![朝、昼、晩[中編] ヒルガオ科植物](../../image-cms/header_kosugi.png)

小杉 波留夫
こすぎ はるお
サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後もアドバイザーとして勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。
朝、昼、晩[中編] ヒルガオ科植物
2017/07/25
サツマイモ(Ipomoea)属などヒルガオ科の植物は、全世界の熱帯、亜熱帯を分布の中心にしていて、多くの種が分化しています。熱帯アメリカなどの温かい地域で発生した植物のようですが、世界的に分布を広げた種もあります。今回は園芸植物としてはおなじみですが、東アジア的には分布の少ないエボルブルス(Evolvulus)属から始まります。
石垣島の海は青く輝いていました。白く見える船は海上保安庁の巡視船です。夜の帳(とばり)が島を包み、辺りは漆黒の闇に包まれて満天の星空が見えましたが、その船は夜を徹してこうこうと光を放っているのでした。あっちにも、こっちにも白い船体があります。一見平和に見えるこの島が、実は領有を巡る緊迫の地域であることを思い知りました。
やはり岬には強い風が吹いています。遮るもののない東シナ海から吹く風は容赦がありません。身をかがめないと飛ばされそうな石垣島の最北端にある平久保崎です。そこは強い風のために木が生えることができない海岸原野でした。この地域の海岸原野にアサガオガラクサが生えます。
アサガオガラクサEvolvulus alshinoides(エボルブルス アルシノイデス)ヒルガオ科アサガオガラクサ属。この植物はこんな小さな花です。しかし、この青い花は遠くからでも目に飛び込んできます。青色はエネルギーが強く、一番遠くまで届く色です。
アサガオガラクサの種形容語のalshinoidesはノミノフスマStellaria alsine(ステルラリア アルシネ)ナデシコ科ハコベ属に葉が似ていることによります。
アサガオガラクサはヒルガオ科エボルボルス属で、日本では珍しい種属です。ほとんどは南アメリカ大陸で多様化した植物です。日本でもアサガオガラクサの自生が見られる場所は沖縄県だけだと思います。ヒルガオ科のお約束である5本の雄しべ、5枚のがくを持ち、花弁が漏斗状に合着しています。青く澄んだ花色に中心部が白く抜ける、美しい色合いをしていて、好感が持てる植物で町の園芸店で売られている種もあります。
写真は園芸店で見られるアメリカンブルーと呼ばれる、Evolvulus pilosus(エボルブルス ピロスス)ヒルガオ科エボルボルス属です。花が2cm程度とアサガオガラクサより大きいことが取りえです。南米に生えるこの植物は比較的最近になって園芸植物化されました。暑い夏に涼が感じられる植物として人気があります。