制作・文・写真
青木純子
あおき・じゅんこ
園芸家・フォトグラファー。京都市在住。庭で育てた草花を使い、生花のアレンジや押し花、ドライフラワーを作るアフターガーデニングを提案。2015年から『ガーデンフラワーカレンダー』(主婦の友社)を発行。ホームページはhttp://www.j-aoki.gr.jp/
【第42回】ハーブを生活に取り入れる「ハーバルライフ」を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その2
2017/06/06
神戸の世継山の山頂から風の丘までの斜面に広がる神戸布引ハーブ園。ハーブ、ハーバル料理、四季折々の草花など、「香り」と「味」と「色」が楽しめるガーデンです。今月はハーブボーダーガーデンやハーブミュージアム、ティー作りなどをご紹介!
約100種類のハーブが暮らす、充実したハーブミュージアム!
新鮮な無農薬のハーブやエディブルフラワーの料理も味わえる!
昨年の初夏、バラもハーブの花も楽しめると訪ねた神戸布引ハーブ園。標高約400mの山の斜面にあるから、神戸の市街地より2~3度は気温が低くハーブには暮らしやすい環境です。ただ山にかかる霧は、多湿が苦手なイングリッシュラベンダーにダメージを与えるとか。満開の紫のラベンダー畑を眺めていると、ガーデナーの方々の人知れぬ苦労がうかがえます。今月は、ハーブボーダーガーデンやハーブミュージアム、そして摘みたてのハーブで作るハーブティーをご紹介します。
知られざる香りの世界が体験できる香りの資料館
森のホールにある香りの資料館。香水の始まりから現代の香水まで、香りの歴史が楽しく学べるさまざまな演出が施されています。例えば、「水蒸気蒸留法」などの香りの抽出法が紹介されていたり、80種類の精油の展示があったり……。もちろん、ハーブの精油もあるから、一つ一つ香りを嗅ぎ比べながら好みの香りを探していると、思わず夢中になってしまいました!
展望プラザの下に点在するガーデン
展望プラザから斜面を下りていくと、上ってきたロープウェイの下に、点在するガーデンが広がります。初めに出合ったのが、ローズマリーやコモンマロウ、サントリナ、ラムズイヤーに囲まれたハーブボーダーガーデン。一年で最高の季節を満喫するハーブたちは、生き生きと葉を広げガーデンを彩っていました。
レイズドベッドを多数配置したハーブミュージアム
触れやすい高さの水はけのよいレイズドベッドに植えられた約100種類、1700株ものハーブたち。もちろん、身近にあるタイムから珍しいウォールジャーマンダーやバレリアン(セイヨウカノコソウ)など種類は多彩です。毎日、無料のハーブガイドツアーがあるので、それぞれのハーブたちの性格や利用法を教えてもらえます。ハーブに添えてある緑のプレートには性格が、茶色のプレートには利用法が書いてあるからとっても親切。
展望レストハウスにある、採れたてのハーブやエディブルフラワーを使ったハーブ料理がいただけるザ・ハーブダイニング。この春、メニューも一新されたそう。上の写真のメイン料理2つ、鴨のロースト(バルサミコソース)と奥の春野菜と桜エビのアーリオ・オーリオ(パスタ)にはガーリックやタイム、パセリなどを、また、カラフルなエディブルフラワーには、ビオラやポットマリーゴールド、ストック、ヒメキンギョソウなどを使用。下の写真は、ハーブやエディブルフラワーを飾ったカラフルな冷製と温製の前菜ブッフェです。
おしゃれなハーブの寄せ植えが多数飾られたグラスハウスの中庭
2017年春のテーマは、「今日から始めるおしゃれなハーブガーデン」。グラスハウスの中庭には、ハーブティーやクラフト(ポプリやリース)、キッチンハーブ、エディブルフラワーと4つのテーマに沿って作られた寄せ植えが多数展示されています。ブリキやテラコッタ、籠などを使った寄せ植えはとってもおしゃれ! 上の写真の手前にある寄せ植えのグループはキッチンハーブ、中央はティーハーブ、奥はエディブルフラワー。
手軽にハーブの香りが味わえるのはハーブティー。庭先やベランダに、お好きなハーブが一鉢あれば、少量の葉を摘んで簡単にハーブティーが作れます。おすすめは、レモングラスやレモンバームなど爽やかなかんきつ系の香り。ちょっとした手間で、リラックス効果抜群です。上の写真は4種のハーブティー、左からスペアミント、コモンマロウ、レモングラス、レモンバーム。
基本、ハーブは手で摘むのがベスト。ただし、レモングラスは手が切れるのではさみを使います。また、レモンバームのように、葉が大きいものは手でちぎると香りがよく出るとか。特にコモンマロウはハーブティーにレモン汁を数滴入れると、色がピンクに変わりきれい。もちろん、レモンの香りも相性抜群です。今回入れた4種類のハーブティー、飲み比べると違いがよく分かり、リフレッシュ効果抜群でした。スペアミントは意外とまろやかなお味。
今回の訪問で残念だったのが、グラスハウスのガーデンテラスにあるハーブの足湯体験を逃したこと。春はカモミール、定番は抗菌作用や血行促進の効果が期待できるローズマリーだとか。歩き疲れたら、リフレッシュタイムに最高です! ローズマリーは常緑で病害虫に強いハーブ。わが家では、花壇の植栽やピザなどの料理に重宝しています。今回、ローズマリーの足湯の効能を教えてもらい、ハーブの利用法の多様さを改めて実感。身近にあるハーブをもっと知って賢く利用できたら、ハーバルライフはいっそう充実するはずですね!
次回は「ハーブを生活に取り入れる『ハーバルライフ』を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その3」を取り上げる予定です。お楽しみに!