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 【第38回】魅力がいっぱい、銀河庭園を訪ねて

【第38回】魅力がいっぱい、銀河庭園を訪ねて

2017/02/07

昨年の7月、どうしてもブラック&ホワイトガーデンを見たいと訪ねた銀河庭園。東京ドーム2個分の広大な敷地に、北海道の自然の魅力を取り込んだイングリッシュガーデンが広がります。今月は、植栽を中心に観察しながら歩いた銀河庭園の訪問記です。

北海道の自然に溶け込むイングリッシュガーデン

30ものガーデンに込められたイングリッシュガーデンの魅力

北海道の新千歳空港から車で約30分、恵庭にあるえこりん村に属する銀河庭園。10ヘクタールの広大な敷地に、30ものテーマガーデンで構成された庭園が広がります。デザインを手掛けたのは、英国のチェルシーフラワーショーで数々のメダルを受賞した著名なガーデンデザイナー、バニー・ギネスさん。ガーデンルーム形式のイングリッシュガーデンだから、「次はどんなガーデン?」と期待でわくわくしてきます。そんな銀河庭園の趣向を凝らしたさまざまなガーデンをご紹介します!

ゲートを抜けると、いくつものガーデンが広がります!

トチノキの向こうに見えるゲートハウスが銀河庭園の入り口。香りのよいイングリッシュローズが咲き誇るローズガーデンやカラフルな色彩のポタジェ、絵本から飛び出してきそうなガーデンなど多彩です。この先に展開する、それぞれコンセプトが違う30ものテーマガーデンに興味津々です!

[1]銀河庭園の最初のガーデン、スネークガーデン。 入り口でヘビが出迎えるのは英国式?
[2]バニー・ギネスさんがチェルシーフラワーショーで金賞を受賞したツリーハウスの再現

コントラストが美しいブラック&ホワイトガーデン

ブラック&ホワイトガーデンは黒と白のモノトーンな配色のシックな庭園です。黒は濃い銅葉のユーパトリウム「チョコレート」やアメリカテマリシモツケ「ディアボロ」、サラシナショウマ、プルヌス キステナなど。白はバラ「サリー ホルムズ」やクリサンセマム、銀葉のラムズイヤー、シラカバの幹など。いずれも北海道の冷涼な気候に合ったローメンテナンスな植物ばかりです。色を抑えた、洗練されたガーデンが北海道の自然に溶け込む景色は必見です!

[1]ベルベットのような肌触りが魅力のハーブの一種、銀葉のラムズイヤー
[2]足元を濃い銅葉で彩るヒューケラ「チョコレートラッフルズ」
[3]サンクンガーデン(沈床庭園)を中心に庭の4カ所に設置されたあずまや。石灰分を含んだペイント(ライムウォッシュ)でナチュラルな白に塗られたすてきなフォーカルポイント
[4]ガーデナーの前方でスタンバイしているのは、白花のアメリカアジサイ「アナベル」
[5]風に揺れる白花のクリサンセマム「スノードリフト」の姿は華やか。目を引きます
[6]濃い紫葉が個性的なスモークツリー「ロイヤルパープル」
[7]ブラック&ホワイトガーデンで多用されている、耐寒性が強いキュートな白バラ「プロスペリティ」
[8]濃い銅葉とタワー状に立つ樹形が魅力のメギ「ヘルモンドピラー」。紅葉も美しい

テーマカラーが青と白のトレリスガーデン

噴水を中心にブルーのトレリスや構造物で囲まれたすてきなガーデン。花は白や紫、薄紫に統一され、ブルーのトレリスと相性がぴったりです。紫花はカンパニュラやフウロソウ、白花はエリゲロンやバラ「マリーパヴェ」、つるバラ「ランブリング レクター」など。白や紫、薄紫の爽やかな配色は参考になります。

[1]トレリスガーデンのメインシンボル、ブルーの城をイメージさせる構造物
[2]ブルーのアーチに絡む強健種、一季咲きのつるバラ「ランブリング レクター」
[3]冷涼な気候がお好みの宿根アマ(リナム)。風通しのよい日当たりの花壇が最適です
[4]初夏に白花を咲かせるギボウシ。北海道で魅力を発揮する植物の一つです
[5]ボリュームのある花姿が見る人を魅了するカンパニュラ「プリチャーズ バラエティー」
[6]4つの花壇が噴水を中心に配置され、その外周をトレリスが囲むトレリスガーデン

