タネから広がる園芸ライフ / 園芸のプロが選んだ情報満載

連載

 【第44回】庭を彩るローメンテナンスな葉物

【第44回】庭を彩るローメンテナンスな葉物

2017/08/01

夏に大活躍するローメンテナンスな葉物たち! 「無理しない園芸で美しい庭作り」を目指して集めた数々の手間いらずの葉物たちが、夏の庭に潤いと心休まる空間をつくり出してくれます。今月は、庭を彩るローメンテナンスな葉物たちをご紹介!

暑い夏、安らぎを与えてくれるのは庭をみずみずしく彩る葉物

豪雨や酷暑に負けないローメンテナンスな葉物たち!

5年前に始めた「無理しない園芸で美しい庭作り」。この先ずっと大好きな植物たちに囲まれていたいからと、先を見越して始めた園芸です。この5年の間、京都市のわが家の庭で多数の植物に挑戦しながら少しずつ庭作りをしてきました。そんな経験を踏まえてセレクトしたのが、今月のおすすめのローメンテナンスな葉物たち。丈夫で手間いらずの植物たちを適材適所に植えてあげたら、暑い夏の園芸作業が減ってずいぶん楽。今月は、異常気象にも負けないローメンテナンスな葉物たちをご紹介します。

色や質感、表情の異なる葉物たちが織りなす緑の花壇!

私にとってローメンテナンスな植物とは、耐寒性や耐暑性が強く、また病害虫にも強く成長旺盛で、自然に形の整う花木や宿根草のこと。草丈でいえば約50cmの低い植物が多いと、支柱をする必要もなく、突然の豪雨でも倒れないから庭が荒れません。
上の写真のリビングに面した半日陰の花壇では、好みの植物や、冬でも寂しくないように常緑の花木や宿根草を点在させて植栽。色や質感、表情の異なる葉物たちがシックに彩る夏の花壇を眺めていると、暑さを忘れ、落ち着きます。

[1]耐寒性も耐暑性も強い、ユニークなカラーリーフ、赤すじソレル(ルメックス ブラッディドッグ)。草丈約30cmで花壇のグラウンドカバーにおすすめです。暖地では冬でも常緑
[2]冬の半日陰の花壇の主役はスキミア。冬~早春は赤や白の無数の蕾が、春は香りのよい小花が、夏や秋はグラウンドカバーとして年中楽しめるとってもお得な植物です

[3]友人に分けてもらった草丈約15cmの小型のギボウシ。品種名は分からないけれど、半日陰の花壇の縁取りにぴったり。ライムグリーンの斑入り葉が半日陰の花壇を明るく演出してくれます
[4]日なたも半日陰も大丈夫、植え場所を選ばないリシマキア「ペルシャンチョコレート」。ほふく性のシックな葉は花壇の縁取りやつり鉢に最適です。5~6月、星形の黄花が株全面に開花
[5]葉の表情が個性的なカレックス「スパークラー」。日なたでも半日陰の花壇でもOK。冬の間も花壇を彩ってくれた傷んだ葉を早春に地際で切り戻すと、また美しい葉を展開します

北海道の「風のガーデン」で見つけたプルモナリア。半日陰の花壇のカラーリーフにおすすめです。半日陰でも毎年早春に青やピンクの愛らしい花をたくさん咲かせ、花後は個性的な葉をどんどん横に広げるからグラウンドカバーにぴったり。ユニークな斑入り葉が夏の庭を涼しく彩ります。

夏の庭の主役はローメンテナンスな葉物たち!

上の写真は8月の裏庭、西側の様子。夏の花は草丈が約50cmのルドベキア「リトルスージー」やミソハギだけ。秋まで緑葉が覆う庭になります。一見地味だけれど、美しい葉物たちが庭をみずみずしく彩るから、涼しく感じられ居心地抜群です。実は、元気で手間いらずの葉物たちが多い方が園芸作業も楽。ちなみに、わが家の夏の園芸作業は、茂り過ぎてお隣の邪魔をする葉や枝をたまに整理し、水やりをするくらい。緑の庭に色を添えたいときは、手間いらずの「サンちゅらか」などの一年草の鉢植えを通路に飾ります。

[1]育てやすく常緑の緑葉が庭を彩るクリスマスローズ アウグチフォリウス。多数開花するライムグリーンの花は、庭でも生花のアレンジメントでも楽しめる一押しのクリスマスローズです
[2]常緑の濃い紫の葉や春の濃いピンクの花が、庭を華やかに飾るトキワマンサク「ブラックパール」。花が木全体を覆い、刈り込みに強いから、生け垣にも花壇の背景にもおすすめ
[3]高温多湿の京都市内でも毎年顔を見せてくれるペンステモン「ハスカーレッド」。美しい銅葉は庭のアクセントにぴったり。初夏の可憐な白い花穂は庭に変化を与えます

