい小カブですが、他に中カブ、大カブ、細長い長カブ、さらには根が紅、紫、緑色をした色カブもあります。根形については『野菜のプロフィール』(宇田太郎著 社団法人全国生鮮食料品流通情報センター、1986年発行)には14種類が紹介されています。
初心者は、まずは小カブから始めるのがおすすめですが、多彩な品種は家庭菜園での楽しみの一つ。ぜひ、在来種にも挑戦してみてください。

小カブ「あやめ雪」は紫と白の彩りが美しい早生品種 写真:谷山真一郎

分類と生態

原産地:アフガニスタン、南ヨーロッパ(地中海沿岸)
科名:アブラナ科ブラシカ属
連作障害:あり(1〜2年空ける) 
生育適温: 20℃前後

作型と栽培

古来、栽培されてきたカブの品種は多種多彩

カブはアブラナ科の野菜ですが、ダイコンとは異なるブラシカ属で、染色体の数はハクサイ、コマツナ、ミズナ、ツケナ類などと一緒です。原産地はアフガニスタン、南ヨーロッパ(地中海沿岸)とされています。
日本のカブの品種には、和種系と洋種系、およびその中間型があります。和種系は古くから日本で栽培されてきたカブです。洋種系は明治以降に西洋から導入されたと思いがちですが、山形県の温海(あつみ)カブは江戸時代以前から焼き畑農法で栽培されている、相当に古い洋種系カブです。よく知られた洋種系品種では、金町小カブ(東京)、和種系では千枚漬けの聖護院カブ(京都)、天王寺カブ(大阪)、近江カブ・日野菜カブ(滋賀)があります。ちなみに金町小カブは小カブ、近江カブは中カブ、聖護院カブは大カブ、日野菜カブは長カブです。

一番、作りやすいのは9月にタネをまく秋まき栽培

作型に関連するカブの特性を見ると、長日植物で低温には比較的耐えますが耐暑性が劣ります。特に生育後半の成熟期は暑さに弱くなります。しかし、低温に感応して花成(かせい=花芽が形成されること)が始まるシードバーナリ型なので、タネまき当初から低温に注意が必要です。発芽適温は20~25℃、生育適温は20℃前後です。

基本的な作型は春まき栽培と秋まき栽培で、一番、作りやすいのはハクサイやダイコンなどと同様に9月にタネをまく秋まき栽培です。春まき栽培の早まきは低温に感応してとう立ちします。

近年は周年需要に対応するために、比較的栽培期間が短い小カブを使って、トンネルやハウスを利用した周年栽培が一般的になっています。また、収穫の方法(時期)の違いによって、株が成熟してから収穫する大株採りと若いうちに収穫する若株採りがあります。大株採りは主に加工用で、生食用としては若株採りをします。ハクサイも同様で、加工用栽培は秋まき栽培が多いのはこのためです。

カブの作型例(温暖地から暖地の場合)

各作型の補足事項は下記の通りです。
[秋まき栽培]
最も作りやすい基本的な作型。

[春まき栽培]
生育初期の低温に注意。心配な場合はトンネルを掛ける。

栽培手順(温暖地の場合)

1.植え床の準備

タネまきの2週間前に、1平方メートル当たり堆肥1L、ボカシ肥料100gを施して耕します。通路幅を50cm取り、植え床幅70cm、高さ15cmの畝を作ります。

〈小面積の場合〉

小面積の場合は植え床の縦方向にすじを作る一般的な方法よりも、植え床を横切るように作る横切り作条(よこぎりさくじょう)が便利です。しかし、植え床幅をあまり広くすると作業性が落ちるので、身の丈に合った幅にします。

2.タネまき(秋まき栽培の場合)

〈小カブ、中カブ〉

小カブは条間20cm、中カブは条間30cmのすじまきにします。まずは、厚さ1.5cm程度の角材などを使って鎮圧をして、深さ1~1.5cmのまき溝を作ります。まき溝に1cm間隔ぐらいにタネを並べてまきます。その上に土を厚さ0.5~1cm程度に薄くかけて表面を軽くたたいておきます。

〈大カブ〉

大カブは条間40〜50cmの点まきにします。空き缶などの底で株間25~30cmに鎮圧して深さ1~1.5cmのまき穴を作り、1穴に5~6粒ずつタネをまきます。その上に土を厚さ0.5~1cm程度に薄くかけて表面を軽くたたいておきます。

3.間引き・中耕と土寄せ

間引きは数回に分けて行い、最終株間は小カブ5~10cm、中カブ10~15cm、大カブ25~30cmで苗を1本にします。間引きの目安は、最初のころ(本葉1〜5枚ぐらいまで)は、株間を隣同士の葉が触れ合うか触れ合わない程度に保つようにし、本葉5~6枚のころに最終株間になるようにするとよいでしょう。

発芽したら、まず混み合ったところを間引きます。間引きの後に中耕と土寄せは必ず行います。

その後の間引きは地際からはさみで切り、残す株の根を傷めないように十分に注意します。間引き後に中耕と土寄せを行います。土寄せを丁寧に行えば行うほど肌がきれいなカブになります。
なお、小カブを間引いたものは間引き菜として利用できます。葉はもちろん、株に付いてくる小さなカブは甘くておいしいものです。

4.追肥

小カブの場合、追肥は必要ありません。中カブ、大カブでは、最終の間引きの後に、ボカシ肥料を畝1平方メートル当たり20g程度を条間にすじ状にまいて土をかぶせます。

5.病害虫対策

〈害虫〉

アブラムシ、アオムシ、コナガ、カブラハバチ、キスジノミハムシなどが発生します。葉を小まめに観察して、見つけ次第捕殺します。イモムシの類は若齢幼虫のときに発見して取り除くことが基本ですが、防虫ネットでトンネルを作るなどの工夫も有効です。

〈病害〉

根こぶ病や軟腐病が発生します。どちらも根から感染して根に障害を発生させるので、連作を避けることと、水はけをよくするために高畝で栽培することが病害回避のポイントです。なお、軟腐病はキスジノミハムシ、ヨトウムシ、アオムシなどの食痕から病原菌が侵入して腐敗を起こすため、前作にさかのぼる継続的な害虫対策を行うことも有効です。

6.収穫

タネまきから収穫までの日数は、秋まきでは小カブは40~50日、中カブは50~60日、大カブは60~90日です。なお、品種によっては、小カブから中・大カブまで好みの大きさで収穫が可能なものもあります。そのような品種では、小カブで収穫するときに飛び飛びに残しておいた株を、中カブに育てて収穫することもできます。

イラスト:角しんさく

小カブではカブ(球)の直径が5cm程度に太ったころが適期で、軽く引っ張ると抜けます。中カブ、大カブはそれぞれ品種ごとの大きさになったら収穫しますが、中カブは10cm、大カブは20~30cmを目安にするとよいでしょう。採り遅れるとすが入るなどして味が落ちるので早採りを心掛けます。

有機栽培のコツ

病害虫の発生を軽減するポイントは、遅まきと肥料バランス

病気や害虫が出やすい時期をなるべく避けて栽培をします。窒素肥料が多いと病害虫の発生は多くなり、秋まき栽培ではタネまきを遅くするほど害虫の発生は少なくなります。前作の肥料の残効がある場合が多いので、タネまきを10月にして、リン酸肥料だけ施して栽培するとアブラムシなどはほとんど発生せず、きれいなカブが収穫できます。

次回は「シュンギク」を取り上げる予定です。お楽しみに。

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