小杉 波留夫
こすぎ はるお
サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後もアドバイザーとして勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。
大花紫薇 オオバナサルスベリ
2014/09/05
古くからお茶の生産と交易で栄えたプーアルの町は、有名な緑化都市であり、中国熟茶にその名を刻む町でもある。インド菩提樹やベンジャミンの並木が道路の両脇を飾り、その中央分離帯はアマランタや熱帯の花で覆われている、なかでも夏の炎天下のオオバナサルスベリ(Lagerstroemia speciosa)は、その町の美しさにおおいに華を添えている。
オオバナサルスベリはサルスベリの仲間だが、葉の大きさは30cmくらい、一つの花の大きさは6cmほどもあり、花穂は大きなもので40cmを超え、大柄で素晴らしい花姿を見せる。花色はラベンダーを基本として変化し、花の大きさの違いや開花の早晩もあるようなので、選抜をすれば耐暑性のある“花き”として日本の園芸に貢献できる植物となるに違いない。
漢名を「大花紫薇」といい、和名は「大花百日紅」、タガログ語で「バナバ」という。 中国南部、インド、東南アジア、オーストラリア北部に自生する、耐暑性の高い落葉高木だが、芯を止めて低木で楽しむこともできる。
日本ではお茶の名前でよく知られるプーアルの町。
道路の両側はこんなふうに花がいっぱい。ラベンダー色の花の帯が美しい。
炎天下でひときわ目立つオオバナサルスベリ。花穂がサルスベリよりずいぶん大きい。
花も大きい。縮れた花弁にはサルスベリらしさもあるが、かなり平たく広がっている。
低木に仕立てれば、日本の庭の花木にぴったり。日本のサルスベリとはまた違った趣きになる。