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陰山山脈南斜面の植生 リモニュームなど

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

陰山山脈南斜面の植生 リモニュームなど

2015/01/30

内モンゴル陰山山脈の斜面は、方位によって違う植生が見られます。南斜面は強い日ざしにさらされ、より乾燥が進んだ貧相な植生ですが、北斜面にはバラの原種やサンザシ類などの低木も見られ、豊かに植物が育っています。今回は日当たりがよく、乾燥する南斜面に見られる植生をいくつかご紹介します。

イソマツ科リモニューム属Limonium bicolor(リモニューム バイカラー)。内モンゴルなど中国の北西部に自生するスターチス類で、カサカサしたドライフラワーのようなガクをつけ、その中に黄色い花を咲かせます。葉はサジ状の根出葉を10枚程度つけ、草丈は30~60cm。他の植物との競合が嫌いなようで、岩がごろごろした荒地を好むように見えました。

陰山山脈は農耕と牧畜を分ける2000m前後の山塊です。これより北では作物は育たず、牧畜が行われます。山を眺めているとたくさんの羊の群れを見つけました。過放牧で傷んだ草原を元に戻すのは難しく、ついに危険をおかして急しゅんな山の斜面まで牧畜の場としているのです。

リモニューム類はカサカサしたガクをドライフラワーとして楽しみます。世界中に分布する植物ですが、海岸の岩場や乾燥地、塩基類が噴出すような特殊な環境に自生し、分布域が狭いのが特徴です。

葉が小さなロゼット葉なので他の植物との競合を嫌います。岩の割れ目や工事現場などにも生えていました。

Limonium bicolor(リモニューム バイカラー)。ピンクのガクの中に黄色い花が咲いています。花被が2色なので学名の種形容詞(種小名)がbicolor(2色の意)になっています。草丈は30~60㎝でした。

南斜面に咲く花で真っ先に目に飛び込んできたのは、ムラサキ科アンブリノータス属Amblynotus rupestris(アンブリノータス ルペストリス)。rupestrisという種形容詞は岩に生えるという意味です。草丈は約10㎝で銀色の葉をつけ、空色の小花を咲かせます。ロシア、新疆、モンゴル、カザフスタンなどに自生、どちらかといえば中央アジアの植物です。

空色はモンゴル族にとって高貴な色、天の色とされ、特別な色です。モンゴルがルーツといわれる朝鮮族も同じ感情を持つのでしょう。韓国大統領府は青瓦台といって空色の瓦で彩られていて、パトカーの色も、大韓航空の飛行機の色も同じ理由で空色なのかも知れません。

岩の割れ目に奇妙な赤い実をつける植物を見つけました。マオウ科エフェドラ属Ephedra distachya(エフェドラ ディスタキア)。和名(あるいは一般名)フタマタマオウ。日本に自生しない裸子植物です。

この植物は漢方では麻黄として知られ、アルカロイドを含み葛根湯に処方されます。 血圧上昇による興奮作用があり、スポーツ選手がドーピング剤として使い問題になりました。

JADMA

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