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 【第42回】ハーブを生活に取り入れる「ハーバルライフ」を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その2

【第42回】ハーブを生活に取り入れる「ハーバルライフ」を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その2

2017/06/06

神戸の世継山の山頂から風の丘までの斜面に広がる神戸布引ハーブ園。ハーブ、ハーバル料理、四季折々の草花など、「香り」と「味」と「色」が楽しめるガーデンです。今月はハーブボーダーガーデンやハーブミュージアム、ティー作りなどをご紹介!

約100種類のハーブが暮らす、充実したハーブミュージアム!

新鮮な無農薬のハーブやエディブルフラワーの料理も味わえる!

昨年の初夏、バラもハーブの花も楽しめると訪ねた神戸布引ハーブ園。標高約400mの山の斜面にあるから、神戸の市街地より2~3度は気温が低くハーブには暮らしやすい環境です。ただ山にかかる霧は、多湿が苦手なイングリッシュラベンダーにダメージを与えるとか。満開の紫のラベンダー畑を眺めていると、ガーデナーの方々の人知れぬ苦労がうかがえます。今月は、ハーブボーダーガーデンやハーブミュージアム、そして摘みたてのハーブで作るハーブティーをご紹介します。

知られざる香りの世界が体験できる香りの資料館

森のホールにある香りの資料館。香水の始まりから現代の香水まで、香りの歴史が楽しく学べるさまざまな演出が施されています。例えば、「水蒸気蒸留法」などの香りの抽出法が紹介されていたり、80種類の精油の展示があったり……。もちろん、ハーブの精油もあるから、一つ一つ香りを嗅ぎ比べながら好みの香りを探していると、思わず夢中になってしまいました!

展望プラザの下に点在するガーデン

展望プラザから斜面を下りていくと、上ってきたロープウェイの下に、点在するガーデンが広がります。初めに出合ったのが、ローズマリーやコモンマロウ、サントリナ、ラムズイヤーに囲まれたハーブボーダーガーデン。一年で最高の季節を満喫するハーブたちは、生き生きと葉を広げガーデンを彩っていました。

[1]銀緑色の葉ものと青花の植栽が爽やかな初夏の配色! 左奥から黄金葉の「フィリフェラオーレア」、左手前はサントリナ、中央手前の薄紫はイソトマ、草丈が高い青花はベロニカ「サイトシーイング」、右手前はラムズイヤー
[2]手前は濃いピンクのトレニアとスーパーアリッサム、奥のベンチ側はワイルドストロベリーが広がっています
[3]シルバーリーフとワインカラーの花穂のコントラストがシックで美しいリシマキア「ボジョレー」。花後に剪定すると繰り返し咲きます
[4]ハーブボーダーガーデン左の日陰で伸び伸びと葉を広げるヒューケラ「キャラメル」やギボウシたち。日陰の植栽も参考になります

レイズドベッドを多数配置したハーブミュージアム

触れやすい高さの水はけのよいレイズドベッドに植えられた約100種類、1700株ものハーブたち。もちろん、身近にあるタイムから珍しいウォールジャーマンダーやバレリアン(セイヨウカノコソウ)など種類は多彩です。毎日、無料のハーブガイドツアーがあるので、それぞれのハーブたちの性格や利用法を教えてもらえます。ハーブに添えてある緑のプレートには性格が、茶色のプレートには利用法が書いてあるからとっても親切。

[1]スイートマジョラムのコーナー。緑のプレートには「春~初夏に開花、実生や挿し木で増やすことができ、利用部は葉、花、種子」と、茶色のプレートには「風味がよく肉料理のくさみを消し、シチュー、ソースなどの味を引き立てる」などと情報満載!
[2]花壇の縁取りや敷石の間に植えられるスパイシーな香りがするウォールジャーマンダー。花は切り花に、若葉はサラダに、乾燥した葉はお茶や虫よけに利用できます
[3]シソ科の耐寒性宿根草、グラウンドカバーに使えるセルフヒール。利尿効果が期待でき、またやけどや傷の治療に使われてきました
[4]バレリアンは気分を静め安らかな眠りに導くリラックス効果が見込めるハーブです。使用するのは根と根茎
[5]カレーの香りがするカレープラント。乾燥した花のティーは、精神安定や疲労回復、感染症に効果が期待できます。ドライフラワーにすると黄花の色が長くあせないのも魅力

展望レストハウスにある、採れたてのハーブやエディブルフラワーを使ったハーブ料理がいただけるザ・ハーブダイニング。この春、メニューも一新されたそう。上の写真のメイン料理2つ、鴨のロースト(バルサミコソース)と奥の春野菜と桜エビのアーリオ・オーリオ(パスタ)にはガーリックやタイム、パセリなどを、また、カラフルなエディブルフラワーには、ビオラやポットマリーゴールド、ストック、ヒメキンギョソウなどを使用。下の写真は、ハーブやエディブルフラワーを飾ったカラフルな冷製と温製の前菜ブッフェです。

訪ねて以来、はまってしまったザ・ハーブダイニングの特製オリーブオイル。オリーブオイルにジェノベーゼ(バジルソース)が混ぜてあるから、いくらでもパンがいただけます。代わりに、アンチョビソースを入れてもOK! とっても簡単で美味だから、一度お試しあれ!

おしゃれなハーブの寄せ植えが多数飾られたグラスハウスの中庭

2017年春のテーマは、「今日から始めるおしゃれなハーブガーデン」。グラスハウスの中庭には、ハーブティーやクラフト(ポプリやリース)、キッチンハーブ、エディブルフラワーと4つのテーマに沿って作られた寄せ植えが多数展示されています。ブリキやテラコッタ、籠などを使った寄せ植えはとってもおしゃれ! 上の写真の手前にある寄せ植えのグループはキッチンハーブ、中央はティーハーブ、奥はエディブルフラワー。

手軽にハーブの香りが味わえるのはハーブティー。庭先やベランダに、お好きなハーブが一鉢あれば、少量の葉を摘んで簡単にハーブティーが作れます。おすすめは、レモングラスやレモンバームなど爽やかなかんきつ系の香り。ちょっとした手間で、リラックス効果抜群です。上の写真は4種のハーブティー、左からスペアミント、コモンマロウ、レモングラス、レモンバーム。

基本、ハーブは手で摘むのがベスト。ただし、レモングラスは手が切れるのではさみを使います。また、レモンバームのように、葉が大きいものは手でちぎると香りがよく出るとか。特にコモンマロウはハーブティーにレモン汁を数滴入れると、色がピンクに変わりきれい。もちろん、レモンの香りも相性抜群です。今回入れた4種類のハーブティー、飲み比べると違いがよく分かり、リフレッシュ効果抜群でした。スペアミントは意外とまろやかなお味。

今回の訪問で残念だったのが、グラスハウスのガーデンテラスにあるハーブの足湯体験を逃したこと。春はカモミール、定番は抗菌作用や血行促進の効果が期待できるローズマリーだとか。歩き疲れたら、リフレッシュタイムに最高です! ローズマリーは常緑で病害虫に強いハーブ。わが家では、花壇の植栽やピザなどの料理に重宝しています。今回、ローズマリーの足湯の効能を教えてもらい、ハーブの利用法の多様さを改めて実感。身近にあるハーブをもっと知って賢く利用できたら、ハーバルライフはいっそう充実するはずですね!

次回は「ハーブを生活に取り入れる『ハーバルライフ』を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その3」を取り上げる予定です。お楽しみに!

JADMA

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