制作・文・写真
青木純子
あおき・じゅんこ
園芸家・フォトグラファー。京都市在住。庭で育てた草花を使い、生花のアレンジや押し花、ドライフラワーを作るアフターガーデニングを提案。2015年から『ガーデンフラワーカレンダー』(主婦の友社)を発行。ホームページはhttp://www.j-aoki.gr.jp/
【第45回】ロンドン旅行記5〜コロンビア・ロードのフラワーマーケット
2017/09/05
ロンドンでイングリッシュガーデンを訪ねるのは、ガーデナーにとって憧れのコース。そんなガーデン巡りの合間におすすめなのが、ロンドンのガーデナーが訪れる花市場です。今月はコロンビア・ロードのフラワーマーケットをご紹介します!
切り花、鉢植え、球根など、季節の植物でにぎわう花市場!
配色や植栽などガーデニングのヒントがあちらこちらに!
ロンドンの東部に位置する、60ものアンティークやガーデニング、カップケーキなどの店が並ぶコロンビア通り。その通りで毎日曜日、8時~15時まで開催されるのが、コロンビア・ロード フラワーマーケットです。地下鉄、ノーザンラインのオールドストリート駅から歩いて約20分、大きな鉢植えを抱えた人たちと何度もすれ違います。花好きなロンドンっ子が集まる花市場、ガーデナーにとってきっと興味深いはず!
朝早くから、たくさんのロンドンのガーデナーでにぎわいます!
数世代にわたって引き継がれてきた花屋さんたちが、4時から露店を並べ始める花市場。10時半~13時ごろが歩きやすく、14時ごろにはバーゲンが始まるとか。球根植物からバナナの株まで手に入る花市場の通りは、花や葉もののフレッシュな香りや、「全て5ポンド~!」という売り声、植物を探すガーデナーたちで活気にあふれていました。
色とりどりの季節の花が勢ぞろいする切り花ショップ
自分たちで育てた花やオランダなど周辺諸国から輸入した切り花が並ぶエリア。持って帰れないけど、地元の人たちの花や葉の組み合わせ方や色彩のセンスを観察すると面白い! 上の写真手前のピンクの花は、バラに劣らず人気のシャクヤク。その奥は紫と白のフリージア。白バラには葉ものが添えてあるからすぐに生けられます。
宿根草から庭木までそろう鉢植えショップ
この露店では、混み合ったマーケットの通りからでも植物が分かりやすいように並べ方に工夫がされていました。奥の棚に草丈の低いギボウシやグラス、幼い苗のサルビア「カラドンナ」、テイオウカイザイクなどの鉢植えが、手前にはアガパンサスなどの草丈が約50cmの鉢植えが、また、中央には、薄ピンクの新芽が美しいハクロニシキのスタンダードカットの鉢植えが配置され、宿根草や庭木などが狭いスペースにたくさん展示されていました。
花市場を抜けると小さな公園の奥に、イギリス式の菜園を発見! トマトの隣にコンパニオンプランツのマリーゴールドが植えられ、トマトは支柱の代わりに麻ひもで上に真っすぐ引っ張ってありました。キャベツには防鳥用のネットが掛けられ完璧! 実はこの菜園、近くのコラム小学校の菜園です。幼いころから野菜作りに触れた子どもたちは、将来、きっと野菜や花を育てるはず! と、感心しきり。
個性的な植物をそろえた植木ショップなど
植木ショップのエリアには、さまざまな個性的な植物がいっぱい。上の写真の左はモミジ。和風のイメージが強いけど、実は、イングリッシュガーデンでよく見かけます。これだけモミジの種類があると、モミジ1本買うのに悩んでしまいそう。右隣の南国風の銅葉の植物はバショウ科のエンセテ マウレリー。冬、マイナス5℃まで耐えられるけど、鉢植えにして軒下に移動するのがおすすめとか。
アンティークな鉢やおしゃれな道具がそろうガーデニンググッズショップ
花市場の両側にあるショップには、もちろんガーデニンググッズのショップもたくさん。植物を買ったロンドンのガーデナーたちが立ち寄っては、鉢や道具を購入していました。お店の前にも、つり鉢や鉢植えの植物がディスプレーされていたり、ガーデニングの小物がさりげなく飾られたり。庭をおしゃれに飾る参考になります!
コロンビア・ロードのフラワーマーケットでおなじみの植物に出合うと、なんだかロンドンで日本人に出会ったみたいに親近感を覚え、知らない植物に出合うと、つい「わが家の庭で育てられるかな?」と植えたくなってしまいます。植物との出合いも一期一会。その出合いを逃さず、名札などを写真にでも撮っておけば、今なら日本でも簡単に手に入るかもしれません。植物との出合いを求めて花市場に出掛けるのは、ガーデニングの幅を広げる絶好のチャンス! 旅行の合間に花市場を訪ねてみませんか? きっと新しい植物との出合いやガーデニングのヒントを発見するはずです!
次回は「庭の草花で楽しむ秋の寄せ植えとアレンジ」を取り上げる予定です。お楽しみに!