小杉 波留夫
こすぎ はるお
サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後もアドバイザーとして勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。
モンゴルの丘 厳しい環境に適応した植物たち
2015/01/09
乾燥化が進む、モンゴルの草原に、所々に小高い丘があります。そこには上昇気流から生じる湿気があるらしく、平地に比べて植物層が豊かで、南斜面は日だまりになるのでしょう。色とりどりの花が咲いています。
ここは、東アジア大陸東岸の豊かな降雨による恩恵はなく、酷暑と極寒、乾燥に適応してきた植物が生息しています。私たちが知らない植物が多く、シベリア、アルタイに共通する植物群です。あまりにもこの丘は楽しく1日中いても足りないくらいでした。
私が、あまりに時間をかけて植物を見ているものですから、何と言っているのか分かりませんが、中国語で「いい加減にしろ!!」と言っているのでしょう。ドライバーは業を煮やしたようす…。のちほど契約料金の追加をしてきました。
この丘に生えていた、いくつかの植物をご紹介しましょう。
古い時代の堆積岩がごろごろした、岩山です。化石が眠っているかもしれません、草原が一望でき植物相が周りに比べ格段に豊かです。
ミカン科 Haplophyllu属 Haplophyllu dmauricum (ハプロフィラム ドマウリカム)。ハプロフィラムは日本には自生しません。黄色い小花がたくさん咲き葉は銀緑で細く丈は20cm程度でした。
ロシア モンゴルをはじめ中国の北方内陸部に自生します。
タデ科 カラダイオウ属 Rheum undulatum カラダイオウ
シベリア、モンゴル等に原生する大型の多年草で、ショクヨウダイオウと同じように葉柄に酸味があり食用とします。
ヒメハギ科 ヒメハギ属Polygala tenuifolia イトヒメハギ
イトヒメハギは中国東部からモンゴルに原生し、夏に淡藍色の特徴のある花を咲かせます。
セリ科 ミシマサイコ属 Bupleurum scorzonerifolium ミシマサイコ
東アジアではロシア、モンゴル、中国東北部に自生し日本では本州、四国、九州に原生しますが絶滅危惧種です。
一見してラベンダーのような風情、木に香りがあり、ハーブみたい。シソ科 カリガネソウ属 Caryopteris mongolicaと言い、アルタイ、モンゴル、ゴビに特有の植物です。