制作・文・写真
青木純子
あおき・じゅんこ
園芸家・フォトグラファー。京都市在住。庭で育てた草花を使い、生花のアレンジや押し花、ドライフラワーを作るアフターガーデニングを提案。2015年から『ガーデンフラワーカレンダー』(主婦の友社)を発行。ホームページはhttp://www.j-aoki.gr.jp/
【第38回】魅力がいっぱい、銀河庭園を訪ねて
2017/02/07
昨年の7月、どうしてもブラック&ホワイトガーデンを見たいと訪ねた銀河庭園。東京ドーム2個分の広大な敷地に、北海道の自然の魅力を取り込んだイングリッシュガーデンが広がります。今月は、植栽を中心に観察しながら歩いた銀河庭園の訪問記です。
北海道の自然に溶け込むイングリッシュガーデン
30ものガーデンに込められたイングリッシュガーデンの魅力
北海道の新千歳空港から車で約30分、恵庭にあるえこりん村に属する銀河庭園。10ヘクタールの広大な敷地に、30ものテーマガーデンで構成された庭園が広がります。デザインを手掛けたのは、英国のチェルシーフラワーショーで数々のメダルを受賞した著名なガーデンデザイナー、バニー・ギネスさん。ガーデンルーム形式のイングリッシュガーデンだから、「次はどんなガーデン?」と期待でわくわくしてきます。そんな銀河庭園の趣向を凝らしたさまざまなガーデンをご紹介します!
ゲートを抜けると、いくつものガーデンが広がります!
トチノキの向こうに見えるゲートハウスが銀河庭園の入り口。香りのよいイングリッシュローズが咲き誇るローズガーデンやカラフルな色彩のポタジェ、絵本から飛び出してきそうなガーデンなど多彩です。この先に展開する、それぞれコンセプトが違う30ものテーマガーデンに興味津々です!
コントラストが美しいブラック&ホワイトガーデン
ブラック&ホワイトガーデンは黒と白のモノトーンな配色のシックな庭園です。黒は濃い銅葉のユーパトリウム「チョコレート」やアメリカテマリシモツケ「ディアボロ」、サラシナショウマ、プルヌス キステナなど。白はバラ「サリー ホルムズ」やクリサンセマム、銀葉のラムズイヤー、シラカバの幹など。いずれも北海道の冷涼な気候に合ったローメンテナンスな植物ばかりです。色を抑えた、洗練されたガーデンが北海道の自然に溶け込む景色は必見です!
テーマカラーが青と白のトレリスガーデン
噴水を中心にブルーのトレリスや構造物で囲まれたすてきなガーデン。花は白や紫、薄紫に統一され、ブルーのトレリスと相性がぴったりです。紫花はカンパニュラやフウロソウ、白花はエリゲロンやバラ「マリーパヴェ」、つるバラ「ランブリング レクター」など。白や紫、薄紫の爽やかな配色は参考になります。
敷石から構造物、植栽まで工夫が詰まったボートレースガーデン
今でも続く歴史あるケンブリッジ大学とオックスフォード大学のボートレースがテーマのショーガーデン。バニー・ギネスさんが2004年チェルシーフラワーショーでシルバーギルトメダルを受賞したガーデンの再現です。庭園の池はテムズ川を表し、敷石には両大学のボートレースの歴史が刻まれています。植栽の見どころは、サルビアなどの紫花とダイナミックに葉を広げる大型のギボウシたち。
銀河庭園が属するえこりん村のガーデンセンター、花の牧場にある「とまとの森」。足を踏み入れた途端、目の前に数千もの赤や緑のトマトがぶら下がり、その光景は圧巻です! 大玉トマトのタネを毎年11月25日にまき、1苗だけ丈夫なものを水耕栽培(1辺3mの水槽)で育てているとか。トマトの無限伸長性を生かした技と植物の持つ力強い生命力に感動!
イングリッシュローズが咲き誇るローズガーデン
香りがよいイングリッシュローズを中心に、100種以上約600株のバラが咲き誇るローズガーデン。見頃は毎年6月末~7月中旬とか。ガゼボを中心に、ダークレッドと白、ピンクと白、黄とオレンジとアプリコット、そしてミックスと4つに色分けされた花壇で構成されているから、配色のコーディネートも見どころです。
オーチャードは果樹を見せる演出がたくさん!
エディブルローズが咲くロズビィのバラ畑!
まだまだ見逃せないガーデンが続きます!
扉を開けると突然現れる秘密のポタジェガーデン。中央のトウ立ちの黄花はカラシナ、周りを赤や黄の茎がカラフルなスイスチャードが囲むように植えられています。土留めのレンガとのコントラストも美しい花壇です。ハナマメがアーチに誘引され、リンゴの「千秋」がエスパリエ仕立てで育てられています。
ご紹介できたのは10のガーデン…。実はまだまだ個性的なテーマガーデンがたくさん。例えば、切り株とシダが織りなすスタンベリーガーデンや、廃棄された鉄筋や車の部品で作ったドラゴンなどを飾ったサルベージガーデン、英国の童話「楽しい川辺」に登場するネズミの家がモチーフの楽しい川辺など。それぞれのガーデンでテーマごとに植栽や構造物に工夫が凝らしてあるから必見です。この続きは、ぜひ一日かけて銀河庭園を訪ね、ゆっくりご覧になってください!
次回は「北海道の自然と共存するイングリッシュガーデン、イコロの森を訪ねて」を取り上げる予定です。お楽しみに!