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更に吉 キキョウ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

更に吉 キキョウ

2015/10/09

東アジアに自生し、秋の七草としても知られるキキョウは、お馴染みで身近な野の草であったことは昔の話です。今では野山で探すことも困難な植物になってしまいました。

キキョウ、キキョウ科プラチコドン属Platycodon grandiflorumはやや乾いた草原や低木の間に生える多年草です。種形容語grandiflorumはこの種がキキョウ科の中でもとりわけ大きな花を咲かせることを意味しています。

貴重な野の花になってしまったキキョウは、サカタのタネが園芸品種化に成功したことにより、ガーデンセンターなどで見かけることができます。7、8月の暑いさなかにキキョウが咲いていると、そこに涼風が吹いているようにも見えます。

そのキキョウは「センチメンタルブルー」と「アストラ」シリーズという品種ですが、中でも「アストラ」シリーズは秀逸です。

1年目の開花株は鉢を入れないで10cm程度ですが、一番花が終わってから少し切り戻しをすると2番花が咲きます。そして、2年目は背が低いまま2、3倍の花がつきます。3年目には更に2、3倍の花が咲きます。

キキョウは漢字で「桔梗」と書きます。その意味は『更に吉』と解釈できます。「桔梗」という文字を都合よく理解して、未来に向かって吉事が生じると思っても、何のおとがめもないでしょう。

キキョウを眺めて、モアーベター。人生捨てたものではないと感じることは思った人の勝ちです。プラス思考でまいりましょう。

キキョウは多くの自治体で絶滅危惧種の指定を受けています。自生のキキョウはわざわざ探して旅をしないと見ることができませんでした。草むらに生えているキキョウを探せますか? 写真でわかりにくいのですが、自然の中では、キキョウの青い色は目に飛び込んできます。

日本の野原でキキョウPlatycodon grandiflorumの自生を見つけることは至難です。キキョウは自然を開発しては絶滅します。それでいて人が手を入れないとススキなどの強壮な草に負けてしまいます。里山として人が適当に草刈をするか、火入れなどをする原っぱで、かろうじて命をつないでいます。

日本以外の東アジアでは、キキョウは野菜です。根をトラジといい、サムゲタンなどの料理に用いるほか、漢方に使い去痰、咳止め、熱さましなどに使われます。写真は韓国のキキョウ畑です。

写真は「アストラブルー」、1年目の開花苗です。2月下旬に複数のタネを1カ所にまき、 1カ月後ポットに上げます。そうすると6月中旬から咲き始めます。一度咲き終わると、少し切り戻します。すると3週間ほどで2回目の開花が始まります。

この画像は、下の段がキキョウ「アストラ」シリーズの2年目の開花のようすです。上段は3年目の株です。いかがですか? まさにキキョウは「更に吉」。どんどんよくなるのです。

JADMA

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