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連載

象牙色の貴婦人 マグノリア オドラティシマ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

象牙色の貴婦人 マグノリア オドラティシマ

2014/07/11

モクレン科モクレン属Magnolia odoratissima マグノリア オドラティシマは常緑の低木モクレン。

雲南省文山チワン族ミャオ族自治州亜熱帯カルスト地域の極限られた地域に分散的に自生している。この種は地球の劇的環境変化の中で隔絶した分布を余儀なくされた古い時代の残存種とされている。
20世紀の中国第二回野生植物調査で確認はされているがその後の野生消息は詳らかではない。開花時間は極めて短く1日程度、花は下向きに開花し象牙色で花弁は厚くodoratissimaの名前の通りとても良い香りを発する。

花を下向きに咲かせるのもこの種の大きな特徴で花弁を完全に開かずつぼみのように咲くので蜂類では花びらをこじ開けるは荷が重い。常緑モクレン類は甲虫類を強い香りで呼び寄せ受粉を助けてもらう植物と思え花を開くと大小の甲虫が良く見つかる。葉は互生倒卵形で先がとがり堅く20㎝前後クチクラ層が発達していて葉裏には目に見えない産毛が密生する。

緑の魔境とも思える亜熱帯、熱帯に広がるジャングルも人の手にかかるとあっけなく消えてしまい単調なパラゴムの木のプランテーションになっているのを良く見かける。この地域を旅すると寂しい思いに駆られるのは開発の中で消えてしまった植物たちの悲鳴が聞こえるからだろうか?

このMagnolia odoratissimaは地球的規模の絶滅危惧種であり簡単には巡り合う事はできない種のひとつ。ひっそりと亜熱帯カルスト地形の森に自生し生息地を知る人は数少ない。

JADMA

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