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東アジア的美樹 コウヤマキ

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後も嘱託として勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

東アジア的美樹 コウヤマキ

2016/02/02

よく老成した木肌は荒々しく、荘厳なまでに美しく、唐傘のように円すい形に広がる端整な木姿にもしびれます。
車輪状に葉がつく針葉の配置など、この木はどこから見ても気品のあるすばらしい植物だと思います。

誰が言ったか不明ですが、世界三代美樹のひとつに数えられ、幕末の日本に訪れたプラントハンター、Robert Fortune(ロバートフォーチュン)は、この樹種には驚嘆の声を上げて賞賛しました。

コウヤマキSciadopitys verticillataコウヤマキ科コウヤマキ属は、一科一属一種の常緑針葉高木でマツと同じ球果をつける希少樹種です。世界的に分布していたことは化石によって証明されていますが、現在では温暖で降水量の多い東アジア、日本と済州島にしか残存していません。
  
日本では主に近畿以西に生え、高野山に多く産することから和名の元になりました。属名Sciadopitys(スシアドピティス)は傘松という意味を持ち、英語でumbrella pine(アンブレラ パイン)と言います。

樹皮は焦げ茶色で、日本の針葉樹の中で最も厚いものです。手で触ると弾力があり動物的です。繊維が縦に裂け、船底などの隙間に詰めて浸水防止材として使ったといいます。材は樹木の中で最も腐りにくいとされ、水の中で300年もの間、耐えたと記録されています。それは豊富な樹脂の成せる技です。しかし、残念ながら資源量は多くありません。

樹形は自然と傘状の円すい形になります。中国や韓国では「金松」と呼ばれ、垂ぜんの的です。私は苗やタネを大量に購入したいと相談を受けたことがあります。古の昔からコウヤマキの性質は理解されていて、例外なく古墳時代の棺にはこの木の材が利用されていると聞きます。

コウヤマキ(高野槙)Sciadopitys verticillata。種形容語のverticillata(ベルティシルラータ)とは、針葉が輪生(茎の1カ所から3枚以上つくこと)することを表します。葉のつき方、形状を見ても極めて特異です。

針葉はソフトで先端がとがっていないので痛くありません。実はこれでひとつの葉ではなく、2枚の葉です。コウヤマキは2葉が合着しているのです。中央に白い筋があります。この植物は細部に渡るまで不思議が詰まっています。

真冬の今、コウヤマキの球果をリースにするため採取に行きました。マツボックリのように地面に落ちず、枝にしっかりついてはしごを使わないと取れません。

足元には、タネと発芽したばかりの「赤ちゃんコウヤマキ」が生えていました。このタネは長期に渡り休眠して1年以上発芽しません。それにしても最も寒い時期に発芽しています。寒くないのでしょうか?

写真は、コウヤマキの球果を10個ほど使って作ったリースです。渋くてよい感じです。ほかにフウ(楓)、クロマツ(黒松)、フヨウ(芙蓉)、アジサイ(紫陽花)を使いました。中でもコウヤマキの球果は気品が違います。どれがコウヤマキの球果かわかりますね!

JADMA

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