[4]手前の淡い緑葉は、秋の紅葉が美しいテマリシモツケ「ゴールドフレーム」。奥の銅葉はメギ「ヘルモンドピラー」。隣り合わせる植物の葉色や質感が違うと、コントラストが鮮やか!
[5]銅葉が魅力のアメリカテマリシモツケ「ディアボロ」。春に愛らしい手まり状の白花が開花。花後、高さ3分の1に強剪定して低く仕立て、葉を楽しむことにしています。秋の紅葉もすてき!
[6]日なたでも半日陰の花壇でも活躍する銅葉が目を引くヒューケラ「マホガニー」。葉色が豊富なヒューケラは花壇の脇役にぴったり。色を添えたい位置に移動できる鉢植えがおすすめです

[7]耐寒性も耐暑性も強いユーパトリウム「チョコレート」。秋、ブロンズ色の葉と多数咲く白い小花のコントラストが美しい。7月ごろ、地際15cmの高さで切り戻すと低く仕立てられます
[8]西洋ヒイラギの仲間、常緑のイレックス「サニーフォスター」。春の新芽が特に美しく、鮮やかな黄色の葉は春の庭のアクセントに最適。トピアリー仕立てで楽しんでいます
[9]日なたでも日陰でもOK、耐寒性も耐暑性も強い超ローメンテナンスのヤブラン。夏の終わりに紫の花を咲かせます。早春に地際で古い葉を整理すると、春の新葉が鮮やかで美しい!

春の新芽、夏の緑葉、秋の紅葉と楽しめるように葉物をセレクト!

通りに面した北向きの夏の表庭は、葉物たちが主役。これだけ密植すると、雑草も生えません! 以前はカラフルな一年草を植えた華やかな花壇だったけれど、だんだんと植え替えが面倒になったり、腰が痛くなったり……。そこで先を見越して、手間いらずの美しい葉物たちが彩る花壇にリフォームすることにしました。春はクリスマスローズ、初夏はアジサイ、夏はギボウシ、秋はモミジなどの紅葉が楽しめ、常緑のローズマリーやニューサイラン、スキミアなども植えて緑の絶えない花壇に方向転換。おかげで、季節ごとの植え替えもなくなり、夏は水やりだけ。ずいぶん楽になりました!

[1]秋の紅葉がとっても鮮やかで美しいナツヅタ。成長旺盛だから、鉢に植え、オベリスクに絡ませて小さく仕立てると世話が楽。淡い緑は、夏の庭に涼しさを添えてくれます
[2]ツワブキに似ているリグラリア「ミッドナイトレディ」。表葉はダークグリーン、葉裏や茎がブロンズでとっても個性的。暖地では、半日陰の湿った場所がお好みです
[3]日なたでも半日陰でも元気な、常緑の斑入り葉が美しいツルマサキ。コンパクトだから、寄せ植えにも花壇のグラウンドカバーにも最適です。冬は寒さで葉の縁がピンクになるのもすてき!

[4]春の新芽や秋の紅葉が美しいスモークツリー。狭いわが家の庭では、花を楽しむより葉の美しさを味わうために、晩秋、葉が落ちたら強剪定することにしています
[5]ブンゲンストウヒの仲間、銀青色の葉が魅力のピセア プンゲンス「グラウカグロボーサ」。樹高は40~50cmで半球状、成長速度は年間5~7cmと遅く、花壇のアクセントにぴったり!
[6]耐寒性も耐暑性も強い手間いらずのフウチソウ。葉焼けを起こす日なたより半日陰が最適です。手入れといえば、晩秋、葉が枯れたら根元でばっさり刈り取るだけ!

[7]日なたでも午前中日が差す半日陰でも育つ、自然に樹形が整う斑入りヤマボウシ。わが家では鉢植えでコンパクトに仕立てているから、春~秋、しっかり水をあげることにしています
[8]先がとがった赤銅色の葉が庭に変化を与えるコルジリネ アウストラリス。コルジリネの中でも寒さに強いから、京都市内でも大丈夫。鉢植えにすると、しばらく低く仕立てられます
[9]ブロンズグリーンの葉が魅力のテマリシモツケ「リトルデビル」。樹高は約1.2m、自然に樹形が整うコンパクトさが魅力です。5~6月にピンクの愛らしい小花を多数咲かせます

温暖化のせいで、最近の天候はガーデナー泣かせ。豪雨や酷暑、巨大な台風、そして冬の豪雪……。庭の植物たちも極端な異常気象に合わせるのが大変です。こんなときこそ、おすすめのローメンテナンスな葉物たちが大活躍! 斑入り葉や銅葉、青緑、淡い緑と個性的な葉物の種類は豊富で、色合いも思ったより多彩です。暑過ぎて庭に出たくない夏や、花や緑の少ない冬に重宝します。「花いっぱいの庭でなくても、花を引き立てる緑が美しい」、そんなふうに感じられたら、暑い夏だけでなく、ガーデニングはもっと楽になるはず!

次回は「ロンドン旅行記5〜コロンビア・ロードのフラワーマーケット」を取り上げる予定です。お楽しみに!

JADMA

Copyright (C) SAKATA SEED CORPORATION All Rights Reserved.