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ナンジャモンジャの肌美人 カゴノキ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

ナンジャモンジャの肌美人 カゴノキ

2015/05/08

クスノキ科ハマビワ属のカゴノキは、学名をLitsea coreana(リィテセア コレアナ)といい、東アジアの照葉樹林帯に生える常緑性高木です。種形容語のcoreanaは韓国を表し、日本では関東以西の暖地に、中国では長江以南の照葉樹林帯に生えます。

各地にいくつかの古木がありますが、最北の巨木といわれる木が埼玉県坂戸市多和目天神社にあります。関東ではあまり馴染みのない樹種なので、この地ではしばらく名前がわからず「ナンジャモンジャの木」とされていました。

推定樹齢は1000年ほどの古木ですが、樹勢が強く、樹高は15m、樹皮の美しい肌美人の御神木です。カゴノキは樹皮が鹿の子模様にはがれることから、漢字で「鹿の子木」と書きます。雌雄異株です。この巨木は雄木で、花を咲かせていました。

この樹木は暖地の海岸付近に生えるのが普通です。埼玉県坂戸市という内陸に、1000年前から生えていたということは、関東地方の平野部はずいぶん内陸まで海の岸辺だったのでしょう。

木が若いうちは独特の木肌はしていません。木が大きくなると樹皮が時期を異にしてはがれていきます。元の木肌は緑かがった灰色ですが、地肌はベージュ色です。時がたつにつれ、画像のような4色のパターンがランダムに繰り返し、迷彩色になります。

暖地を中心に各地にカゴノキの巨木があります。写真は埼玉県坂戸市多和目天神社に生える御神木です。

巨木や古木には着生植物やつる植物が絡みつきますが、カゴノキのように樹皮がはがれる樹木にはそれらがあまり見られません。おそらく樹皮をはがすことが、この樹木の生息に有利だったに違いありません。

葉は互生で、クスノキに似てクチクラ層が発達していて照葉です。この樹種は雌雄異株。多和目天神社の巨木は雄木でした。

カゴノキはハマビワ属です。雌木には小さなビワ状の実をつけます。

JADMA

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