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連載

インドの石鹸 アワアワの実 [前編] 無患子

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後もアドバイザーとして勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

インドの石鹸 アワアワの実 [前編] 無患子

2014/09/26

嵐のあと、道端に面白い木の実がたくさん落ちていました。私はこれをアワアワの実と呼んでいます。完熟すると果肉が透け、中に大きく黒いタネが見えます。このタネは結構反発力があり、よい音をたてて跳ね返るので、昔はこれを羽子板の羽根に使って遊びました。

果肉にはサポニンが大量に含まれ、水をつけて擦ると、きめの細かい白い泡が生じるので石鹸代わりになります。多少、独特の臭いが気になるものの、水切れがよく、その後、手がツルツルになって肌がしっとりして気持ちよくなります。おそらくこの実の成分に保湿効果があるのでしょう。

さらに、洗面器に果肉を5~6個入れると、汚れ物の洗濯もできます。今でこそ忘れ去られようとしていますが、この植物の実はきわめて有用で、合成洗剤がない時代には人類の生活に大きな役割を果たしてきたのです。

このアワアワの実を付ける植物には“無患子”をいう漢字が当てられていて、この実で清潔に保つと子どもが患うことがない、という意味とされています。さて、この漢字、いったい何と読むのでしょう?
(答えはこちらの記事の最後にあります)

嵐の翌日、道端に面白い実が落ちていたので拾い集めてみました。

果肉は乾燥していましたが、押してみると弾力があり、ちょっと中身も透けて見えます。

見かけより中のタネは大きく、硬いところに落とすと心地よい音がして、面白いように弾みます。

タネを出した果肉を一つ二つ手にとり、水をつけてよく擦り合わせてみると、まるで石鹸を泡立てたかのよう。

果肉の量を増やし、洗濯石鹸代わりにしてみると、こんなに泡が立ちました。

お風呂に入る習慣がないというチベット族の子どもたち。ぜひとも、この実で洗ってあげたい!

答え:ムクロジ

後編に続きます。

JADMA

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