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百部と言う植物 リキュウソウ、大百部

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

百部と言う植物 リキュウソウ、大百部

2014/06/27

休みを取り2週間ほど中国の南部、中部、北部と里山を歩いてきた。中国広しといえど、人が住めるところでは自然の植生はほとんど残っていないのが、寂しく思えてならない。

東アジア南部は氷河の影響が少なかったらしく、多くの化石種が生き残り、長江以南に広がる照葉樹林※植生は、日本のそれと基本的によく似ている。しかし、黄河周辺になると植物相は貧相に思え、北に行くほど同一種の群落が多くなるようだった。

利休草(Stemona japonica)は単子葉植物で、つる草、根に塊茎ができる宿根草。1700年代に薬用として中国から日本に導入され、時折、切り花として見かけるが、昔はシラミよけの実用植物だったらしい。

この仲間は漢名を「百部」というビャクブ科の植物で、東アジア南部からオーストラリア熱帯域に少数が分布し、多年草で路傍、林縁、川の側等に分布する。

その一つ、大百部(Stemona tuberosa)は、花の大きさが5cm程度。緑の花弁に赤紫のストライプが印象的な、奇妙奇天烈な花を春から夏に開花させる。学名から判断すると、球根ができるらしい(種小名のtuberosaはラテン語で「塊根性」の意味)。写真はいずれも雲南省にある昆明植物園で写したもので、長江以南からインド北部にかけて分布している。

Photo1
薬用植物と知られるビャクブ属のなかで、ひときわユニークな花の大百部。

Photo2
切り花としても見直したいけれど、やはり薬用として塊根の利用が多いようだ。

※照葉樹林(しょうようじゅりん)…常緑広葉樹を優占種とする樹林。亜熱帯から温帯に発達。日本では九州・四国・関東までの沿岸部に分布。クスノキ・シイ・ツバキなどで,葉は革質で光沢がある。常緑広葉樹林。(三省堂 大辞林より)

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