文・編集
園芸通信編集部
キク
2016/11/01
重陽の節句の主役でもあるキク。古来、中国から不老長寿の霊草としてもたらされたといわれています。以来、各地で栽培が行われ、各地方独特の古典菊も作られてきました。一方、栽培だけではなく、文化としても「被せ綿」や「菊枕」、生け花などが発展したり、食用菊として扱われたり、私たちの生活と密接に関わってきた植物といえましょう。観賞には菊人形や菊花壇が有名です。ここでは菊人形や古典菊などが見られる園をご紹介します。紅葉も美しさを増すこの時期、伝統を受け継いだ職人技と展示方法でキクのあでやかさを味わってみてはいかがでしょうか。
国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
くらしの植物苑は、生活文化を支えてきた植物を系統的に植栽した、旧佐倉城の一郭に開設された自然を生かした植物苑。苑内には食物として利用するビワやクルミ、薬として利用するナンテンなど暮らしに密接した植物が利用目的で区分され植栽されています。秋には日本を代表する園芸植物の一つ、キクの展覧会を開催。キクは中国からもたらされ、平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により独特の花が作り出され、「嵯峨菊」「伊勢菊」、近世中頃以降は「肥後菊」「江戸菊」、「丁子菊」などが各地で作られました。これらは「古典菊」と呼ばれています。本苑の展覧会にてその伝統を垣間見ることができます。
施設概要
〒285-8502
千葉県佐倉市城内町117
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
休苑日:毎週月曜日(ただし、祝日の場合は翌日が休苑)、年末年始(12/27~1/4)
開苑時間:9:30~16:30 (入苑は閉苑の30分前まで)
入苑料:高校生以上 100円
駐車場:無料駐車場あり
イベント期間:季節の伝統植物「伝統の古典菊」 2016/11/1~11/27
三溪園
1906年、実業家 原 三溪によって公開された三溪園。17万5000平方メートルに及ぶ園内には京都や鎌倉などから移築された歴史的に価値の高い建築物が巧みに配置され、季節の花々とともに風情豊かな景色を楽しむことができます。毎年秋になると行われる菊花展では、大菊、懸崖、古典菊、小菊盆栽に加え、三溪園や神奈川の名所の風景を小菊で表現した「盆景」が展示されています。約500点に及ぶ菊花が展示されており見応え十分ですが、特に江戸時代から各地で改良、伝えられてきた古典菊は、珍しく必見です。また、期間中は横浜菊花会メンバーが菊花の種類や観賞のポイントについて、分かりやすくガイドしてくれます。
施設概要
〒231-0824
神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1
電話番号:045-621-0634
休園日:12/29、12/30、12/31
開園時間:9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで)
入園料:大人(中学生以上)500円、子ども(小学生)200円
駐車場:有料駐車場あり
イベント期間:菊花展 2016/10/26~11/23 9:00~16:00
福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡 二本松城跡)
福島県二本松市には藩政時代からキクの愛好者が多く、昭和の初期から町に菊人形が飾られてきました。昭和30年から「二本松の菊人形」として催しが開かれるようになり、今年で62回目を迎える、歴史ある菊の祭典です。期間中は霞ヶ城を舞台に、あでやかなキクの花と色づく紅葉が会場全体を埋め尽くします。会場内では菊花品評会が行われるほか、等身大の菊人形が多数作られ、今年は世界で活躍した偉人を再現します。菊師の細やかな職人技を間近に見るチャンスです。また、会場となる霞ヶ城公園の歴史的に由緒ある庭園の紅葉も見頃を迎え、キクと紅葉、日本の秋の風情を一度に堪能できます。
施設概要
〒964-0904
福島県二本松市郭内3丁目地内
電話番号:0243-55-5122(問い合わせ先:一般財団法人二本松菊栄会)
休園日:無休
開園時間:9:00~16:00 (イベント開催期間中)
入園料:大人700円、中学生以下入場無料
駐車場:無料駐車場あり
イベント期間:第62回菊の祭典「二本松の菊人形」 2016/10/10~11/23