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【第19回】ミョウガはわが家の食を担う重要な食材

【第19回】ミョウガはわが家の食を担う重要な食材

2017/07/25

写真集『野菜美』(新樹社刊)より

花序と透けるような淡黄色の一日花が主役

夏の終わりに「そろそろ……かな」と、こんもり茂ったやぶの中をのぞき込んでは、はいつくばりながら手探りで表土の感触を確かめていく。お目当ては土の中から顔をのぞかせるミョウガである。小指ほどの小さなものでも見つかれば、かわいそうかなと思いつつも、5〜6個はもぎ取ってしまう。ささやかな待ちに待った初物である。

ミョウガはこの地に移り住んで間もないころに栽培を始めた。普段は手間いらずの多年性の野菜だが、何年かに一度は区画を決めて掘り起こし、間引いている。株や根茎が混み過ぎることで、いびつな形のミョウガが多発するからである。収穫は、暑い夏の日の冷麺には間に合わないものの、秋風の吹く8月末から早霜の降りる9月下旬ごろまで、ぷっくらした秋のミョウガを楽しませてくれる。食用にする部分は蕾の状態の花が幾つも集まった花序、ハナミョウガと呼ばれるものだ。麺類や豆腐、納豆の薬味に、ぬか漬け、みそ漬け、甘酢漬けや梅酢漬けなどなど、わが家の食を担う重要な食材である。また、ハランのような若葉は刺し身などの盛り付け時に重宝している。

今回のテーマは、うっそうとしたミョウガの森へ分け入り、ハナミョウガを摘み取るときの目の前の風景をイメージした。地下に縦横に張り巡らした根茎から株を成長させ、木立のように葉を茂らせる。構成の主役はその根茎から伸びた花序と透けるような淡黄色の一日花である。しかし、この花は受精せず、果実やタネの撮影が今もってかなえられていない。もともとミョウガは結実しにくいとされ、果実はあまり見られないようなのだ。

次回は「朝露に覆われてガラス細工に見えるブロッコリー」を取り上げる予定です。お楽しみに。

JADMA

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