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罰当たり1000年、茶樹を食す [後編] チャノキ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

罰当たり1000年、茶樹を食す [後編] チャノキ

2015/05/22

前編はこちら

中国では自然に生えている、野生チャノキから採れるお茶は特に珍重され、高い値段で売られています。日本の茶畑のように、画一的に整然と生えているわけではないので、人々は木に登ってその葉を収穫します。

では、その茶葉の利用方法はどのように発見、もしくは発明されたのでしょうか?シーサーパンナに、熱帯雨林の樹幹を見るために作られたジャングルウォークなるものがあります。

その森には、今でこそ訪れる人々から日銭を稼ぐようになってしまいましたが、文明を拒否して熱帯雨林で自給自足を営む部族が暮しているのです。そこのおばあちゃんは、なにやらその辺の緑の葉をクチャクチャとかんで、それを差し出すのでした。レモンの味がしましたが、さしておいしいものではありません。

天然物以外は何もない森で暮すことは、自然物を採取して暮すことです。恐らく古代の私たちは身近にある草や花葉、木の根を手当たりしだい口に入れ、食べられるものか毒なのかを検証してきたのでしょう。その積み重ねが、現代の食へと発展したのだと思います。

南糠山には樹齢1000年のチャノキがあるといわれますが、2号茶王といわれる樹齢800年の老木の茶葉を摘んでみました。まさに罰当たりとは思ったのですが、好奇心が勝ったのです。1芯2葉を口に入れた時、苦く渋い感じがしましたが、長くかんでいると甘さが口に広がり、疲れが取れるようです。

その後に水を口に含んだ時、まさに甘露というにふさわしい馥郁(ふくいく)とした風味を残し、喉に消えていくのでした。おそらくお茶の効能はそのような経験から見出されたに違いありません。

雲南省は雲出る国、陸地面積は日本の国土より広いのです。その懐には樹齢2700年数え、見上げるようなチャノキがあるといわれます。

山の頂上付近でチャノキが花を咲かせていました。カメリア属独特の花葉です。

野生チャノキは、高木が作る半日陰に低木として生えています。

熱帯雨林の樹冠を見るため作られたジャングルウォークです。観光化されていますが、この熱帯雨林には、文明をいさぎよしとせず、自給自足の生活をして、中国語を解しない部族がいました。

衣装からラーフン族と思われるおばあちゃん。その辺の木の葉をクチャクチャとかんでいます。

2号茶王と呼ばれる樹齢800年の老木です。幹にも風雨に耐えた歴史を感じます。

罰当たりと思ったのですが、茶王の葉を1芯2葉で摘み、口に入れてみました。渋さの後に甘さが口の中に広がりました。その後、水を飲んだ時の感動は忘れることができません。

JADMA

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