写真・文
奥田 實
おくだ・みのる
北海道東川町在住。2010年、樹木の生命美をとらえた写真集『生命樹』を出版する。また、自宅の菜園で育てる野菜を『生命樹』と同じ視点で撮影し、作品を構成した『野菜美』を2014年に出版。
【第21回】さかのぼればアズキの栽培は縄文時代から!?
2017/09/26
アズキは野生種のヤブツルアズキを品種改良してきたという
「私は餡子(あんこ)で育ったの」と公言する女房の大好物は、もちろん餡子の入った餅やぜんざい、赤飯である。材料であるアズキを自前で用意するためにも、栽培区画は常に確保している。
アズキの栽培はほとんど手間が掛からず、タネをまくだけである。収穫時にこぼれ落ちたタネの多くが発芽する強い作物だ。わが菜園では代を重ね、今となっては品種名こそ分からなくなってしまったものの、年月をかけてこの地になじんできている。
ところで、アズキの栽培は縄文時代までさかのぼり、日本など東アジアに分布する野生種のヤブツルアズキを品種改良してきたものだという。この野生種のマメの大きさは米粒の半分くらい。色は黒っぽいものの、ルーペでのぞき見る姿形は、まさしくアズキのミニチュア版である。今春、ヤブツルアズキが起源であることを確証する貴重な機会を得た。山形県の友人宅でこのマメを使ったお汁粉をごちそうになったのだ。小さな茶わん1杯の100ccほどの量だったが、それでもマメの数は700粒も使っているのだと、いただきながら苦労した採取話を聞かされた。気になる味は、少々泥くさいものの、彼いわく、「これが紛れもない縄文汁粉だ」とか。
コラージュは主題や季節感を外さなければ、結構、自由に構成できる。これだという正解もない。だからワンポイントがあれば、絵作りはさらに効果的である。そのためにも、被写体は全方位からなめるように観察し、小さな変化も見逃さず撮影する。アズキは秋の収穫期が近づくと、葉は黄葉し、莢の色が微妙に変化した。莢の中に整然と並んだアズキの姿が見事だった。
次回は「ゴボウの花咲く姿はまるでアザミの親分のようだ」を取り上げる予定です。お楽しみに。