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【第28回】庭の草花で簡単アレンジ!

【第28回】庭の草花で簡単アレンジ!

2016/04/05

庭の草花は茎が短く、曲がっていたり、葉に虫食いがあったり…。でも、それもあいきょう! それぞれの個性に合わせてあげれば大丈夫です。今月は、庭の草花で作る、簡単&かわいい生花のアレンジをご紹介します。

花屋さんにはまねできないアレンジはいかが?

ケーキのようなアレンジをテーブルに飾って!

ガーデニングのあとの一番の喜びは、もちろん、咲いた花たちや庭を彩る緑葉を眺めること。それまでの努力が報われる最高のひとときです。でも、たくさん花が咲いたり、葉が茂りすぎたりしたら、整理がてら収穫して生花のアレンジを作るのも、アフターガーデニングの私の楽しみのひとつ。
それぞれの草花の個性を生かして、水に浮かべたり、マグカップに生けたり、オアシスを使ったテーブルアレンジを作ったり。そんな庭の草花で作る、簡単でもすてきな生花のアレンジを今月はご紹介します。

(使用した草花:青と薄青の西洋アジサイ2種、アメリカアジサイ「アナベル」)

誰でもあっという間に作れる、水に浮かべるだけのシンプルアレンジです。水に浮かべても沈めても、驚くことにアジサイは1週間以上美しいまま。花弁(じつはガク)が傷んだりしません。そんな個性を生かして、少し深さのある器に水を張れば、あとは小房に分けた花たちを器に盛りつけるだけ。週末、子どもたちと一緒に作れる超簡単アレンジです。庭の西洋アジサイやヤマアジサイの株の後ろに咲く花を少し採ってくれば十分作れます。
テーブルアレンジは、どの方向からも花の顔が見えるように生けるのがポイント。大きなサラダボウルに生ければ、豪華なアレンジが完成します。クリスマスローズやツバキ、ラナンキュラス、バラなども水に浮かべてアレンジするとすてきです。

少し明るい北側の道路に面した表庭の花壇。ローメンテナンスな植物ばかりを植栽した花壇の初夏の主役は、青や白の古株のアジサイたちです

[1]白いアメリカアジサイ「アナベル」を小房に分け、水を張った器に浮かべる
[2]「アナベル」の間に、どこからでも青のアジサイの花の顔が見えるように浮かべる
[3]コントラストをつけるため、白の「アナベル」を残しながら薄青のアジサイを飾る

たくさんの小花が集まったアガパンサスの花。初夏の裏庭では、青や紫、白の手間いらずのアガパンサスの花たちが満開です。外側から中央に向かって咲く花だから、外側から少しだけきれいな小花を摘んでデザートグラスに盛りつけ。家族に大好評でした!

(使用した草花:斑入りのヘデラ、花のピークが過ぎ緑色に花色が変化したアジサイ2種)

ヘデラのつるを器いっぱいにベッドのように広げ、その上に小房に分けたアジサイの花をのせるように浮かべた簡単アレンジ。水に浮かべたヘデラもアジサイのようにしばらく色変わりしません。ピークを過ぎ花色が変化したアジサイは、アンティーク風で魅力的。アレンジのベース、ベッドに向く葉ものは、つる性のヘデラやプミラ、ハツユキカズラなど。整理がてら剪定して使います。
10日もするとヘデラが立ち上がり、つるを伸ばし始めるほど元気! じつは、花より葉ものの方が一般的に水あげもよく長持ちします。水さえこまめに換えてあげればロングライフ。特に暑い夏は、涼しげな葉もののアレンジが花より長持ちするからおすすめです。

7月後半、色鮮やかだったアジサイたちも、青はアンティーク調に、白はライムグリーンへと変身。花を残しておくと翌年花が咲かないので、一部剪定して生花のアレンジに

[1]通路を覆うヘデラや花色が変化したアジサイを整理したら、捨てないでアレンジに!
[2]長いヘデラのつるを切り分け、大きな器にたくさん入れて葉もののベッドを作る
[3]ヘデラの間にどこからでも花の顔が見えるように、小房に分けたアジサイを飾る

(使用した草花:メラレウカ、アメリカテマリシモツケ「ディアボロ」、ツルマサキ、ウエストリンギア、クレマチス「踊場」、アリッサム、ゲラニウム「ロザンネイ」)

ヘデラの代わりに、ライムグリーンや銀緑色、斑入り葉、そして銅葉など、色とりどりの庭の小ぶりな葉ものをアレンジ用ベッドの花材に抜てき。メラレウカやウエストリンギアなど、繊細な葉ものがこのアレンジにはぴったりです。
庭の花が少なくても、さまざまな緑葉が楽しめ意外と豪華。花が終わっても葉ものは根を伸ばさんばかりに元気だから、こまめに水をかえ、しおれた花の代わりに新しい庭の花を飾ると、変化したアレンジがまたしばらく眺められお得です。

我が家の古株、クレマチス「踊場」。毎年初夏になると可憐な花を咲かせ丈夫で手間いらず。花後、弱剪定すると夏や秋に再び顔を見せてくれるおすすめの四季咲きクレマチスです

