文・編集
園芸通信編集部
ウメ
2017/01/05
まだ空気が冷たい季節に甘いウメの香りが漂ってくると、春の訪れを感じます。丸弁5枚の絵に描いたような愛らしいウメの花は、さまざまなモチーフに使われ、私たちになじみ深い花の一つでしょう。お花見といえば今はサクラを思い浮かべますが、奈良時代には観梅会であったともいわれ、香り高く、美しい花が一面に咲く姿は見るものを感動させ、歌が詠まれていたのでしょう。今でも梅まつりが開かれる梅園が各地にあり、茶会や餅まきなどさまざまな催しも開かれています。そこで今月は梅まつりが開かれる梅園を取り上げました。寒さも緩み、春本番が待ち遠しいころ、ひと足早く花見に出掛けてみませんか。
月ヶ瀬梅林
月ヶ瀬のウメは、今から約800年前、月ヶ瀬尾山に天神社をまつり、ゆかりのウメの木を植えたのが始まりといわれています。なんと江戸時代後期には約10万本以上のウメが植えられていたとも。月ヶ瀬梅林は大正11(1922)年、金沢の兼六園、奈良公園とともにわが国最初の名勝に指定されました。梅林が渓谷を挟んだ梅渓に多くの人が訪れることとなり、19世紀前半にはウメの名所としてその名が広まりました。昭和44年高山ダムの完成で梅林は分散しましたが、移植・保護に努め、今では月ヶ瀬湖の湖水とウメとの絶妙な調和を楽しむことができます。梅まつり期間中には月ヶ瀬地域全体で月ヶ瀬梅渓写真コンクールや天神社知恵餅まきなどさまざまなイベントが実施されます。
施設概要
〒630-2303
奈良県奈良市月ヶ瀬長引21-8(月ヶ瀬観光協会)
電話番号:0743-92-0300(月ヶ瀬観光協会)
梅祭り期間:月ヶ瀬梅渓梅まつり 2017/2/19~3/31、月ヶ瀬梅林 各施設にて
定休日:無休
開園時間:終日
入園料:無料
駐車場:無料駐車場あり
見ごろ:2月中旬~3月下旬
砥部町七折梅園
砥部町七折地区に広がる七折梅園は早春になると約30種、1万6000本ものウメの花が咲き誇る梅園。うぐいすの鳴き声が響き渡る山間部にあるとあって、山全体が花色に染まる風景を楽しむことができます。かつて七折地区の小梅は品質の高さから「青いダイヤ」と称されたほどの特産品で、地区には手間を惜しまず一本一本大切に育てられた、実を収穫するための梅林が広がります。一方で、観梅客のために梅園も造成されました。花の色が赤、白、ピンクなど花を見るためのウメが2000本広がります。毎年、2月から梅まつりが開かれ、多くの方がひと足早い春の装いを満喫。餅まき、梅のタネとばし大会など盛り上がるイベントも開催されます。
施設概要
〒791-2125
愛媛県伊予郡砥部町七折109
電話番号:089-962-3064(農事組合法人ななおれ梅組合)
梅祭り期間:七折梅まつり 2017/2/20~3/10
定休:無休
開園時間:10:00~16:00
入園料:大人300円、中学生以下無料
駐車場:無料駐車場あり
見ごろ:2月下旬~3月上旬
偕楽園
偕楽園は金沢の兼六園、岡山の後楽園とならぶ「日本三名園」の一つで、天保13(1842)年に水戸藩第九代藩主徳川斉昭(なりあき)が、領内の民と偕(とも)に楽しむ場にしたいと願い、つくりました。園内には約100品種、3000本のウメが植えられ、早春にはウメの香りで包まれます。毎年多くの観梅客が訪れる梅まつりでは、野点茶会や野外琴の会などが行われるほか、光の散歩道としてライトアップも実施。一方、静かにウメを観賞したい方には弘道館公園がおすすめ。偕楽園の眼下に拡張された新しい公園は、3つの梅林と芝生広場、水鳥たちが遊ぶ月池などが点在。サクラ、ツツジ、モミジなど一年を通して楽しむことができます。
施設概要
〒310-0912
茨城県水戸市見川1-1251(偕楽園公園センター)
電話番号:029-244-5454(偕楽園公園センター)
梅祭り期間:水戸の梅まつり 2017/2/18~3/31、偕楽園・弘道館にて
定休日:無休(好文亭は12/29~12/31)
開園時間:偕楽園本園は6:00~19:00(2/18~9/30)、7:00~18:00(10/1~2/17)、偕楽園本園を除く公園区域は24時間
入園料:無料(好文亭は大人200円、小人100円)
駐車場:無料駐車場、有料駐車場あり
見ごろ:2月下旬~3月中旬