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たねダンゴ(R)の来た道[その3]

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、虹色スミレ、よく咲くスミレ、サンパチェンスなどの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを展開。2015年1月の定年退職後もアドバイザーとして勤務しながら、花とガーデニングの普及に努めている。
趣味は自宅でのガーデニングで、自ら交配したクリスマスローズやフォーチュンベゴニアなどを見学しに、シーズン中は多くの方がその庭へ足を運ぶほど。

たねダンゴ(R)の来た道[その3]

2021/04/20

「たねダンゴ」の発展系として、野菜の種(タネ)を使った「なべダンゴ」というレシピを考えました。「たねダンゴ」と違うことは、野菜の種(葉物野菜)を使うことだけです。今回は、「なべダンゴ」レシピをご紹介いたします。

「なべダンゴ」コンセプト
1. 葉物野菜を「たねダンゴ」にして育てる
2. 冷涼な気候を利用して病害虫防除の手間とリスクを避ける
3. 「たねダンゴ」だから、複数の野菜の混植も楽しめ味も楽しめる
4. 楽しく短期間に収穫ができる
5. 切り戻しをして複数回利用する

10月21日に葉物野菜(コマツナ、ベカナ、ミズナ、シュンギク)を4種類混合して「たねダンゴ」を作り、プランターに植えました。写真は、12月26日です。晩秋に種をまくと、虫の心配がいりません。この野菜を利用し、株元を残すと2月に復活し、再度利用できました。

9月22日にプランターにまいた「なべダンゴ」は、49日後、右の写真のように収穫期を迎えました。家庭園芸では根こそぎ収穫する必要はありません。大きくなったところから順に、株元を5cm程度残し葉を収穫すれば、株は何度も再生します。それは、大変お得感のあるプランター菜園です。

右側のプランター:使用した種は、コマツナ、ミズナ、ベカナの3種類
左側のプランター:カキナの単植

「たねダンゴ」、「なべダンゴ」を作る材料です。
けと土、赤玉土(小粒)、ミリオン(R)、マグァンプ(R) K、メネデール(R)、ハイフレッシュ、種(すべて適量)

道具:土をこねる器と鉢皿(若干)

「たねダンゴ」の元になる、泥団子は、けと土と赤玉土を使います。
混合比は7:3を目安にします。

園芸店で販売しているけと土(小袋)は2L程度です。この場合、赤玉土(小袋)を正確には0.857L入れる計算ですが、約1Lとしても大丈夫です。

赤玉土は、通常は乾いているので水分を含ませますが、このとき、メネデール(R)(二価鉄イオン水)を規定通りに入れると、発芽活性が高まります。

間口の広い器に入れてよくこねます。このとき、硬過ぎず多少柔らかいかな、と思う程度に水分を含ませるのがコツです。そのあんばいを文章では表現できません。試行錯誤で、程よい硬さ、柔らかさを体得してください。

けと土2Lに赤玉を7:3の割合で混ぜこねると、「親団子」と呼ぶ、テニスボール大の「たねダンゴ」の元が10個できます。

この「親団子」から10個の「たねダンゴ」が作れるので、これで100個分の準備が整いました。イベントに際しては、事前にこの準備をしておくとよいでしょう。ビニール袋に入れておくと半年ぐらいは、ストックしておくことが可能です。

親団子1個から10個の泥団子を作ります。この状態は、「たねダンゴ」ではありません。まだ、泥団子です。泥団子を作る作業は、手のひらのツボを押さえる効果があり、心身ともにリラックスできます。

泥団子に指で穴を開け、マグァンプKと※1、ミリオン(R)※2を一つまみづつ入れ閉じ、再び丸めます。

※1 「たねダンゴ」には、速効性の水溶性肥料を入れることはできません。マグァンプ(R) Kなどのク溶性(クエン酸2%液で溶ける性質)の肥料が最適です。

※2 ミリオン(R)を「たねダンゴ」に入れることは意味も意義もあることです。ミリオン(R)は、膨潤性があり泥団子の水を吸い膨れます。乾くと縮むので結果、「たねダンゴ」の中に空気が入り、植え付けた土の中で「たねダンゴ」が壊れ、土によくなじむように設計したのです。

「たねダンゴ」「なべダンゴ」に使用する種を容器に入れておき、マグァンプ(R) Kとミリオン(R)を入れた泥団子に種を20~30粒を目安に裏と表に付着させます。種が団子にめり込むように、再び手のひらで転がし丸めます。

種が付いたら、ハイフレッシュという、精製されたミリオン(R)の粉をまぶして「たねダンゴ」の完成です。

この粉を付ける目的は、花壇などに「たねダンゴ」を埋める際の目印にするためです。また、「泥ダンゴ」と「たねダンゴ」の違いを明確にするためでもあります。さらに、「たねダンゴ」にミネラルのコーティングをして制菌作用をもたらす効果も期待しています。

「たねダンゴ」を花壇やプランターに埋める場合、まず、その場所に置きましょう。すると間隔が分かります。

次に団子をつぶして平たくします。おまんじゅう状にした頭が隠れる程度に埋めましょう。すると、早い場合で3日、遅くても2週間で、ものすごい量の出芽が見られます。間引きや株分けなどをしないで、そのまま育てましょう。

一見、泥遊びのような「たねダンゴ」には、科学的な園芸技術が詰まっているのです。次回は「たねダンゴ」の諸注意、成功の秘訣についてお話しします。

次回は「たねダンゴ(R)の来た道[その4]」です。お楽しみに。

注釈

「たねダンゴ」は公益社団法人 日本家庭園芸普及協会が、皆さんのために何の制約もなく楽しめるように商標登録をしたものです。
より詳しく知りたい方は、下記へご連絡ください。

公益社団法人 日本家庭園芸普及協会 TEL:03-3249-0681

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