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連載

【第4回】アスパラガス

【第4回】アスパラガス

2016/04/26

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

春は香りを味わい、秋は花瓶に挿して部屋の飾りにする

「おーい、アスパラが出てるぞー」。うれしさのあまりについ声を張り上げ、女房を畑に呼び出してしまう。いつものことである。日ざしも風も心地よい昼ひなかの菜園、覆いかぶさった枯れ草を払いのけ、1本、2本、3本…と、芽を出したアスパラガスの頭を愛でるように確かめるのである。

グリーンアスパラがいつ頃から我が家の食卓にのぼったかは定かでない。幼少期、缶詰の白いアスパラガスが食卓にのぼったが、お正月にだけ食べた貴重品だった。ぐちょぐちょした変な食感だけが記憶にある。20代の頃に、この缶詰の中身がグリーンアスパラと同じものであることを知った。撮影旅行のおり、畑で農夫が鎌で一本一本摘み採っていた作物を見たのだ。
雌雄別株で、小さな雄花と雌花を咲かせ、竹ボウキのように巨大に茂ることを知ったのは菜園に植栽してからである。春の香りを味わう以外にも、秋は赤い実をたわわに結実させた雌株を、花瓶に挿して部屋の飾りにして楽しんでいる。

コラージュのための写真は、背景から切り離して使うことを前号でお話しした。ただ、アスパラガスだけは途方に暮れてしまった。ち密で巨大な株や根をどのようにしたら手際よく、満足のいく切り抜きができるかが難題だったのだ。モニターに拡大描写させた枝先は1〜2ピクセルの単位で、気が遠くなる作業が待っていた。一本一本なぞるようにタブレットのペンを動かすしかなかった。

次回は「エンドウ」を取り上げる予定です。お楽しみに。

JADMA

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