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バラ畑の雑草 ジオウ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

バラ畑の雑草 ジオウ

2015/06/05

中国の中部、北部には、ジオウ(地黄)と呼ばれる美しい植物が、まるで雑草のように生えています。花期は5月中旬~7月中旬まで、育つ環境は山際や畑、歴史的建造物の隙間など日当たりがよければ、場所を問いません。

この植物を知らない人でも「八味地黄丸」という漢方の薬をご存知かも知れませんね。ジオウの名は漢方を音読みしたものです。

山東省平陰県バラ鎮の畑には雑草としてはびこっていました。珍品、貴品の類ではなくても、見たことのない植物であれば、雑草でも大歓迎です。

ジオウ(地黄)Rehmannia glutinosaはレーマンニア属、東アジアに自生する小さな種属で、古くはゴマノハグサ科とされましたが、今のところ分類が定かではありません。種形容語のglutinosaは、粘つくことを意味し、葉はロゼット状です。全体に細かい毛が密生し、花茎を20cmほど伸ばして中心が紅い筒状花を咲かせます。

今まで、ジオウを生で見る機会のなかった私には、この植物が朝日を浴びて輝いているように見えました。

きれいな花です。よく見ると、全体に小さな毛が密生しています。小さな虫にとってこのような毛は、きっと針の山にふさわしいものなのでしょう。

掘り起こすと太い地下茎がつながっています。機械で耕すと根が小さくわかれ、3倍返しを食らうことになります。畑の強い雑草になっていることが理解できました。

低山の頂上付近にも生えていました。自生地を見ると、日当たりと水はけがよく、乾燥する場所が好きなようです。

中国の自生地では、山草、畑の雑草、路傍、家の屋根など、さまざまな場所に生えています。実に不思議な場所にもジオウはありました。中国の人に言わせると、アリがタネを運ぶのだそうです。

あまりにも小さいので見えますか? 山東省曲阜、孔府の櫓の屋根にもジオウが生えていました。孔府は孔子の子や孫が居住した場所です。儒教思想は国の統治に有益であったため、歴代の王朝は孔子を祭祀し、その直系子孫を厚くひ護しました。屋敷は12町歩もあり、中国でも最大規模の邸宅になっています。

ジオウの近縁Rehmannia Elata(レーマンニア エラータ)。ジオウより南に分布し、6月頃に花茎を伸ばし、マジェンタ色の花を咲かせる多年草です。種形容語Elataは直立を意味しています。

JADMA

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