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連載

ゴビ 東アジアの乾燥地に生える花たち

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

ゴビ 東アジアの乾燥地に生える花たち

2015/01/01

この荒野を北に行くとゴビ砂漠に至る。東西約1600km、南北約970km、荒涼広漠たる不毛の大地。しかし、昔は多くの生き物を養う豊穣の土地であったことは多くの恐竜化石の産出が物語ります。

チンギスハンの時代は馬の背丈を超える草が生い茂っていたと聞くモンゴルの大草原ですが、自然の環境変化か家畜の過剰な放牧のせいなのか、私には砂漠寸前の荒野に見えます。それでも痩せこけた大地には色とりどりの野の花が咲き、意外とカラフルなfloraがありました。

内モンゴルの中央部は海岸から遠く離れた内陸であり、海の湿気はなかなか届きません。年間降水量は日本の10分の1程度、冬は猛烈な寒波に襲われる厳しい自然環境です。イネ科植物やヨモギ類が寡占し樹木は育ちません。乾燥地ゆえに、植物が作るさまざまな物質が植物内で濃縮し香草や薬草の多い土地柄です。

この先はゴビ砂漠が広がります。見渡す限りの地平線、荒れ果てた荒野以外何もなく、痩せこけた大地ではたくさんのバッタが僅かな草を食べていました。

この地域からはたくさんの恐竜の化石が見つかっています。昔は豊穣の大地だったのでしょう。

降水量の少ないこの地域では樹木は育たず、農耕もできません。僅かな草を頼りに牧畜が行われています。家畜の落し物の脇にピンクの花が咲いています。

シソ科 イブキジャコウソウ属 Thymus gobicus(タイム ゴビカス)は、ゴビ、アルタイ、東モンゴルに自生するタイムの仲間で、乾燥した風当たりの強い、荒野や岩山に生えます。

内モンゴルの荒野に点々と黄色い花が咲きます。シンバリア属 Cymbaria dahurica(シンバリア ダヒューリカ)和名なし。ハマウツボ科の植物でヨモギ類に半寄生するといわれています。

キンポウゲ科 カラマツソウ属 Thalictrum petaloideum(タリクトラム ぺタロイデウム)。水はけと乾燥を好むカラマツソウでシベリアからモンゴルなどに自生します。

鳥が翼を広げたような姿を見せるヒヨス。ナス科 ヒヨス属 Hyoscyamus niger 。ユーラシア大陸に広く自生し、陽光を好み乾燥した大地生える。日本には自生しません。

ナス科 ヒヨス属 Hyoscyamus niger 。ヒヨスは毒性が強く、全草が劇薬です。 歴史の中でさまざまな秘薬に使われたとされ、現代では微量を持って医薬品に使われます。薬学の知識のない方は触れないほうがよいでしょう。

JADMA

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