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連載

枯れ谷 オウゴンハナと奇妙なアイリス

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

枯れ谷 オウゴンハナと奇妙なアイリス

2015/01/23

陰山山脈の高台から谷筋を眺めていると、枯れ谷の底に青い花を見つけました。デルフィニュームだと思い、急なガレ場をはやる気持ちそのままに駆け降りたのですが、当ては見事にはずれました。

その青色の花は、シソ科スクテラリア属Scutellaria baicalensis(スクテラリア バイカレンシス)の見事な大株でした。この植物の中国名を「黄金花(オウゴンハナ)」といいます。澄んだ青花を「オウゴン」とはおかしな話ですが、この植物の根が重要な漢方薬の原料となり、根の断面が黄色なので「オウゴン」といいます。

アヤメ科アイリス属Iris dichotoma(アイリス ディコトマ)。中国語で「野鳶尾(ノエンビ)」といわれる植物もこの枯れ谷に多く自生していました。日当りのよい、乾燥地帯に生えるアイリスでシャガに似ています。花色などかなり変異のあるアイリスで、種を見分けることに苦労しました。私が見た個体はヤマネコやトラのような斑紋があり、野趣豊かな開花株でした。

シベリアからモンゴルにかけて自生するというキンポウゲ科アクレギア属 Aquilegia viridiflora(アクレギア ビリデフローラ)もこの地域に自生します。夏にはあらかた花は終わっていましたが、遅咲きの株が残っていました。「Viridi」は緑を意味するので、「緑花オダマキ」というのが正しい日本語でしょうが、「黒花オダマキ」として園芸化されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

枯れ谷には、水が流れた跡があり、伏流水があるのでしょう。野生バラやギョリュウTamarix等、潅木の下に色々な植物が自生していました。

シソ科 スクテラリア属 Scutellaria baicalensis スクテラリア バイカレンシスの大株です。名前はバイカル湖に因み、シベリア、モンゴル、中国東北部に産します。

タツナミソウの仲間は、花が一方向に向いていて、波頭のように見えるので、その名があります。それにしても、このバイカレンシス美しい色合いです。

バイカレンシスは日当たりと水はけを好み、ガレ場や岩の割れ目に生えていました。その隣には、何やらアイリス類が生えているのですが花が見当たりません。

アヤメ科アイリス属 Iris dichotom 中国語で野鳶尾、花は8㎝程度あり色は薄い緑色、斑紋は山猫のようでした。

丈は1m程度あり、茎が分枝して複数の花をつけます。花が終わるとくるくると萎んで巻きつく様子が可笑しい。

キンポウゲ科アクレギア属 Aquilegia viridiflora(アクレギア ビリデフローラ)。ほとんどの株は7月には開花が終わっていました。運よく潅木の陰になっている株に花が咲いているのを見ることができました。

JADMA

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