[1]メラレウカの小枝を前後左右に生けて、葉もののベッドのベースを作る
[2]残ったそれぞれの葉ものを小枝に分け、色のバランスを取りながら飾る
[3]葉ものの隙間に小花を挿す。テーブルに飾るなら、四方から花が見えるように

(使用した草花:ルドベキア「リトルスージー」、ルメックス サンギネウス、ヤブラン)

庭でたくさん咲いたルドベキア「リトルスージー」の花をアレンジの花留め役に使用。花の間に葉ものたちを生けた、手軽に作れるカップアレンジです。花留め役には、遠慮なく採れる茎のしっかりした花や葉ものならどちらでも使えます。
ルメックス サンギネウスやヤブランは、冬も緑が残る多年草。葉脈が赤い個性的なルメックス サンギネウスは、寄せ植えなどの花材に使うとアクセントにぴったりです。単植で育てても存在感抜群。夏の高温多湿が苦手だけど、鉢を半日陰の風通しのよい場所に移動すれば、京都でも無事に夏を越します。ヤブランは日なたでも日陰の花壇でも年中庭を彩る、ローメンテナンス・ガーデンに欠かせないおすすめの葉もののひとつ。耐寒性も耐暑性も強く優秀です!

ルドベキア「リトルスージー」は、病害虫に強く手間いらずの宿根草。毎年初夏に鮮やかな花をたくさん咲かせます。背丈が約50cmと低いから、台風や嵐でも倒れにくいのが魅力

[1]茎が丈夫なルドベキア「リトルスージー」は、小さなアレンジの花留めにぴったり
[2]カップの高さに合わせて切ったルドベキアを、前後左右に生けると花が動く
[3]ヤブランの葉を丸めて花の隙間に挿し込み、アレンジに優しさを添えて

放射状に広がったミニアガパンサスの小花の隙間は、小さなアレンジの花留めに最適。かわいいテーブルアレンジには、ミニアガパンサスの花が1輪あれば花留め役に十分です。花の間にアリウムやキャットミントなどの小花を飾ると超簡単アレンジの完成!

前後左右に生けた白いアジサイの間に、ピンクの花が愛らしい多年草のスタキス モニエリや淡い緑がどの花とも相性抜群のオレガノ「ケントビューティー」の花を飾って。ローメンテナンスなスタキス モニエリは半日陰の花壇で、オレガノは鉢で育てています

(使用した草花:アンゲロニア、ルドベキア「リトルスージー」、メラレウカ、アメリカシモツケ「ディアボロ」、ウエストリンギア、ツルマサキ)

小さなオアシスを使ったアレンジも思ったより簡単です。少しだけ手間がかかるから、時間があるときにおすすめのアレンジ。今回は、アンゲロニアの花色に合わせてピンクのガラス皿を使ったけれど、台所にある白い皿でもすてきです。お相手の花色を選ばない白い皿は、生花のアレンジに重宝します。
オアシスは厚さ2cmもあれば十分。花や葉ものを挿せば、意外と大きなアレンジに仕上がります。このアレンジには繊細な緑葉がぴったり。ピンセットを使うとオアシスに挿しやすく、つまようじであらかじめ穴を開けておくと作業がスムーズです。四方から花が見えるように飾りつけるのも、お花のケーキを上手に作るコツ。

夏の庭の彩りに欠かせない、育てやすい一年草のアンゲロニア。アレンジには、下の小花が咲き終わり、上のきれいな小花が残ったものを整理して使用。剪定すると、また花を咲かせます

材料:ガラスの皿、高さ2cmのオアシス、クラフトバサミ、ピンセット、食事用ナイフ

[1]高さ2cm、横7cm、縦5cmほどにカットしたオアシスの角を落とし、水を含ませる
[2]アレンジの高さや横の広がりをアメリカテマリシモツケ「ディアボロ」の小枝で決める
[3]ツルマサキやウエストリンギアの小枝を隙間に挿す。ピンセットを使うと挿しやすい 
[4]葉ものの主役、メラレウカの小枝をアレンジ全体に、四方から見えるように挿し込む
[5]アンゲロニアを全体に飾り、主役のルドベキア「リトルスージー」を挿して完成

庭の草花を部屋でも楽しんで!

ガーデニングのあとの楽しみのひとつは、整理した庭の剪定枝で生花のアレンジを作ること。帰宅した家族が季節を感じて喜んだり、「おいしそう!」と言って褒めてくれたり、花の話題で盛り上がります。
凝った器でなくても、花材をたくさん使った豪華なアレンジでなくても、身近な器でかわいらしいアレンジが庭やベランダの草花で作れたら大満足。花がなくても、色とりどりの緑葉を集めて飾れば、それもシックですてきです。
せっかく育てた庭の草花。庭の整理をしたら、剪定枝を捨てないで簡単なアレンジに挑戦しませんか? きっと花屋さんにはまねできないはず!

次回は、「バラが咲き誇る5月の松江イングリッシュガーデンの訪問記」をお届けする予定です。お楽しみに。

JADMA

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