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【第15回】野草としての生命力が魅力のミツバ

【第15回】野草としての生命力が魅力のミツバ

2017/03/28

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

清楚な株立ちと、存在感ある根の描写にこだわった

スーパーなどの野菜売り場でなじみ深いミツバは、すでに江戸時代には栽培されていたとされる。沖縄を除く日本各地に分布する多年草で、私が大雪山の麓のこの地に移り住むようになったときには敷地内の林床にも自生していた。おまえはどこから来て、いつからこの場所に生えているのだ。雑草、それともどこかの農場から逃げ出した栽培種のDNAを引き継いでいるのか。ミツバは北海道東川町の特産品でもあり、いつも問い掛けていることだ。果たして、改良種と野生種は同じ環境下ではどのような姿に育つのだろうか。

本来、湿った場所を好むミツバだが、わが菜園の日当たりのよい場所でも繁茂している。彼らの生活圏に苦手はないようで、硬く踏み固められた砂利敷きの駐車場や、そこから玄関口までの通路など、足蹴にされることなどいとわないように生きている。春になると、新葉は土を割って芽吹き、7月に幅2mmほどの小さな花を咲かせる。株立ちは清楚に見えるが、生命力は旺盛である。太陽の下で育ったミツバは力強く葉を茂らせ、この一片の若葉が汁ものや総菜の食味に香り付けをしてくれる。太く勢いよく伸びた茎はかつお節との相性もよく、シャキッとした食感が好みである。また、夕餉(ゆうげ)の一品に困ったときや、酒のつまみにもうってつけである。

菜園の中でのミツバは、野草としての生命力が魅力である。踏み付けられても立ち上がる野生がある。作品は硬い土もいとわないみずみずしさにあふれた春の若葉と太い葉柄、夏の太陽をたっぷり浴びた濃い緑の葉、全ての源である存在感ある根の描写にこだわった。

次回は「いにしえの人々は黄色く熟れた『黄瓜』を食用にした」を取り上げる予定です。お楽しみに。

JADMA

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