敷石から構造物、植栽まで工夫が詰まったボートレースガーデン

今でも続く歴史あるケンブリッジ大学とオックスフォード大学のボートレースがテーマのショーガーデン。バニー・ギネスさんが2004年チェルシーフラワーショーでシルバーギルトメダルを受賞したガーデンの再現です。庭園の池はテムズ川を表し、敷石には両大学のボートレースの歴史が刻まれています。植栽の見どころは、サルビアなどの紫花とダイナミックに葉を広げる大型のギボウシたち。

[1]オールを使ったフェンスや、ボートをひっくり返した形の日よけがユニーク
[2]耐寒性も耐暑性も強いローメンテナンスな多年草のサルビア ネモローサ「カラドンナ」。草丈約70cm
[3]高温多湿が苦手で排水性のよい土壌がお好みの多年草、カンパニュラ ペルシキフォリア
[4]白いオールや日よけ、紫花が映える池のあるボートレースガーデン

銀河庭園が属するえこりん村のガーデンセンター、花の牧場にある「とまとの森」。足を踏み入れた途端、目の前に数千もの赤や緑のトマトがぶら下がり、その光景は圧巻です! 大玉トマトのタネを毎年11月25日にまき、1苗だけ丈夫なものを水耕栽培(1辺3mの水槽)で育てているとか。トマトの無限伸長性を生かした技と植物の持つ力強い生命力に感動!

ガーデナー、山口百合子さんが作った生花のアレンジ。左はトレリスガーデンのアストランティアやゲラニウムなど、右はブラック&ホワイトガーデンのラムズイヤーやクリサンセマムなどを使用

イングリッシュローズが咲き誇るローズガーデン

香りがよいイングリッシュローズを中心に、100種以上約600株のバラが咲き誇るローズガーデン。見頃は毎年6月末~7月中旬とか。ガゼボを中心に、ダークレッドと白、ピンクと白、黄とオレンジとアプリコット、そしてミックスと4つに色分けされた花壇で構成されているから、配色のコーディネートも見どころです。

[1]優しい配色が魅力のミックスのバラのコーナー
[2]ダークレッド&白のコーナー。奥の構造物に絡むのは、赤いバラ「ヴァイオレット」
[3]ピンクの八重の花が上品で愛らしい四季咲き種のバラ「ロサ ジョン クレア」
[4]アーチに絡むのは、多花性で強健、香りもよいバラ「ポールズ ヒマラヤン ムスク」
[5]ダークレッドのコーナーの強健で香りが強いバラ「テス オブ ザ ダーバービルズ」

オーチャードは果樹を見せる演出がたくさん!

[1]中央の木はマルメロ。ブルーベリーやナシ、ハスカップなど、果樹の花と実が楽しめる
[2]耐暑性も耐寒性も強い丈夫なアロニア メラノカルパ。ジャムやジュース、果実酒に
[3]リンゴ「ジョナゴールド」のアーチ。他に「陽光」など6種類のリンゴを栽培
[4]ヤナギで編んだレイズドベッドに植えられたウメの木、足元はワイルドストロベリー

エディブルローズが咲くロズビィのバラ畑!

[1]パーゴラのつるバラは「コンスタンス スプライ」、手前の黄花はアルケミラ モリス
[2]摘み取ったバラの花弁をより分け、ジャムやシロップなどに加工するとか
[3]早朝、満開になる前に手摘みされたバラ「コンスタンス スプライ」
[4]約4000株ものバラが無農薬で育てられているロズビィのバラ畑

まだまだ見逃せないガーデンが続きます!

扉を開けると突然現れる秘密のポタジェガーデン。中央のトウ立ちの黄花はカラシナ、周りを赤や黄の茎がカラフルなスイスチャードが囲むように植えられています。土留めのレンガとのコントラストも美しい花壇です。ハナマメがアーチに誘引され、リンゴの「千秋」がエスパリエ仕立てで育てられています。

[1]ヤナギで編んだレイズドベッドのオレガノ「オーレウム」が目を引くハーブガーデン
[2]トラの顔をした小屋が想像を駆り立てる、熱帯をイメージしたタイガーガーデン

ご紹介できたのは10のガーデン…。実はまだまだ個性的なテーマガーデンがたくさん。例えば、切り株とシダが織りなすスタンベリーガーデンや、廃棄された鉄筋や車の部品で作ったドラゴンなどを飾ったサルベージガーデン、英国の童話「楽しい川辺」に登場するネズミの家がモチーフの楽しい川辺など。それぞれのガーデンでテーマごとに植栽や構造物に工夫が凝らしてあるから必見です。この続きは、ぜひ一日かけて銀河庭園を訪ね、ゆっくりご覧になってください!

次回は「北海道の自然と共存するイングリッシュガーデン、イコロの森を訪ねて」を取り上げる予定です。お楽しみに!

JADMA

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