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生きている砂防ダム ムセラ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

生きている砂防ダム ムセラ

2014/10/31

雲南省楚雄イ族自治州武定県の里山で段々になった畑の土留めに、バショウ科ムセラ属の雲南地涌金蓮(Musella lasiocarpa)が、使われているのを散見しました。このムセラ、現地では随分と"ゾンザイ"な扱いを受けているようです。おまけに周辺ででたき火をしたらしく、周りの草は丸焼きのように黒く焦げていたのですが、丈夫なものであまり気に留める様子はなく元気に花を咲かせていました。

この畑地の崩壊を止める植栽方法は、昆明植物園の友人によると、自生環境をよく知った適切な植え方だと言います。

話によれば、雲南省西北部に位置し、ミャンマーと国境を接する怒江リス族自治州の大峡谷地帯に、この植物は生えているのだそう。その地を流れるサルウィン川によって長年、谷は削り削られ、川辺から標高差2000~3000mに及ぶ場所もあるような大峡谷に、自生があるとのこと。実際、雲南の山岳地帯ではそのような景色を見ることがあります。なんせスケールの大きいのが、大陸という土地柄なのです。

その傾斜地に、小さな砂防ダムよろしく生えているそうなので、畑の土留めなどはきっとお安い御用なのでしょう。

大きさは直径30cmくらい、ハスの花弁のように見えるのは苞(ほう)と呼ばれる花を守るものです。花は小さく、苞と苞の間に咲かせます。

地湧金蓮の周りでたき火をしたのでしょう。辺りが焦げていますが、地湧金蓮は無事に黄色い花を咲かせています。丈夫な植物ですね!

地面から80cmほど立ち上がった先に黄色い花を咲かせます。その様子は地面から黄金が湧き出てくるようにも見え、中国の人には好まれています。暑さ寒さに強く、日本でも育てることができます。

JADMA

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