制作・文・写真
青木純子
あおき・じゅんこ
園芸家・フォトグラファー。京都市在住。庭で育てた草花を使い、生花のアレンジや押し花、ドライフラワーを作るアフターガーデニングを提案。2015年から『ガーデンフラワーカレンダー』(主婦の友社)を発行。ホームページはhttp://www.j-aoki.gr.jp/
【第46回】秋を楽しむ寄せ植えやアレンジ
2017/10/03
ガーデナーの秋の楽しみ方はいろいろ! コスモスなどの一年草を植えて秋らしく庭を演出したり、園芸店に出回る植物で寄せ植えを作ったり、そして、庭からの贈り物で生花のアレンジやリースを作ったり……。今月は、青木流秋の楽しみ方をご紹介します!
秋の庭を彩る手間いらずの植物たちにコスモスを添えて!
足早に過ぎゆく秋を満喫しよう!
わが家の秋の庭を彩ってくれるのは、毎年顔を見せてくれるアメジストセージやサルビア「ライムライト」、ユーパトリウム「チョコレート」、パイナップルセージなどのローメンテナンスな植物たち。でも、毎年同じ顔触れだから、秋の一年草、コスモスなどを花壇の空いたスペースに植えて変化を付けています。これがとっても簡単で、実は効果抜群! 秋をダイレクトに感じるにはおすすめの方法です。今月は、秋を楽しむ寄せ植えや、庭の草花で作るアレンジなどを中心にご紹介します!
コンパクトサイズのキクで作る愛らしい秋の寄せ植え
草丈の低いコンパクトサイズのキクと、白やピンク、緑葉が美しいハツユキカズラを寄せ植えにしました。左右に同じ薄ピンクのキクを、前後にハツユキカズラを配置。中央に濃いめのピンクのキクを植えると寄せ植えの色合いが締まります。
花材:キク(2種)とハツユキカズラ
黄花コスモスが主役の秋の寄せ植え
秋に出回る黄花コスモスが主役の寄せ植え。花たちが咲き終わったら、一年草の黄花コスモスやフェリシアを整理してパンジーなどを植え付けると、引き続き寄せ植えが楽しめます。
花材:黄花コスモス(オレンジ)、ダンギク(紫)、フェリシア(薄紫)、リシマキア ヌンムラリア(黄緑)
薄紫の花でまとめた秋の寄せ植え
寄せ植えの主役は、銀緑色の葉と薄紫の花穂が魅力のトウテイラン(ベロニカ)。耐暑性も耐寒性も強く、夏から秋にかけて開花。寄せ植えや庭の緑に変化を付けてくれる手間いらずのおすすめの宿根草です。
花材:トウテイラン(紫)、フェリシア(薄紫)、メキシカンスイートハーブ(白い小花)
秋の庭からの贈り物で作る生花のアレンジ
身近な秋を手軽に楽しむには、簡単に作れる生花のアレンジがおすすめ! 器もご家庭にあるインテリアグッズやキッチンの皿やマグカップを利用すればOK。その年育てたコスモスの色合いで、アレンジの表情が毎年変わるのも私の楽しみの一つです。
花材:コスモス、シュウメイギク(白花、ピンク花の2種)、サルビア、ユーパトリウム「チョコレート」
金色に輝くクレマチスの果球は庭からの贈り物
初夏から秋まで咲き続ける四季咲き種のクレマチス「プリンセスダイアナ」。初夏の花が終わったら軽く切り戻すと、秋までぽつぽつと咲き続けます。特に美しいのが花後の果球。金色に光り輝く姿はまさに庭からの贈り物! 秋、つるの整理を兼ねて収穫して作る生花のアレンジは、育てたガーデナーにしか味わえない一品です!
花材:クレマチス「プリンセスダイアナ」
地味なホトトギスの花が華やかに変身!
半日陰の花壇で秋になると必ず顔を見せてくれる手間いらずのホトトギス。地味な花だけど、生花のアレンジでは存在感がぐっとアップします。上左の写真のアレンジは、クロガネモチのまだ淡い緑の実とのアレンジ。薄ピンクのバケツに生けると、ホトトギスの花が映えます。上右の写真は、深紅の実が個性的なローゼルとアレンジ。
花材:(上左写真)ホトトギス、クロガネモチ。(上右写真)ホトトギス、ローゼル(果実と花)
寒さに当たり、赤く色づいた秋色のアジサイのアレンジ
秋色のアジサイで簡単な生花のアレンジを作りました。庭で眺めているうちに秋色のアジサイは茶色く枯れてしまうから、色鮮やかなうちに思い切って整理し生花のアレンジやリース作りで毎年楽しむことにしています。このまま乾燥させるとドライアレンジに変身!
花材:秋色のアジサイ、オオベンケイソウ、ノバラの実、マツカサ
整理したヘデラで作る秋のリース
夏中放っておいた庭の葉物たちは、秋には伸び放題! 庭の整理を兼ねてヘデラやツルマサキなどを剪定し、リースのベース作りに再利用します。材料費もかからず、すてきなリースが簡単に作れるから一挙両得! 庭の赤い実を飾れば、あっという間に秋色のリースの完成です。
花材:ヘデラ(2種)、ツルマサキ、ノバラの実、ガマズミの実
上左の写真のカゴには2種類の実が入っています。奥の濃赤色の実はノバラの実、手前の鮮やかな濃紅色の実はガマズミの実。北海道から九州まで分布するガマズミは、5~6月ごろ白い小花をたくさん咲かせ、秋に濃紅色の実をたわわに付ける落葉低木。そのままでも食べられるけど、東北では果実酒やジュースにするとか。上右の写真は、寄せ植えの斑入りのヘデラ。寒さに当たると、白い斑の部分がピンクに色づき美しい。
秋の楽しみ方はまだまだたくさん! 整理がてら剪定した、赤や黄に紅葉したブルーベリーやアメリカテマリシモツケの枝などを花瓶に生けたり、拾った落ち葉をリース台に直接グルーガンで接着して落ち葉のリースを作ったり。もっと手軽に楽しみたいなら、色とりどりの落ち葉を籠に盛って飾ったり、落ち葉や木の実を和風の皿にのせて飾ったり……。アイデア次第で、秋の風情が簡単に楽しめます。でも、思ったより足早に過ぎてゆく秋だから、ちょっとした計画を立てておくと秋を逃しません!
次回は「ロンドン旅行記6 〜ヒドコート・マナー・ガーデンを訪ねて」を取り上げる予定です。お楽しみに!